球団史上初の交流戦優勝!借金9から完済!急成長を遂げたイーグルスを分析

まだどこか、信じられない自分がいます。

2024シーズンのセパ交流戦は中止となった1試合を除き全日程が終了。
我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは13勝5敗で球団史上初の交流戦優勝を飾りました!!

短期決戦とはいえ、嬉しいものですね。

交流戦前のチーム状況は低迷していました。
借金は最大で9あり、パ・リーグでは4~5位。
ソフトバンクホークスとの2連戦で33-0という屈辱的な敗戦も悪目立ちしており、決して良い状況ではありませんでした。

島内宏明が抹消され、浅村栄斗も状態が上がらず、先発投手陣は投げてみないと分からない状況。
正直、交流戦は勝率5割(=借金を増やさない)で終われたら御の字・・・くらいに思っていました。

しかし、ふたを開けてみれば快進撃・急成長を遂げたと言っていいでしょう。
その要因やキーパーソンを分析していきます。

交流戦チーム成績

まずは交流戦・全18試合を終えたチーム成績をみていきます。
※いずれも2024年6月16日終了時点
※カッコ内は交流戦12球団内順位

18試合13勝5敗
勝率.722(優勝!)

前述の通り、8つの勝ち越し、貯金を作って堂々の優勝。
2位がパ・リーグを独走するホークスだったことも踏まえると、胸を張って自信を持って優勝できたと言えるでしょう。
本当にお見事でした。

打撃成績

打率.253(4タイ)/67得点(4)/
10本塁打(6)/12盗塁(2タイ)

リーグ戦の時から一定の成績を残していた打撃面は交流戦でも健在でした。
冒頭の通り島内宏明が不在、浅村栄斗も状態がもうひとつの中で、マイケル・フランコ選手の合流および活躍は大きかったといえます。
また、小郷裕哉選手が1番で固定されて大活躍したのは印象深いところです。

投手・守備成績

防御率2.29(2)/47失点(2タイ)/6失策(3)

今江監督も優勝後にコメントしていましたが、リーグ戦では明らかに低迷していた投手陣が見違えるほど立派でした。
チーム防御率は、なんと12球団中2位の2.29をマーク。
1位の広島カープが1.85と驚異的な成績を残しましたが、ホークスの2.61を上回りました。

それだけに失点が少なく、何より失策も少なかった。
打線が爆発まではしなくても、きっちり守ってきっちり勝ち切る。
そんな試合ができたのが交流戦の強さだったと言えそうです。

息を吹き返した投手陣

先発投手陣の若返り&奮起

リーグ戦で唯一の防御率4点台と低迷していた投手陣。
中でも先発投手が5回までに5失点以上して試合を壊すことが多く、目も当てられない状況でした。

そこからガラッと変わったのは驚きです。
最後の1週間は岸孝之投手とポンセ投手どちらも登録抹消となっており、20代の投手だけでローテーションを組んだのも、いい意味で新鮮でした。

中でも、下記3投手が素晴らしい成績。

早川隆久投手

3試合1勝0敗
3QS 防御率0.39

内正龍投手

3試合2勝0敗
2QS 防御率1.06

藤井聖投手

3試合3勝0敗
1QS 防御率1.56

早川隆久投手は勝ち星こそ1つでしたが、3試合すべてクオリティスタート(6イニング以上、自責点3以内)を達成。
広島カープ戦では10回まで投げて無失点の好投と、まさに次世代エースにふさわしいピッチングをしました。

岸とポンセが苦しんでおり、田中将大も一向に見通しがつかないなかで、こうした若き先発投手たちがどんどんチャンスを掴んでいるのは素晴らしい状況です。

盤石!勝利の方程式

もともと中継ぎ陣は安定感がありましたが、さらに際立ったのが、いわゆる勝利の方程式。
酒居知史→宋家豪→則本昂大の盤石リレーは安定感バツグンでした。

酒居知史投手

8試合6H 防御率1.23

宋家豪投手

7試合4H 防御率1.35

則本昂大投手

8試合6S 防御率4.50

守護神・則本昂大投手は少し打たれる場面もあって防御率は悪化しましたが、いずれも点差が開いていた試合だったので救援は成功。
その前を投げる酒居・宋家豪は素晴らしい成績で、この辺りは30代の経験豊富な投手がいる安心感です。

20代中心の野手陣

急成長を遂げた小郷裕哉

もともと好調だった野手陣も交流戦では引き続き素晴らしいパフォーマンスでした。

中でも一躍知名度を上げたのが小郷裕哉選手。
阪神タイガース戦では敵地・甲子園で「あとひとり」コールの中で起死回生の逆転ホームラン。
読売ジャイアンツ戦では同じく9回裏二死と追い込まれた場面から逆転サヨナラのタイムリー。

