楽天イーグルス2020シーズン総括Vol.2~投手編~
前回はチーム全体としての総括を書かせていただきました。
まとめとしては「レギュラークラスの選手がシーズンを通して出場し続けることが重要である」という見解です。
とはいえ、現実的には長いシーズンを戦う中で様々なアクシデントが発生します。
レギュラークラスの選手が出場し続けてくれれば言うこと無しですが、そう上手くいかないのが現実。
様々なアクシデントがあっても勝ち続けるためにはレギュラークラスの選手だけに頼らない、あるいは特定の選手に頼らないチーム作りが重要です。
そして既にその動きは石井一久GMが就任されてからスタートしています。
今回は楽天イーグルス2020シーズンの総括として投手にフォーカスしていきたいと思います。
今シーズンの投手陣も先発・中継ぎ・抑えという役割の中で様々な動きがありました。
投手成績などを振り返りながら総括していきたいと思います。
チーム投手成績
まずはチームとしての投手成績をまとめてみました。
防御率 | 4.19(5位) |
---|---|
失点 | 522(4位) |
被安打 | 995(4位) |
被本塁打 | 110(5位タイ) |
完投 | 3(3位タイ) |
完封勝利 | 8(3位タイ) |
ホールド | 103(2位) |
HP | 121(2位) |
セーブ | 28(4位) |
※カッコ内はリーグ内順位
こうしてみると、まずもって防御率の悪さが目立ってしまいました。
その分だけ失点も多いわけですが、中でも被本塁打の数がリーグ内5位となっているため本塁打をたくさん打たれてしまったのが課題だったといえます。
一方でホールド、ホールドポイントはソフトバンクに次ぐ2位を記録しているため、中継ぎ陣の頑張りが数字として表れています。
余談ですがチーム防御率リーグ1位のソフトバンクは2.92でした。
つまりチームとして毎試合3点しか取られない計算となりますので、攻撃力もそうですが投手力も高いチームだと言えます。
それでは先発・中継ぎ・抑えの役割に分けて活躍した投手、活躍できなかった投手を総括していきます。
先発投手陣
先発投手の指標としては完封勝利がリーグ3位タイの8つ、完投はソフトバンクと同じく3つとなりました。
今シーズンは何と言っても松井裕樹投手の先発転向が話題。
また昨シーズン活躍できなかった則本昂大投手、岸孝之投手の復帰が期待され、更にロッテから加入した涌井秀章投手、昨シーズン活躍した若手の弓削隼人投手、石橋良太投手らが揃い先発ローテーションは豪華。
期待の持てる状況で開幕しました。
しかし、終わってみれば開幕からローテーションを守って活躍したのは涌井秀章投手のみ。
則本昂大投手もローテーションは守ったものの活躍できず、岸孝之投手は復帰が遅れての活躍。
石橋良太投手は大きく負け越し、弓削隼人投手はシーズン中盤で離脱。
結果として徐々に先発として状態を上げてきた松井裕樹投手が終盤で中継ぎ、最終的には抑えに再転向。
チグハグな先発投手陣だったとい言わざるを得ない結果となりました。
活躍した先発投手
ピリッとしなかった先発投手陣において活躍した選手をピックアップします。
涌井 秀章投手
まず何と言っても涌井秀章投手。
20試合に登板して11勝4敗/防御率3.60/1完封で見事に最多勝を獲得。
プロ野球史上初の3球団にわたる最多勝獲得となりました。
プロ16年目にして千葉ロッテから移籍した右腕は開幕からローテーションを守り続けてくれました。
特に前半は打線の援護もあって勝ち星を重ね続け、チームとしては2013年田中将大投手以来の最多勝獲得となりました。
最多勝はもちろん凄いことですが、涌井投手の最大の魅力はイニング数。
毎試合、状態が良くても悪くても7回前後までは投げ切るスタミナには脱帽しました。
途中、アクシデントで降板した試合もありましたが、それも重症化する前に自身で判断したもの。
今シーズンは名実共に楽天イーグルスのエースは涌井秀章投手だったといっていいでしょう。
岸 孝之投手
こちらもプロ14年目のベテラン・岸孝之投手。
昨シーズンは15試合に登板するも3勝5敗と負け越し不本意なシーズンに終わりました。
復活を誓った今シーズンですが、回復が遅れて自身の開幕は7月に。
更に7月3試合に登板するも不本意な結果に終わって再調整。
結局今シーズンの本格的な稼働は9月からと出遅れました。
11試合の登板に留まったものの、終わってみれば7勝0敗/2完投1完封/防御率3.21と素晴らしい成績を収めました。
特に10月15日の千葉ロッテ戦以降の4試合は圧巻のピッチング。
それぞれ9回、7回、8回、9回まで登板して失点は0、3、1、2と素晴らしいピッチングを披露しました。
シーズン終盤に大活躍してくれた岸孝之投手。
来シーズンこそ先発ローテーションを守ってくれるかどうか注目です。
瀧中 瞭太投手
最後はルーキーの瀧中瞭太投手。
成績こそ2勝1敗/防御率3.40と目立ったものではありせんでしたが、ルーキーながら先発としての役割を果たす試合が多かった印象です。
もともと開幕当初はファームでスタート。
一軍デビューは9月となりましたが、そこから安定したピッチングを披露。
9月27日のライオンズ戦こそ3回途中での降板となりましたが、それ以降はほぼ5回以上を投げ切りました。
力強いストレートとカーブの緩急が魅力的で、何より堂々としたマウンドでの表情が印象的でした。
来シーズンは開幕から先発ローテーションに入るのが濃厚ではないでしょうか。
活躍できなかった先発投手
残念ながら活躍できなった先発投手をピックアップしました。
則本 昂大投手
