意外と分からなくなる野球で使用する漢字の用語

テレビや球場でプロ野球を観ていると、投手や野手のその日の成績が漢字で表記されています。
しかし、たった2、3文字の漢字表記をみてもどんな意味なのか分からないという方も多いのではないでしょうか?
実際、プロ野球初心者の方に限らず、ある程度知っている方でも急に分からなくなったり、頻度の少ない珍しい記録は初めて見るといった場合もあります。また、打撃表記だけではなく守備位置も漢字で表記されることもありますね。

そこで、今回は基本的な用語から意外と分からなくなる用語まで、野球で使用する漢字の用語(以下、野球漢字と表記)についてご紹介します。

野球漢字はどのような時に使われるのか?

そもそも、野球漢字はどのような時・場面で使われるのでしょうか?
結論から言うと野球漢字は
・球場の電光掲示板
・テレビ中継
・ネット配信(特にテキスト版)
・新聞記事
で主に使用されます。
最近のテレビ中継では打撃成績をカタカナで表記することもありますが、やはり漢字表記を理解していた方が選手のその日の打撃の好不調や打球の方向性などがわかりやすいです。
また、球場の電光掲示板やテレビ中継、新聞記事などスペースに限りがあるため、なるべく少ない文字で表現したい、という意図もあるかもしれませんね。

守備位置の漢字表記

成績だけでなく、選手が守備に就く守備位置も漢字表記される場合が多いです。
守備位置の漢字表記は打撃成績より格段に簡単ですね。
また、一般的に漢字表記は略称で使われることが多い傾向にあります。

ポジション名漢字表記読み方略称
ピッチャー投手とうしゅ
キャッチャー捕手ほしゅ
ファースト一塁手いちるいしゅ
セカンド二塁手にるいしゅ
サード三塁手さんるいしゅ
ショート遊撃手ゆううげきしゅ
レフト左翼手さよくしゅ
センター中堅手ちゅうけんしゅ
ライト右翼手うよくしゅ
DH指名打者しめいだしゃ
ピンチヒッター代打だいだ
ピンチランナー代走だいそう

打撃成績の漢字表記

では、打撃成績の漢字表記を見ていきましょう。
表記の基本ルールは
「ポジション」+「打撃/守備内容」
となっています。
したがって、上記でご紹介した守備位置の漢字の略表記をきちんと覚えておくと理解しやすくなります。
また、ゴロアウトなど一部の打撃成績は漢字とカタカナの組み合わせによる表記もあるので、必ずしもすべての打撃成績が漢字のみで表されるわけではありません。

それでは、打撃結果の表記を
・出塁した場合
・出塁できなかった場合
・その他の表記
の3つのカテゴリーに分けて次項よりまとめていきます。

出塁した場合の表記

打者が出塁した場合の漢字表記は以下の通りです。

打撃結果漢字表記(略称)
ヒット安(安打)
ツーベースヒット左2、中2、右2
スリーベースヒット左3、中3、右3
タイムリーヒット適時打
ホームラン左本、中本、右本
ランニングホームラン走本
フォアボール四球
デッドボール死球
敬遠敬遠
フィルダースチョイス野選
振り逃げ振逃
打撃妨害打撃妨
相手選手のエラー失(敵失)

この表をみて分かる通り、出塁=ヒット、というわけではありません。相手のエラーなどでも出塁することがあります。
ヒットは、「安」だけではなく、センター前ヒットの場合は「中安」、三塁への内野安打の場合は「三安」というような表記をすることが一般的です。
このような表記ルールはヒットだけではなく相手のエラー表記をする際にも適用されます。例えば三塁手のエラーは「三失」と言った表記になります。

また、複数の用語を組み合わせる場合もあります。
例えば「ライト前タイムリーヒットで1点入った」場合は「右適時打」、「左中間への二塁打で2点入ったタイムリーヒット」の場合は「2点左二適時打」といった表記になります。ただし、この辺りは発信側(テレビ、ネット、新聞)の会社によって若干変わる場合もあります。
いずれにしても、「ライト前タイムリーヒットで1点入った」という結果をこのまま表現すると文字数が多く分かりにくいため、こういった時の漢字表記は特に省略の役割があると言えますね。