ドラゴンズ戦での満塁ホームランなど、2位タイとなる13打点をマーク。
1番打者として固定され、不動のリードオフマンとなっています。

村林・辰己が上位打線へ

開幕当初は打順の入れ替えも起きていましたが、交流戦、中でも後半はほぼ固定されていました。
この辺りは今江敏晃監督にとっても、負担が減って良かったのではないでしょうか。

2番村林・3番辰己がハマり、単打・長打・エンドラン・盗塁など、1番小郷も含めて様々な作戦が取れたのは大きな収穫です。
下位打線に回った小深田大翔選手や太田光捕手も勝負強いバッティングを見せました。

そして辰己・小郷・太田光に続いたのが同期の渡邊佳明選手。
交流戦の規定打席には乗らなかったものの、打率3割以上をマークしてアピールしました。

依存せず頼れたベテラン勢

二軍調整していたフランコの合流に加え、交流戦終盤では4番に鈴木大地選手が入るオーダーがハマりました。
2005年に当時千葉ロッテマリーンズ監督のボビー・バレンタイン氏が4番にサブロー選手を起用。
「つなぎの4番」として、当時は割と珍しい采配が話題となりました。
また今江監督自身も選手時代につなぎの4番を経験するなど、その重要性・役割を体感しているからこその采配。

阿部寿樹選手も大事な場面で押し出しを選ぶなど、ここぞの場面で頼りになるのが30代の選手たち。
浅村も終盤でようやくホームランや複数安打が出るなど、復調の兆しも見えてきました。

30代の選手ばかりがスタメンとなり、依存するのはチームの将来性としてはイマイチです。
しかし、今のイーグルスは「ちょうどいいバランス」
若手とベテランが上手く融合できている、大きな強みだと感じます。

ここに島内が戻ってきたら脅威です。
しかし、それ以上にいまのスタメン選手たちの奮起によって、島内すらも出番がない可能性があり得ます。

大きな転換期となり、世代交代できたといっても過言ではないでしょう。

今江敏晃監督の判断力と忍耐力

選手たちの活躍、頑張りで交流戦優勝できたのは間違いないでしょう。
とはいえ、指揮官である今江敏晃監督の好判断や決断力なども光りました。

交流戦の記録あれこれ

今回、球団史上初の交流戦優勝となったことで、今江敏晃監督には下記のような記録が残りました。

  • 史上最年少の優勝監督(40歳)
  • 史上2人目の選手&監督として優勝
  • 史上4人目の1年目監督として優勝

ちなみに、選手&監督で交流戦優勝を果たしたのは現在のオリックス・バファローズ中嶋聡監督。
1年目の新任監督では秋山幸二氏、工藤公康氏、中嶋聡監督に続く記録となりました。
今江敏晃監督も名将の仲間入りですね(笑)

勝負強い判断力

短期決戦の交流戦は毎試合が勝負。
その中で、「大当たり」したのはスワローズ戦でのフランコ選手が放った逆転サヨナラホームラン。
代打の代打という勝負手に出た中で、初球を捉えて試合をひっくり返したのは皆さんの記憶にも鮮明に残っていることでしょう。

さらに選手起用では、DH制が無いセ・リーグ本拠地の阪神・中日戦で浅村栄斗選手をスタメンから外す決断をしました。
浅村自身も優勝後に「自分のバッティングを見つめ直す時間になった」とコメントしており、その言葉通り終盤では状態が上がってきたように感じます。

やはり、チームの中心選手をスタメンから外すのはそう簡単な決断ではないでしょう。
一時期は6番に下げたこともありますが、それともまた意味が違う、ベンチスタート。
代わりの選手も含め、チームが良い方向にいかなければ示しがつきません。

そこで結果を残し、監督の期待に応えた鈴木大地選手らも頼もしい限りです。

リーグ戦再開後のポイント

パ・リーグでは4位
ホークスが独走しており、優勝の可能性は高いでしょう。
とはいえ、2位以下は混戦模様。

今シーズンのイーグルスは多くのプロ野球解説者から最下位予想をされていただけに、低評価を覆す可能性は十分あり得ます。
石井一久前監督が3シーズン指揮して一度しか入れなったAクラス。
球団としても2年連続Aクラス入りを達成したことがないなど、まだまだ発展途上のチームです。

最後にリーグ戦再開後、終盤に向けてポイントになる要素を簡単にまとめていきます。

浅村栄斗の復調

交流戦ではスタメンから外れる場面があれど、チームは勝ち星を積み重ねました。
もちろん、まだまだ必要不可欠な存在です。
一方で、「浅村がいなくても勝てる」という自信や雰囲気も少しは出てきたのではないでしょうか。

もともと責任感が強い浅村が今シーズンは野手キャプテンに就任し、開幕当初からひとりでプレッシャーを抱え込んでいたようにも感じます。
「自分が打たなきゃ勝てない」というプレッシャーから、「自分がもっと打てばもっと勝てる」と、本人の心境も変わってきました。

