優勝マジックとは?定義や計算方法、記録をまとめてみた

2019年も9月に入り、プロ野球のシーズンも佳境に入ってきました。
シーズン終盤になると頻繁に耳にするようになるのが「マジックナンバー」(またはマジック)ではないでしょうか。

セ・リーグでは今月1日に優勝マジックが点灯していた首位の巨人が阪神に敗れ、2位のDeNAが広島に勝利したため、ジャイアンツの優勝マジックが消滅しました。
このようにマジックナンバーは点灯したり消滅したりとややこしい部分もあり、「どうしてそんなことが起こるのだろう?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか?

そこで、今回はマジックナンバー(優勝マジック)の定義や算出方法などについてまとめていきたいと思います。

マジックナンバーとは?

マジックナンバーとは、点灯したチームの優勝までの数字を表しています。

マジックナンバーが「0」になるのと同時にリーグ優勝となります。
つまりマジックナンバーを減らしていくことで優勝に近づくわけですが、「勝利数」ではなく「数字」と表現したのはマジックが減る条件が必ずしも「勝利」だけではないからです。後ほど詳しくご紹介します。

呼び方はマジックナンバー以外にも「優勝マジック」やシンプルに「マジック」とも呼ばれています。
ニュースメディアや新聞、テレビのテロップなどでは「M10」のようにマジックナンバーの頭文字をとった「M」で表記することも多いです。

優勝マジックは基本的に自力優勝の可能性がリーグで1チームになった場合に発生する数字です。
マジック点灯は同一リーグにおいて、点灯チーム以外すべてのチームに自力優勝の可能性がなくなったことを意味します。

「自力優勝」とは同一リーグにおいて、他チームの勝敗に関わらず、そのチームがリーグ優勝できる状況にあるときに用いられる言葉です。
より詳しく説明すると、あるチームが残り試合を全勝で終えれば他チームの勝敗に関係なく、必ず優勝できるという意味。文字通り自チームの成績のみでリーグ優勝できると言えますね。

基本的には良い意味ですが、反対に成績が悪いチームは「自力優勝が消滅」として使われることも一般的です。

マジックナンバーの語源

野球におけるマジックナンバーの語源はビンゴゲームに由来すると言われています。

ビンゴゲームにおいてリーチがかかったときに、特定の数字(例えば1)が出たらビンゴが完成するという場合、その「1」をマジックナンバーと呼んでいたそうです。

ビンゴゲームでは「ビンゴとなる特定の数字(マジックナンバー)が出て欲しい」という祈りの数字(magic number)と意味してました。
その”magic number”が「あることの実現のために必要な数字」と意味するようになり、それが転じてスポーツ界において「あるチームが優勝するまでに必要な最小数値の勝利数」という意味をもつ言葉として「マジックナンバー」が使われるようになったと言われています。

ちなみに野球界においてマジックナンバーが使われるようになったのは1947年頃だそうです。

マジックナンバー点灯条件

日本のプロ野球界では、あるチーム(例えばA)以外のすべてのチームに自力優勝の可能性が消滅したとき、チームAにマジックナンバーが点灯します。

ここで注意すべき点はA以外のチームは”自力優勝がなくなった”だけであり、”優勝の可能性がなくなったわけではない”ことです。
また、A以外のすべてのチームに自力優勝の可能性がなくなったときは「A以外のチームが全勝したとしてもAが残りの試合を全勝でシーズンを終えればAの勝率がリーグで一番高いとき」という意味になります。

マジックナンバー点灯条件は別の表現をすると、マジック対象チーム(通常はリーグ順位2位のチーム)との残りの直接対決試合数がマジック対象チームとのゲーム差よりも少ないときにマジックナンバーが点灯する、と言えます。

マジックナンバーの算出方法

マジックナンバーの算出方法には計算式があります。

マジックナンバー(M)」=「残りの試合数」-マジック対象チームとの残り試合数(=Sとする)
(ただし、マジック対象チームとのゲーム差>S)

例えば下記の例を考えてみましょう。

・チームAの残り試合数が40
・マジック対象チーム(Bとする)との試合数の残りが6試合
・チームAとチームBとのゲーム差が6

この状況で翌日の試合が下記のようになるとマジックナンバーが点灯します。

・チームAが勝利
・チームBがチームC(チームCの順位は3位以下)に敗戦

・チームAの残り試合:39
・チームBとの残り試合:6
・チームAとBのゲーム差が「7」となる

チームAにマジックナンバーが点灯

この日、チームAに点灯するマジックナンバーは上記計算式に当てはめると下記の通りです。

M=39-6=33(7>6)

