今江敏晃新監督のもと2024シーズンに向けたオフの動向まとめ

2023シーズンもBクラス4位に終わった、我らが東北楽天ゴールデンイーグルス。

レギュラーシーズン最終戦までAクラス争いをした一方で、最終的には上位との差を感じたシーズンでもありました。

仮にAクラス入りしてCSに出場したとしても、自身の進退は決めていたという石井一久監督が退任。
新たに今江敏晃一軍打撃コーチが監督に就任しました。

球団社長も替わり、首脳陣もチームも一気に若返った印象です。
石井一久氏が先頭に立ってきた「ひとつの時代」は終わったように感じます。

2024シーズン、そして新たなイーグルスの幕開けに向けた今オフの動向を整理していきたいと思います。

主な2023オフシーズンのトピックス

今オフの出来事を整理していきましょう。

FA市場には参加せず

毎年オフシーズンの注目となるのがFA(フリーエージェント)市場。
今オフの主な注目選手は西川龍馬外野手(広島)、山川穂高(西武)あたりでしょうか。
どちらかと言えば人的補償不要Cランクの山﨑福也投手(オリックス)や石田健大投手(DeNA)の動向が注目されたように感じます。

いずれにしてもイーグルスは今オフもFA市場には参加せず。
むしろ海外FA権を取得した松井裕樹投手が権利行使してMLB挑戦を表明し、国内FA権を初取得した茂木栄五郎選手の行使が注目されました。

石井一久氏が監督を退任してSDに就任

10月12日

冒頭にも書いた通り、石井一久監督が退任を発表。
球団には残り取締役シニアディレクター(SD)に就任すると発表されました。

2018年9月1日にGM(ゼネラルマネージャー)に就任すると、2021・2022年はGM兼監督として絶対的な権力を持って指揮にあたりました。
2023年はGM職を解いて監督に専念しましたが、前年に続いて2年連続4位(Bクラス)。

全くの部外者、縁もゆかりもないであろう東北の地でフロント入りした石井一久氏。
当時の常勝軍団だったソフトバンクホークスや西武ライオンズを倒すべく「常勝軍団づくり」を掲げるも、2019年から3→4→3→4→4位。
約5年半ほどの在籍で3位が最高という結果に終わりました。

それまでの14年間で最下位(6位)が6度あったチーム状況を考えれば最低限の土台は作ってくれたと評価できます。
一方で、平石洋介氏や嶋基宏氏といった球団OB・功労者との関係や就任当初に「常勝軍団を作る」といった強気の発言でハードルを上げてしまったことから、全体的な印象は今一つに終わったように感じます。

今江敏晃一軍打撃コーチが監督就任

10月17日

石井一久前監督の退任が決まってから5日後、今江敏晃一軍打撃コーチの監督就任が発表されました。
2年契約とのことですが、球団の将来を考えるなら最低でも3年、できれば4年はお願いしたいところ。
それまでに若手選手の育成はもちろんですが、球団関係者には優勝を経験している大物監督の招へいにも尽力して欲しいです。

FA権保有の茂木栄五郎が残留決定

11月14日

国内FA権を保有していた茂木栄五郎選手の残留が決定。
当初は権利行使の可能性も報道されましたが、今江新監督就任もあってか、権利行使はしない決断をしました。

個人的にはイーグルスで不動のレギュラーになったとは言えないだけに、妥当な判断だと評価します。
しっかりとレギュラー・スタメンを勝ち取り、チームをAクラスへ導いてからの方が本人にとっても、他球団の評価にしても良いのではないでしょうか。
もちろん今後も残留して欲しい選手ですが、まだまだ足りないところもあるだけに2024シーズンが正念場になりそうです。

開幕以降の成績次第では、来シーズン途中でのトレードも十分に考えられます。

山田遥楓内野手を育成契約にて獲得

11月19日

前日本ハムファイターズの山田遥楓内野手を育成契約にて獲得したと発表。
西武ライオンズでプロ入りした山田遥楓内野手は2021シーズンに98試合出場をするも2022オフに戦力外。
2023シーズンはファイターズで29試合に出場していましたが、戦力外となっていました。