負のスパイラルを、今江監督の勇気ある判断により、浅村のメンタルをポジティブに切り替えられたのではないかと私は考えます。

昨シーズンは交流戦から状態を上げてホームラン王に輝きました。
今シーズンはさらに遅れている印象ですが、これまでの実力と実績を考えれば、これからの急浮上も考えられるでしょう。

ここぞという場面で打ち始めれば、いよいよAクラス入りも見えてきます。

島内宏明の復活

もうひとり、交流戦は蚊帳の外になってしまった島内宏明選手。
外野は辰己・小郷が不動のレギュラーとなっており、レフトが流動的。
そのレフトは交流戦後半で渡邊佳明がレギュラーを掴んでいますが、まだまだ分かりません。

島内が復活すれば、やはりAクラス入りもグッと近づきます。
一方で、渡邊佳明も当然ながらレギュラーを掴み続けたい。
このレギュラー争いはポジティブに捉えたいところです。

いい意味で、島内が復活してもレギュラーが取れないような状況であれば、チームもいい位置にいるのではないでしょうか。

小郷・辰己・小深田のタイトル争い

攻守にわたって欠かせない存在となっている小郷・辰己・小深田。
さらに村林もいますが、前述の3選手にはタイトル獲得の期待もかかります。

3選手ともに盗塁数を伸ばしており、ホークスの周東選手と競っています。
さらに小郷は、ホークスの近藤健介選手に次ぐ安打数をマークしており、最多安打争いも注目です。
昨シーズンは小深田が盗塁王を獲得しましたが、生え抜きで20代の彼らがタイトル獲得となれば、チームもAクラス入りしている可能性が考えられます。

安田悠馬の可能性

最後に、ここまで一軍では出場していないメンバーでいえば安田悠馬捕手の存在は楽しみです。

開幕当初、今江監督は「捕手として守備をみっちり鍛える」とコメント。
その言葉通り、二軍の多くの試合で捕手として出場しています。

一方、ここ最近は一塁手としての出場も増えており、打者として一軍の出場機会を狙っている可能性も伺えます。
ちょうど、この記事を書いている2024年6月17日、パ・リーグの公示で石原彪捕手が登録抹消されました。

もしかすると、安田悠馬の昇格があり得るかもしれません。

その場合、捕手としてなら太田光に次ぐ二番手が中心となるでしょう。
交流戦で投手陣が安定した要因として、太田光のリードや配球も光っていました。
その太田光を下げるとは考えづらい。
先発投手との兼ね合いで週1~2回程度のスタメンはあるかもしれませんが、捕手としてなら代打からの守備固めになりそうです。

そこで考えられるのは一塁手、もしくは指名打者。
ただ、一塁手は4番鈴木大地がハマっており、リーグ戦再開後もすぐに替える理由は見当たりません。
そうなると残るは指名打者。
交流戦終盤はフランコが中心でした。
フランコも交流戦で活躍したので今後もスタメン起用となるでしょう。

いい意味で、いま一軍でスタメン出場している選手たちに穴が無いのも事実です。
とはいえ、安田悠馬も二軍では打撃好調。

そろそろ一軍でも試してみる、その機は熟しているようにも感じます。

岸孝之・ポンセの復調

交流戦後半で登録抹消となった岸とポンセ。
彼らも、いま頑張っている20代の先発投手たちの疲れが溜まってきたころに必要不可欠。

ひとまず再調整となっていますが、彼らが復調するかどうかも、イーグルス浮上には重要なポイントです。
特に岸孝之投手は打線の援護がなく敗れた試合もあるため、かみ合ってくれば勝ち星を伸ばしていけます。

39歳と大ベテランの域に達していますが、若手を見守りながらも、まだまだ頑張って欲しい選手です。

田中将大の復帰

最後に田中将大投手。
日米通算200勝まで、あと3勝と迫りながら、今シーズンまさかの二軍調整スタート。
あれよあれよと交流戦も終わってしまい、未だに復帰のめどは立っていません。
自身のSNSでピッチング練習の映像を公開するなど、アピールはしていますが、具体的な話は上がってこない厳しい状況。

とはいえ、こちらも今の主力に疲労が蓄積してくる終盤で復活してくれれば、大きな存在になるのは間違いないでしょう。

しっかり万全の状態で、一気に3連勝して記録達成となればチームとしても勢いがつきます。
この3年間は仕方ない。
これから、どう活躍してくれるか。

2位までなら十分にあり得る

シーズン開幕当初は最下位といわれていたイーグルス。
その低評価を払しょくする交流戦優勝となりました。

とはいえ、まだ4位。
リーグ戦再開後も厳しい戦いが続いていくと思いますが、2位までならあり得る状況です。

球団創設20周年の節目
今江敏晃監督の就任1年目
球団史上初の交流戦優勝

様々な期待が高まる中で、Aクラス入りできたら万々歳です。

これからもしっかりと応援させていただきます。

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