【課題は投手陣】中でも最下位争いより深刻なエース候補の問題発言

2024シーズンのペナントレースが開幕して約20試合が経過しました。
我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは8勝12敗1分の5位となっています。

開幕前のプロ野球解説者が予想した順位を見ても、大多数が最下位と予想されている今シーズンのイーグルス。
私自身は4位前後を予想していますが、ここまでは良くも悪くも予想通りとなっています。

内容を見てみると、今江敏晃監督の方針通り、若手が積極的に起用されているのは将来的に期待できる大きな好材料です。
とはいえ、現時点で借金4と負け越しているのは課題があるからこそ。

その課題は現時点で、明確に投手陣にあるといえます。
詳細は後ほど触れますが、更に、ある投手の発言が波紋を呼んでおり、その点はチームとして深刻な課題だと私は考えています。

現状の成績

まずは成績(数字)から整理していきましょう。
※いずれも2024年4月23日終了時点
※カッコ内はパ・リーグ内順位

21試合8勝12敗1分勝率.400(5位)

大型連敗は無いものの、今シーズン初のカード勝ち越しを決めたのが20試合目となり、負けが先行している状況です。

打撃成績

打率.226(4タイ)/61得点(3)/6本塁打(6)/13盗塁(2タイ)

本塁打こそリーグ最下位ですが、得点と盗塁数は上位。チーム打率も4位タイとまずまず。
つまりホームランでの一発は少ないものの、ヒットや出塁からの盗塁など、地道に着実に得点を重ねていることが分かります。
全体的に野手陣の打撃成績だけみればAクラス争いしてもおかしくない水準といえます。

投手・守備成績

防御率3.52(6)/80失点(6)/9失策(2)

投手成績をみれば一目瞭然。
明らかに失点が多く、防御率が高い状況です。
失策数がリーグ2位の少なさを考えると、現時点での課題は明らかに投手陣といえます。

防御率は他5球団がすべて2点台となっており、イーグルスは唯一の3点台。
失点も唯一の80点台に到達しており、他4球団が50点台、1球団が60ということを踏まえると、いかに投手陣が打ち込まれているかが分かります。

先発が試合を作れない

投手陣は主に先発と中継ぎに分かれますが、今シーズンここまでは先発投手が試合を作れない(壊す)場面が目立っています。

  • 先発投手が5回までに4失点以上:6試合
  • 12敗のうち8敗の敗戦投手(責任投手)が先発

実績が乏しい先発投手陣

かつてのエース・則本昂大投手はクローザーに回り、田中将大投手は手術後の回復が遅れて二軍調整中。
実績豊富なのは岸孝之投手のみで、あとは若手と補強したポンセ投手でローテーションを組んでいる状況です。

そういった要素で「最下位予想が多い」のは良くも悪くも戦前の予想通り。

ここまでの主な先発投手の投球回と失点は以下の通りです。

  • 早川 隆久:7.2回1失点5回5失点5.2回1失点7回5失点
  • 荘司 康誠:4回5失点7回1失点(コロナで一時離脱)
  • 内 星龍:6回3失点6回1失点5回4失点
  • ポンセ:5回無失点5回5失点7回2失点6回3失点
  • 岸 孝之:5回4失点6回2失点6回1失点
  • 藤井 聖:5回2失点4回6失点5回無失点

全体的には先発投手が好投したり崩れたりと、全く計算できない状況。

実績豊富な岸孝之投手は流石の修正能力です。
NPB3シーズン目のコディ・ポンセ投手も安定感が増してきています。

一方で早川・荘司・内・藤井は「投げてみないと分からない」状況で、まだまだ我慢が続きそうです。

主力野手は出遅れも全体でカバー

打撃成績に関してはAクラス争いができそうな水準。

特に小深田・村林・辰己・小郷の20代生え抜き選手に加え、今シーズンは高卒8年目の石原彪捕手がブレイク気配。
まだ完成してないものの実績豊富な太田光捕手と、いいレギュラー争いをしています。
(当初の想定とは違った形でのレギュラー争いになっている点は、課題を抱えるイーグルスの捕手事情)