強肩が武器ではあるものの、内野手はイーグルスも若手の競争が激しくなっている状況。
山田遥楓選手が支配下登録され、一軍に上がってくるような状況は、良い意味で新陳代謝が起きていると考えられます。

銀次選手 引退表明

11月21日

去就が注目されていた銀次選手の引退が決定。
10月13日に戦力外通告を受けたとの報道があったものの、それ以降、一切情報が出てこない状況が続いてました。

戦力外通告についてはTwitterにてアンケートを実施したところ700票以上の投票をいただき、下記のような結果となっていました。

戦力外通告の期限も過ぎ、現役続行か、フロント入りか、トレードか、様々な可能性が考えられた中で、引退を決断されました。

ここだけでは書き尽くせない、まさに「ミスターイーグルス」。
2024年はイーグルスの公式アンバサダーに就任されるとのことで、一旦現場を離れて東北を中心としたPR活動に従事されるようです。

野球以外の経験やつながりも重要。
様々な経験を積んで、またいつの日かユニフォーム姿を目にしたいものです。

安樂智大投手が自由契約へ

11月25日

イーグルスファンにとって大変ショッキングな報道がありました。
安樂智大投手が一部の選手に対してパワハラをしていた、ということが若手選手の球団への告発によって明るみとなり、報道されました。
球団はすぐさま事実確認、調査を実施。
結果としてパワハラが起きていたこと、報道の内容も概ね事実であり、11月30日が期限の保留者名簿から外れ、自由契約となりました。

Twitterで実施したアンケートでも300票以上の投票をいただき、放出を希望する意見が70%を超えました。

球団は今後もコンタクトは取れる状態にしている、とのこと。
ひとまずこれで沈静化した状況ですが、何よりも当人が猛省し、プロ野球選手以前に一人の社会人として今後どう生きていくか、いちファンとしてひっそりとみていきたいと思います。

とはいえ、本件については事案が事案だけに軽率なことも書けませんので、ここまで。

いずれにしても、一連の球団の対応は適切だったと評価しています。

投打の要 則本昂大・浅村栄斗がキャプテン就任

12月5日

浅村栄斗選手が野手キャプテン、則本昂大投手が投手キャプテンに就任したと発表。
球団の歴史を通じてキャプテンは1名でしたが、来シーズンから投手野手それぞれにキャプテンを置く体制となりました。

いつの時点で決まっていたのか分かりませんが、安樂智大のこともあり、球団としてはチーム内外に向けた信頼回復や再発防止などをしっかり発信していきたい、そんなメッセージを感じました。

そもそもキャプテンを置くかどうかは球団によって考え方が異なります。
また同じ球団内でも時代や状況によって役割は変化して当然なので、私は今回の判断を評価しています。

なお、イーグルスの歴代主将は以下の通り。

  • 鉄平(2011年)
  • 松井稼頭央(2012~2014年)
  • 嶋基宏(2015~2018年)
  • 銀次(2019年)
  • 茂木栄五郎(2020~2021年)
  • 浅村栄斗(2023年~)
  • 野手:浅村栄斗 投手:則本昂大(2024年~)

則本昂大投手クローザー転向を表明

12月5日

投手キャプテン就任が発表された則本昂大投手。
契約更改の記者会見にて、本人の口から2024シーズンのクローザー転向が発表されました。
海外FA権行使でMLB行きが確実視されている松井裕樹投手の後任として、今江敏晃新監督が最初に熟考したポジション。

当初は今シーズンルーキーながら大活躍した渡辺翔太投手が意欲を見せており、その可能性も考えられましたが、ルーキーイヤーからチームを長年支えるエースが守護神に回るようです。

個人的にはフォークを武器に三振が取れる投手は向いていると考えていますので、期待しています。

現役ドラフトで櫻井周斗投手を獲得

12月8日

第2回目となる現役ドラフトが実施され、イーグルスは横浜DeNAベイスターズの櫻井周斗投手を獲得したと発表。
イーグルスからは内間拓馬投手が広島カープへ移籍しました。

櫻井周斗投手は日大三高から2017年ドラフト5位でベイスターズに入団。
投手陣の戦力補強が急務のチーム状況において、イーグルスからも内間投手が抜けることにはなりましたが、まずまずの補強といえそうです。

松井裕樹投手がサンディエゴ・パドレス入団

12月24日

海外FA権を行使した松井裕樹投手がサンディエゴ・パドレスと契約合意したと正式発表。

球団史上初の海外FA権行使によるメジャーリーガーの誕生となりました!