残念ながら今シーズンはエースと呼ぶに相応しくない結果に終わったのが則本昂大投手。
シーズンを通してローテーションは守り18試合に登板したものの5勝7敗/防御率3.92とピリッとしない結果に終わりました。
あくまでも個人的な見解ですが、全体的に「色々なものを背負い過ぎている」印象はありました。
昨シーズン不本意な結果に終わり、何としてでも今シーズンはチームを引っ張らなければいけない。
そんな焦りや重圧が強かったように思います。
来シーズンは涌井投手や岸投手、あるいは若手投手も含め、良い意味で則本昂投手に重圧がかからない環境づくりが重要かもしれません。
そういった意味で、少なくとも来シーズンの開幕投手は涌井秀章投手がいいと考えています。
石橋 良太投手
昨シーズン活躍した石橋良太投手。
今シーズンは13試合に登板して1勝6敗/防御率6.11と残念な結果に終わりました。
良いピッチングの日に援護がないなど不運な部分もありましたが、全体的に5回前後が精いっぱいという印象が強かったように思います。
来シーズンも先発ローテーションに入れるのか、それとも思い切った腕の振りを活かして中継ぎに転向するか。
配置転換も含めて注目したいと思います。
中継ぎ投手陣
冒頭のチーム成績でも分かるようにホールド数からして中継ぎ陣の頑張りは評価すべきと考えています。
特に三木監督の采配も勝ち試合や接戦において積極的な投手交代をしていたことも関係しているかもしれません。
活躍した中継ぎ投手
今シーズン活躍した中継ぎ投手をピックアップしました。
牧田 和久投手
今シーズンから日本球界に復帰、楽天イーグルスに入団した牧田和久投手。
ベテランでありながらチーム最多となる52試合に登板して2勝2敗2セーブ22ホールド/防御率2.16と安定感を見せてくれました。
シーズン終盤はやや打たれるシーンもありましたが、これほどフル回転してくれたのは本当にありがたい存在です。
むしろ牧田投手を獲得していなかったらと考えるとゾッとしますし、獲得に動いた石井一久GMも評価すべきではないでしょうか。
来シーズンの活躍も期待したい反面、津留崎投手や寺岡投手らの活躍も期待されます。
酒居 知史投手
こちらも今シーズン加入した酒居投手。
46試合に登板して3勝2敗12ホールド/防御率3.65とフル回転してくれました。
ロッテ時代も中継ぎとして目立ちはしないものの堅実なピッチングが光っていましたので、今シーズンも期待通りの活躍をしてくれたといっていいでしょう。
この後記載する活躍できなかった投手の穴をしっかり埋めてくれたと感じます。
活躍できなかった中継ぎ投手
今シーズン活躍できなかった中継ぎ投手をピックアップしました。
宋家豪投手
今シーズンはピリッとしなかったのが宋家豪投手。
38試合に登板して1勝2敗10ホールド/防御率6.94に終わりました。
今シーズンはコントロールに苦しんだ印象で、せっかくの力強いストレートや緩急のあるチェンジアップもイマイチ決まらなかった印象です。
来シーズンも在籍してくれれば日本球界5シーズン目となります。
お子様も誕生されたようですし、加油!宋家豪!
シャギワ投手
今シーズン加入した新外国人投手のシャギワ投手。
31試合に登板して0勝3敗6ホールド/防御率5.81と結果を残すことは出来ませんでした。
力強いストレートと動くボールが特徴でしたが、イマイチ日本球界に順応できていなかった印象はあります。
来シーズンも在籍するかどうか不明ですが、個人的には若手投手の台頭に期待したいところです。
守護神(抑え)
最後に守護神(抑え)の振り返り。
これは言うまでもなく開幕当初に守護神を任された森原康平投手の不振と離脱が大きな影響を与えました。
森原投手は17試合の登板で1勝2敗4セーブ/防御率7.56と全く活躍できませんでした。
結果としてシーズン途中から守護神となったブセニッツ投手が46試合の登板で1勝4敗18セーブ13ホールド/防御率2.86とブルペンを支えてくれました。
セーブとホールドを合計すると31。これはパ・リーグのセーブ王となった増田投手のセーブ数が33だったことを考えると立派な数字です。
もちろん単純計算はできませんが、ブセニッツ投手がいなかったらと思うとゾッとします。
とはいえ、そのブセニッツ投手も徐々に失点やピンチが増えるようになり、結局シーズン終盤では松井裕樹投手が抑えとなりました。
まずもって来シーズン、守護神をどうするのかは重要な戦略であることは間違いありません。
もう一度森原康平投手にチャンスを与えるのか、あるいはブセニッツ投手もしくは松井裕樹投手を守護神にするか。
個人的な見解ですが、森原投手の守護神再挑戦は反対です。
森原投手の最大の弱点は精神面。これは昨シーズンから何度か指摘していますが、今シーズン露呈しました。
8回のセットアッパーとして登板してもらうのが適任だと考えています。
またブセニッツ投手もどちらかと言えば7回または8回でのびのび投げるのが良さそうなので、守護神は再び松井裕樹投手にしてもいいのではと考えています。
先発ローテーションを何人守れるか
チーム全体の総括にも近いものはありますが、今シーズンの課題は先発投手陣にあったと感じます。
そういった意味で来シーズン、果たして何人の投手がシーズンを通して先発ローテーションを守れるか。
勝ち負けは試合展開や時の運もあるので一概には言えませんが、チグハグなローテーションにならないことだけを願いします。
中継ぎ投手陣は引き続き層が厚そうなので、先発がいかに試合を作れるかが上位争い、優勝争いのカギになりそうです。
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