そこに主力の浅村・島内・フランコに期待したいところですが、ここまでは出遅れ。
彼らに代わってチームを支えているのが同世代の鈴木大地・阿部寿樹・岡島豪郎といった構図になっています。

いずれにしても若手と中堅ベテラン勢がうまく融合しており、野手全体でカバーして戦えているように感じます。

レギュラー定着の村林・小郷

今シーズン、ここまで全試合に出場しているのが浅村・小深田・辰己・村林・小郷の5選手。
うち浅村・小深田・辰己は「レギュラー当確組」といえますが、村林一輝選手と小郷裕哉選手は今シーズンが勝負の年と位置付けられています。
彼らが、ここまで一定の成績を残しているのは好材料です。

特にショートという難しいポジションで素晴らしい守備をみせ、勝負強いバッティングをみせる村林の存在は大きい。

小郷も含め、ケガや体調不良などのアクシデントが無い限り、今後も出場し続けることでしょう。
ぜひ、このまま無事にシーズン完走を達成して欲しいものです。

正念場を迎えたのは島内宏明

浅村栄斗選手は元々スロースターター気質があり、シーズンを通して状態を上げていくスタイル。
実際に4月に入ってからホームランや打点が出るなど、徐々に上がってきています。

NPB2年目のマイケル・フランコ選手が開幕カードで全く打てず即二軍行きとなりましたが、二軍で徐々に上がってきています。
まだ一軍で使える状態で無さそうなのは懸念点ですが、最悪の場合、若手の出場機会になることを考えれば深刻さはありません。

現時点で最も深刻なのが島内宏明選手
52打数9安打(.173)0本塁打1打点と低迷しています。
開幕当初はクリーンナップを打っていましたが、打撃不振を受けて控えに回ることも。
4月20日に再び4番で起用する荒治療を行なうも状態は上がらず、その後は再びベンチスタートとなりました。

2021年に打点王、2022年に最多安打とイーグルスの生え抜きとして貴重な打撃部門でのタイトルを獲得するも、昨シーズンは低迷して二軍生活もありました。
復活にかける今シーズン、再び低迷しており、正念場と言えます。

得点後のコメントがユニーク(独特)で話題にもなっていますが、2022年オフには現状維持に満足することができず、4年契約3年目となる23年オフにFA権を行使したいという、異例の意向を球団に伝えて騒動となりました。
その後「自身の発言が軽率でした」と謝罪して騒動は収まったものの、2年連続タイトル獲得後は下降気味。

外野手は若手も伸びてきているだけに、今シーズンの成績次第では再び騒動が起きそうな危機感もあります。
少なくとも現時点ではレギュラーから控えに転落してしまっている状況なだけに、複雑な心境です。

開幕投手・エース候補の早川隆久が問題発言

課題の投手陣に戻しましょう。

先発投手陣が課題となっており、先発が原因で最下位争いをしているのは現時点でのデータを見れば明らかです。
一方で、それ以上に深刻な問題が浮き彫りになってしまいました。

4月19日の西武ライオンズ戦。
この日の先発は開幕と同じく早川隆久で、相手も同じく今井達也投手。
開幕戦と同じく投手戦になるかと思いきや、早川が初回から崩れ3回までに5失点。
最終的に7回まで投げ切り、打線が終盤で追い上げるも5-4と敗れ、早川は3敗目を喫しました。

ここで2つの問題が発生します。

4回で捕手を交代

3回までに5失点と崩れた要因を、ベンチは「太田と早川の息が合ってない」と判断。
4回から、捕手を石原に交代して早川は続投という異例の采配をすると、その後は4~7回まで無失点に抑える結果となりました。

これを受けて、今江監督は試合後に以下のようなコメントをしています。

(早川と太田に対して)

合ってないように見えた

(早川に対して)

彼には投げてもらわないといけない。なにかをつかんで、この試合を終わってもらいたいというのも含めて責任を持っていってもらいたいと。次のゲームしっかりやってほしい意味でキャッチャーを代えた

(太田に対して)

