楽天イーグルス2020シーズン総括Vol.3~野手編~
我らが東北楽天ゴールデンイーグルスの2020シーズンを総括する記事も最後の野手編となりました。
前回の投手編同様、まずは客観的なチーム打撃成績を振り返りながら活躍した選手、活躍できなかった選手などをピックアップしていきたいと思います。
チーム打撃成績
まずはチームとしての打撃成績をまとめてみました。
打率 | .258(1位) |
---|---|
出塁率 | .341(1位) |
得点 | 557(1位) |
打点 | 534(1位) |
安打 | 1,029(1位) |
本塁打 | 112(2位) |
盗塁 | 67(6位) |
併殺打 | 87(6位) |
犠打 | 87(3位) |
※カッコ内はリーグ内順位
主要な打撃成績を振り返ってみると、楽天イーグルスらしからぬ超重量打線でリーグ随一の攻撃力を誇ったと言っても過言ではないでしょう。
チーム打率はリーグ唯一の.250台で堂々の1位。
昨シーズンまでの得点力不足が嘘のような得点・打点共に1位。
安打数はリーグ唯一の4ケタをマークして1位。
本塁打こそホークスに次ぐ2位ですが、出塁率は1位。
これほどまで課題だった得点力を克服どころかV字を描くように向上したイーグルス打線ですが、弱点が2つあります。
まず1つは盗塁数67、これはリーグワースト1位(6位)。
更に注目すべきは併殺打の数で、87はこちらもリーグワースト1位(6位)。
つまり、せっかく安打数・出塁率が高いにもかかわらず、盗塁で先の塁に進めない、あるいは併殺打で無駄にしてしまっていると言えます。
ちなみに犠打数はリーグ3位と悪くは無いため、やはり出塁した走者をきっちりかえすことができていないのが数字から明らかになりました。
また、今シーズン印象的だったのが、大勝する試合は大量得点で勝つものの、負ける試合は僅差あるいはほとんど得点が取れず負けるという傾向。
つまり特定の試合で大量に点数を稼ぐことができた結果として得点数1位なのかもしれませんが、結局負けてしまう試合に打線の奮起が無い、という点は課題と言えるのではないでしょうか。
前回の記事で投手の課題として先発投手陣を挙げましたが、先発が試合を作った試合に打線の援護がない試合もいくつかあったと記憶しています。
そういった意味で、まさしく「投打がかみ合えば強い」チームになりつつあることは間違いありません。
あとは、そういった試合を1つでも多く作ることが重要ではないでしょうか。
内野手
それでは、ここからはポジション別に活躍した選手・活躍できなかった選手をピックアップしたいと思います。
まずは内野手です。
今シーズンは鈴木大地選手の加入やドラフト1位ルーキー小深田大翔選手の入団など内野手争いが一層激しくなる様相を呈していました。
活躍した内野手
レギュラー争いが激しい内野手において活躍した選手をまとめてみました。
浅村 栄斗選手
まずは言うまでもなく打線の中心的存在である浅村栄斗選手。
今シーズンはチームでわずか2名となるシーズンフル出場となる120試合に出場。
まずもってケガ無くシーズンを通して出場し続けたことが評価できます。
更に打撃成績は432打数121安打/打率.280/104打点32本塁打とリーグでも高いレベルの結果を残しました。
ご存知の通り、32本塁打はリーグトップで本塁打王に輝きました。
シーズン終盤はやや疲れもあってか凡退するシーンも多かったものの、序盤の快進撃を支えたのは間違いなく浅村選手。
来シーズンもまずはケガなく、シーズンを通して出場し続けてもらうことが何よりの願いです。
そうすれば結果は自ずとついてくる、そんな絶対的信頼のおける選手ではないでしょうか。
小深田 大翔選手
続いてピックアップしたいのがドラフト1位ルーキーの小深田大翔選手。
ドラフト1位といってもすぐに活躍できる選手は決して多くないですが、小深田選手は112試合とほぼシーズンフル出場の活躍。
打撃成績は378打数109安打/打率.288/31打点3本塁打/17盗塁の活躍。
いきなり100安打を超えて打率.280台は素晴らしい成績だったと言っていいのではないでしょうか。
走塁ではチームトップの17盗塁をマーク。チームとしては盗塁数最下位だっただけに一人気を吐いたと言えます。
また守備では遊撃手としての出場で数々のファインプレーもありました。
後述する茂木栄五郎選手の離脱もあり、シーズン終盤では不動の遊撃手として活躍。
来シーズンでは開幕スタメンが濃厚ではないでしょうか。
是非ともシーズンフル出場を果たして欲しい選手です。
活躍できなかった内野手
残念ながら今シーズン活躍できなかった内野手をまとめてみました。
茂木 栄五郎選手
キャプテンとしてチームを引っ張る存在として活躍が期待された茂木栄五郎選手。
シーズン序盤はその期待通りの活躍をしてくれましたが、残念ながらシーズン途中で離脱。
結局73試合の出場にとどまり、276打数83安打/打率.301/33打点7本塁打/8盗塁となりました。