2023シーズンはセーブ王に輝くなど絶対的・不動の守護神として君臨してくれた松井裕樹投手。
そんな投手が退団するのは残念ですが、メジャーリーグへの挑戦であれば気持ちよく送り出してあげるしかありません。

パドレスはナ・リーグ西地区で、ドジャースと同地区。
今オフに大谷翔平選手と山本由伸投手が入団したことで大注目の地区です。
パドレスにはダルビッシュ有投手が在籍しており、来シーズンはメジャーリーグが一層盛り上がりそうですね。

外国人選手の補強

12月1日

残留も補強という観点では、宋家豪投手、マイケル・フランコ選手、王彦程投手(育成)の残留が発表されました。
宋家豪投手は来季で8シーズン目を迎える、中継ぎ投手陣で欠かせない存在となっています。
ただでさえ2選手の退団が決まっているだけに、残留といえども貴重な戦力なのは間違いありません。

また今季が来日1年目だったフランコ選手も残留が決定。
MLBでの成績ほど活躍できなかったのが正直なところですが、NPB2年目を迎え適応してくれることに期待します。

12月26日

前日本ハムファイターズのコディ・ポンセ投手と契約合意に至ったと球団が正式発表。

ファイターズとは条件面(推定年俸1億8000万円プラス出来高)が折り合わずに退団したと報道があっただけに、それ以上の条件を望むなら獲得は難しいだろうと考えていました。
しかし、結果としてファイターズ在籍時より低い単年推定年俸1億円で契約したとのこと。

投手陣が課題のイーグルスにとって則本昂大投手のクローザー転向も発表され、先発投手陣は厳しい状況。
そういった意味で、すでに2シーズンNPBでの経験があるポンセ投手の加入は貴重な補強といえます。

12月27日

前広島カープのニック・ターリー投手と契約合意に至ったと球団が正式発表。

前日のポンセ投手に続いて、2日連続の嬉しいニュースとなりました。
ターリー投手も広島カープで2シーズンプレーしており、2023シーズンは途中離脱したものの41.1投球回で防御率1.74と安定していました。

中継ぎ投手陣は前述の通り松井裕樹投手と安樂の退団によって、こちらも厳しい状況。
中継ぎ投手は何人いてもいい、といった意味でも価値のある補強だといえます。

若手中心に我慢の1年か

こうして整理してみると、今オフは近年稀に見るほど様々な話題がありました。

監督交代、銀次選手の引退、安樂の不祥事、則本投手のクローザー転向、松井裕樹投手のメジャー挑戦。
良いニュースだけでなく最悪のニュースもありましたが、いずれにしても今江敏晃新監督のもと、首脳陣は一気に若返りました。

選手も若手を中心に投手陣なら田中将大、岸孝之、則本昂大らがおり、野手には浅村栄斗、島内宏明、岡島豪郎、鈴木大地といった中堅ベテラン勢がいます。

2024シーズンの順位予想をするなら、どうしても3,4,5位あたりが現実的かなと感じる面はあります。
まだまだ厳しい状況は続きそうで、我慢の1年になりそう。

それでも近年現場を引っ張ってきた石井一久氏が離れるのは朗報と言っていいでしょう。

イーグルスファンにとっても来シーズンが絶対的な勝負の年、と考える人はそう多くない気がしています。

将来を見据えながら、とはいえ来シーズンも一つ一つ大事に戦って欲しいところです。

そして2023シーズンに頭角を現した小郷選手や村林選手がスタメンをがっちり勝ち取るのか、そして彼らのようなニューヒーローの誕生があるのかどうか、楽しみです。

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