明らかにテンポがよかったですよね。それを太田が見てどう感じてるかだと思います

(引用元 2024年4月19日デイリースポーツ)

結果として4回以降を無失点に抑えたことを考えれば、この試合だけに関して言えば、首脳陣の判断は正解となりました。

とはいえ、早川・太田バッテリーは開幕戦で組んでおり1失点と結果を残しています。
それ以前に、開幕に向けてキャンプからオープン戦を経て、準備してきたはずです。

突然、この試合の途中から捕手だけ交代するという采配は多くのファンや関係者もざわついたのではないでしょうか。

早川が試合後に問題発言

そして大きな、深刻な問題が浮き彫りとなります。
早川が試合後の記者(メディア)の取材に対して以下のようなコメントをしました。

(太田とバッテリーを組んだ3回までに5点を失ったことに対して)

ボール自体は悪くなかった。自分は要求された球を投げた感じです

(同学年の石原に捕手が代わった4回以降は無失点だったことに対して)

テンポも良くなりましたし、(石原とは)バッテリーを組んでいない試合でも話をするので、自分の投げたいボール、どういう配球をしたいと分かってくれている。そこはツヨシの強み

(引用元 2024年4月19日スポニチアネックス)

つまり「太田の要求通りに投げて打たれた」ことから「5失点した原因は太田光にある」と捉えられて仕方ない発言をしたのです。

早川の発言に対する見解

ここでは今江監督、プロ野球解説者の里崎智也氏そして私個人の見解、コメント、考えをまとめていきます。

今江監督のコメント

まずは実際に捕手交代を決断して、現場を指揮する今江敏晃監督。
試合から一夜明け、メディアに対して以下のようにコメントしています。

明らかに(バッテリーとして)うまくできてなかったので、それじゃ困るよねって。開幕投手を務めて、チームを引っ張ってほしい選手が、キャッチャーと合わないからどうこうって寂しい。単純に言えば自分の球で抑えろよって話。ただ、そうもいかないから共同作業になる。まだまだの選手。彼にとっては経験

(引用元 2024年4月20日デイリースポーツ)

私が率直に感じたことはX(旧Twitter)に投稿しました。

なお、早川自身はこの日に登録抹消、二軍再調整も決定しましたが、今回の件と直接関係なく最初から決まっていたようです。

以下、青山一軍投手コーチのコメント。

もともと(来週の金曜が)空いていたのもあったので、そこは抹消しようと元々なっていた

(引用元 2024年4月20日デイリースポーツ)

里崎智也氏の見解

次にYouTubeで発信している里崎智也氏。
今回の件は捕手も関係する話題なので、里崎氏であれば自身のYouTube『里崎チャンネル』で触れてくれるのでは、と期待していました。

すると4月22日にアップした、恒例の「全試合総チェック」にて取り上げてくれました。
詳細は下記動画を視聴いただきたいですが、簡単に抜粋すると
「太田光だけが悪く言われるのは酷い」
「外に出すべき内容じゃない」
「コーチやチーム内でもケアすべき」
「今後、石原と組んで打たれた時に太田光に戻れない」
といった内容で、早川の発言には「ブチギレ」と感情も込めて見解を述べてくれていました。

私自身の考え

最後に、私自身はX(旧Twitter)にて、以下の投稿をしました。

上記の通り、ハッキリ言って失望しました。
プロ野球選手以前に「いち社会人」として、失敗した原因を他人になすりつけるような行動・言動をする人は成功しないと、私は考えています。
中でも厳しい世界に身を置くプロアスリート・プロ野球選手として、こうした発言をする人が成功するとは到底思えません。

確かに太田光にも課題や原因があるとは思います。
里崎氏が言うように、もしかしたらミーティングの内容と違った配球・リードをしたのかもしれません。
その辺りの真相までは分かりません。

これが実績豊富な選手からの苦言であれば説得力もありますが、それにしても「わざわざメディアに対して言う必要があったのか」が重要なポイントです。
その点も、私はX(旧Twitter)にてコメントや引用で頂戴した内容に回答する形で、記載しました。