フォアボールとデッドボールは2つあわせて「四死球」と表記することがあります。この表記は投手成績を表示する際に使うのことが一般的です。

また、少し分かりにくい成績としてフィルダースチョイスがあります。フィルダースチョイスとはランナーがいる場面で打者の打った打球が内野ゴロだった場合に、
・ゴロボールを捕球した内野手が一塁にボールを投げず
・他の塁にボールを投げたが、その塁でアウトを取れず
・結果的にバッターが一塁ランナーとして残った
場合のことです。
つまり、内野手の判断(選択)ミスによりアウトを取れる場面でアウトを取れなかったケースをフィルダースチョイスと言います。

漢字表記が「野選」となっていますが、これはフィルダースチョイスの語源が英語の”Fielder’s choice”、つまり「野手の選択」から来ています。野手の判断(選択)によって発生する記録で、エラーでもヒットでもない特殊なケースと言えます。
むしろ、打者側からすると結果的に出塁できたことになりますが、記録としては「凡退」扱いになるため打率は下がります。これは本来一塁に送球されたらアウトになっていた可能性が高いから、とされるため、基本的には打ち取られていると解釈されているようです。

アウトになった場合の表記

打者が出塁できなかった場合の表記は以下の通りです。

打撃結果漢字表記(略称)
ゴロアウトゴロ
フライアウト
ライナーアウト
ダブルプレー併殺打
空振り三振空三振
見逃し三振見三振
送りバント犠打
ファールフライ邪飛
犠牲フライ犠飛
守備妨害守妨害

・ゴロアウト
・フライアウト
・ライナーアウト
・ファールフライ
・犠牲フライ
の5つの打撃表記は、ボールを取った野手の守備位置とセットで表記するのが基本です。
例えば、セカンドゴロは「二ゴロ」、レフトへのフライアウトは「左飛」、三塁へのライナーアウトは「三直」、ファーストへのファールフライは「一邪飛」、二ゴロでダブルプレーになった場合は「二併殺打」、投手への送りバントは「投犠打」、センターへの犠牲フライは「中犠飛」といった表記になります。

また守備妨害とは野手の守備を打者や走者が妨害する行為を意味します。
通常、ボール処理をする際は野手が最優先され、その野手の行為を打者や走者が妨害しようとした場合、「守備妨害」が宣告されます。
守備妨害が宣告された場合は原則として「ボールデッド(=試合を停止し、プレイを無効とする時間)」となり、主審は適切な処置をとらなければなりません。
処置の例としては、打者が守備妨害をした場合は妨害をした打者は「アウト」となります。
また、走者が守備妨害をした場合も走者は「アウト」になります。

その他の漢字表記

ここではテキスト版の速報や試合後の成績などにで使用される漢字表記をご紹介します。
頻度はそこまで多くはない傾向にありますが、知っていると、よりプロ野球が楽しくなる野球漢字です。

盗塁失敗盗塁死
牽制アウト牽制死
走塁アウト走塁死
ワイルドピッチ暴投
パスボール捕逸
振り逃げ暴投暴振逃
振り逃げ捕逸逸振逃
暴投捕逸以外の振り逃げ振逃
犠打によるフィルダースチョイス犠野
犠打バントによる失策出塁犠打失
犠牲フライによる失策出塁犠飛失
フィルダースチョイスと失策が同時に発生野選失
3バント失敗による三振バ三振

なお、この辺りの表記は先ほども書いたように発信する会社や媒体によって若干異なる場合がありますので、ご了承ください。

野球漢字を覚えて、さらに野球観戦を楽しもう

野球漢字は少ない文字数で打者の結果を教えてくれるとても便利な表記方法です。
最低限の野球漢字の意味を理解しておくことで観戦自体を楽しめるだけではなく、スポーツニュースも理解しやすくなります。
中には漢字からはイメージしづらい特殊な表記もありますが、少しずつ覚えてプロ野球観戦を楽しみましょう!

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