シーズンを通して出場してくれれば更に良い成績を残すことができたと思いますし、何よりチームとしてもCSへの可能性があっただけに悔やまれるシーズンとなったでしょう。
来シーズンは、まずもってシーズンを通して出場してもらうこと。これが絶対条件になりそうです。
そうすれば自然と結果は付いてくる選手と言えるのではないでしょうか。
内田 靖人選手
内田選手は活躍できなかったというより、今シーズンも出場機会に恵まれなかった印象です。
確かに一塁手としては鈴木大地、銀次選手がおり、外野手も守備力の高い選手が揃っているだけに守備のポジション争いが激しい印象。
打撃では素晴らしいものを持っているのは誰もが認めているところですので、もう少し出場機会を増やして欲しい思いはあります。
一塁手としての守備は決して悪くないですし、場合によっては指名打者でも悪くないと考えています。
今シーズンはブラッシュ選手が離脱したこともあり、外国人選手に依存せず若手の大砲を育成して強いチーム作りが必要ではないでしょうか。
外野手
続いて外野手、こちらも若手を中心にレギュラー争いが激しいポジションでした。
活躍した外野手
レギュラー争いが激しい外野手において活躍した選手をまとめてみました。
島内 宏明選手
やはり楽天イーグルスにはこの人が欠かせません。
レフトのレギュラーとして114試合に出場した島内宏明選手。
打撃成績は406打数114安打/打率.281/53打点8本塁打/9盗塁と安定。
派手さは無いものの安心感があり、逆に言えば島内選手が抜けてしまうとかなり厳しい状況になる、そんな重要人物と言えます。
来シーズンも大きな怪我なくシーズンを通して出場してくれることを願っています。
活躍できなかった外野手
外野手に関しては活躍できなかったというより、もう一つ物足りないという意味合いでまとめていきたいと思います。
ブラッシュ選手
昨シーズンは打線をけん引したブラッシュ選手。
残念ながらシーズン途中で離脱してしまい、37試合の出場で2本塁打と全く活躍できませんでした。
更に残念ですが今シーズン限りでの退団も濃厚。
昨シーズン頑張ってくれてありがたかったです。
辰己 涼介選手
辰己涼介選手は104試合に出場して251打数56安打/打率.223/28打点8本塁打/11盗塁となりました。
中でも打率の低さは課題ではないでしょうか。
せっかくの俊足も出塁しなければ持ち味を発揮できません。
出塁率も.286となっており、小深田選手の.364に比べれば低い結果です。
逆に長打率が.378と高い数字をマークしていますが、正直なところ辰己選手には長打よりもまず出塁、そして盗塁やエンドランなど相手チームにとって嫌な存在になって欲しいところです。
一方、守備に関しては言うまでもなく超一流。
来シーズンは出塁に重きを置いて上位打線を担える存在になって欲しいと期待します。
田中 和基選手
続いてピックアップするのは田中 和基選手。
80試合の出場にとどまり、254打数61安打/打率.240/25打点8本塁打/6盗塁をマーク。
辰己涼介選手と似たような成績なだけに物足りなさはあります。
出塁率こそ.305ですが、やはり田中和基選手の実力を考えればもっと出塁してかき回して欲しいところです。
捕手
最後に捕手、嶋基宏選手の退団によって正捕手不在と言われる中、活躍した選手・できなかった選手をまとめてみました。
活躍した捕手
下妻 貴寛捕手
後述する太田光捕手の離脱もあり、特にシーズン終盤で活躍したのが下妻捕手。
育成契約を経験した苦労人でもありますが、終盤は投手陣を支えて頼もしいリードが光りました。
活躍できなかった捕手
太田 光捕手
今シーズン正捕手としての活躍が期待された太田光捕手。
残念ながらシーズン途中に離脱して67試合の出場にとどまりました。
やはり強いチームには優れた正捕手がいるもの。
太田光捕手の実力を考えれば今後の楽天イーグルスを背負い正捕手になれるものを持っていると考えています。
まずはしっかりと体調を万全にして頂き、来シーズンはまずもって離脱することなく出場し続けて欲しいです。
シーズン通して戦える身体づくり
各選手の短評にも何度か書きましたが、シーズン終盤は主力選手の離脱が痛かったと感じます。
野手で言えば茂木栄五郎選手、ブラッシュ選手、太田光捕手など、これだけの選手が欠けるだけでも厳しい試合になります。
それでも最後は踏ん張ったところもありましたが、とにかく来シーズンは開幕スタメンを勝ち取った選手が最後まできっちりと出場し続けること。
これが楽天イーグルス浮上に必要不可欠な要素だと確信しています。
すでに戦力は揃っていますので、大型補強も不要と言えるでしょう。
かなりいいところまで来ている実感もありますので、来シーズンはレギュラー選手が最後まで戦い抜く姿が見たいです。
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