内部で衝突したり揉めたりするのは大いに結構。
それで改善されるなら良いと思います。
一般的な組織においても言えることです。
ましてやプロ野球選手同士ですから「仲良し集団である必要はない」世界。

しかし、問題なのは「メディアの取材に対して発言してしまったこと」です。
つまり、私たちファンをはじめ、多くの人に知れ渡ることになったのです。
そんなことは少し考えれば分かります。

まして開幕投手に指名するのは、チームを引っ張っていく「エース候補」だというメッセージ。
今江監督もそういった趣旨のコメントをしているので間違いないでしょう。

エースといえばチームの顔
成績だけでなく行動・言動でも他の選手を引っ張り、ファンを魅了する存在であって欲しいものです。
こうした将来のエース候補という要素も加味すると、ますますあり得ない、信じられない、到底受け入れられない発言です。

私個人的には早川を応援する気がなくなってしまい、そのこともX(旧Twitter)にて記載しました。

確実にフォロワーさんは減るだろうと思いましたし、実際に減りました。
そのくらいの覚悟を持って、しかし、ハッキリと言うべきことは言いたいと考えて投稿しました。

これに対して「わざわざ言う必要ない」という批判的なご意見もありましたが、その点は絶対に埋められない「認識・価値観の違い」があると考えています。

状況を知らない人からすれば「大したことない」と思われるでしょう。
しかし、今回の発言は深刻だと私は認識しています。

私も本当は言いたくなかったです。
ちょっとやそっとのことでは「応援しない」なんて、わざわざ書きません。

しかし、今回の件は「言う必要がある」と判断しました。

投手・バッテリーコーチにも課題あり

早川の発言は強烈に非難しますが、現実的には早川ひとりだけが悪いとは思いません。
投手コーチやバッテリーコーチにも課題があると考えられます。

要するに「メディアに言う前にコーチに言えよ」という話です。

選手がメディアから受ける取材内容や、それに対する選手の発言を100%コントロールするのは難しいでしょう。
とはいえ、一定のコミュニケーションが取れていれば、今回のように「メディアへ不満をぶちまける」ような行為は防げた可能性があります。

一般的な会社や組織にも共通する点です。

そういった意味で、今江監督をはじめ、首脳陣も若返った現在の体制が、経験不足という意味で今回は裏目に出てしまったといえます。

捕手事情でいえば、光山英和コーチが退団したあたりから懸念があり、昨オフに炭谷銀仁朗捕手が退団したことで更に懸念が広がり、今回の件で決定的な課題が浮き彫りになりました。
本来は正捕手として、もっと出場して欲しい太田光を下げざるを得なくなっています。
石原の活躍は嬉しいものですが、チームの姿として上手く行っているとは言えません。

チームとして、どう立て直すか

現状を踏まえると、様々な視点での「立て直し」が求められているように感じます。

まずチーム成績として、5位と低迷しています。
この点は何度も書いている通り、投手陣の立て直し、あるいは補強などにかかっています。
もしかすると立て直せずに終わる可能性もあります。
とはいえ、それはそれで将来のことを考えれば我慢していくしかありません。

野手陣に関してはフランコと島内の立て直しは上位争いのポイントになりそうです。
それができなかった場合に、伊藤裕季也ら、まだまだ若手で出場機会が少ない選手もいますので、更なるニューヒーローの誕生も期待したいところ。

首脳陣という観点では、今江敏晃監督は本当によくやってくれていると感じます。
コメントも分かりやすく、コーチ陣、選手そして球団関係者ともコミュニケーションが取れているように思います。
そういった意味では、現場の細かいレベルにおいて投手とバッテリーコーチが、いかに早川隆久と太田光の関係性を立て直せるかが重要になりそうです。

アマチュア、学生スポーツじゃありません。
プロの世界において「仲が悪いから一緒にやりたくありません」は通用しません。
その辺りを教育するのは監督コーチ、あるいは実績豊富な投手の役割です。

この立て直しができるか否かはチームの将来に大きな影響を与える、重大なポイントであり、現時点では深刻的な課題といえます。

チームとして、良くなることを願います。

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