つまりマジックナンバーは「33」となります。

マジックナンバーの減り方

基本的にマジックは1日で1、もしくは2減ります。
それぞれの減り方の条件は以下の通りです。

マジックが1減る条件

・マジック点灯チーム(A)、マジック対象チーム(B)の両方が勝利した場合
・A、Bの両方が敗戦した場合
・Aが勝利し、Bの試合がない場合
・A、Bの両方が引き分けの場合
・Aの試合がなく、Bが敗した場合

マジックが2減るとき

・Aが勝利し、Bが敗戦した場合

また下記の場合はマジックは1つ減るときとマジックが減らないときがあります。
・Aが敗戦し、Bが引き分けだった場合
・Aが引き分けでBが敗戦した場合
・Aが引き分けでBの試合がなかった場合
・Aの試合がなく、Bが引き分けだった場合

その他にも下記の場合は状況によって2つ減る場合と1つ減る場合があります。
・Aが勝ち、Bが引き分けだった場合
・Aが引き分けでBが負けた場合

このようにマジックは通常1つか2つ減りますが、まれに一日に3つ減る場合やマジック対象チームとの直接対決で勝利したにもかかわらず1つしか減らない場合もあります。
この辺りが優勝マジックの複雑な部分ではありますね。

マジックナンバーは消滅することもある

冒頭で書いたように、一度点灯したマジックが消滅することもよくあります。

先ほどマジック点灯条件で書いたように、たとえマジックが点灯しているチームであっても、自力優勝の可能性があるチームが他に出てきた場合、当初マジックが点灯していたチームのマジックナンバーは消滅します。

つまり、マジックナンバー点灯後にマジック点灯チームが連敗トンネルに入ってしまい、マジック対象チームが大型連勝した、といったケースでは当然ゲーム差が小さくなり、マジックが消滅してしまうことがあり得ます。

あまり聞かないけど「逆マジック」もある

少し細かい話になりますが、「逆マジック」という言葉もあります。この逆マジックには2通りの使い方があります。

1つ目は最下位へのカウントダウンのことです。
これは文字通りマジックの反対で、「あと何敗すると最下位になるか」という負のカウントダウンです。
この意味で使われる場合は「裏マジック」「最下位マジック」と呼ばれることもあります。

2つ目はマジック点灯チームがマジック対象チームより下位にいる場合に使われます。
つまり、マジックナンバーは必ずしも首位のチームにつくという訳ではないということです。

マジックナンバーに関する歴代記録

では、ここでマジックナンバーに関する記録をご紹介します。

日本のプロ野球史においてマジックが最速で点灯したのは、なんと7月6日です。
1965年のこの日、南海ホークス(現・ソフトバンクホークス)にマジック62が点灯しました。
そして、この年は南海ホークスがそのままリーグ優勝を果たしました。

もう一つの記録はマジック点灯なしでの優勝です。
この記録を作ったのもホークスで、2014年のことです。

この年、ホークスはオリックスと熾烈な首位争いを繰り広げていました。
9月にオリックスにマジック7が点灯しましたが、10月2日のソフトバンクとの直接対決で敗れたためオリックスの2位が決定し、ソフトバンクが優勝しました。
ちなみに、この10月2日の試合をファンの間では「10.2決戦」と呼んでいたりもします。

優勝争いがし烈なほど複雑になる

今回はマジックナンバー(優勝マジック)についてご紹介しました。

マジックナンバーは毎年シーズン終盤になると、ほぼ必ずと言っていいほど耳にする言葉ではないでしょうか。

基本的には首位のチームが順調に勝利していけばマジックナンバーは減り、更に2位のチームが敗れると一気に2つ減るなど分かりやすいものです。
しかし優勝争い(首位争い)がし烈でゲーム差がほとんどなく拮抗している場合、1日ごとにマジック点灯チームが変わります。
優勝争いしているチーム同士だけでなく、その他のチームとの試合結果によっても変動するため複雑になってしまいます。

そういった意味で常に優勝マジックの計算をするのは大変ですのでニュースメディアやスポーツナビ、あるいはテレビの情報を参照するのが分かりやすいとは言えます。

いずれにしても自分が応援するチームにマジックナンバーが点灯すると、いよいよ優勝への道が開けてくるので応援のモチベーションが上がりますね。
毎年マジックナンバーが点灯するチームは基本1チーム、優勝争いが激しくても2チームです。
長いシーズンを戦う中でマジックナンバーの点灯はファンのみならず、選手や関係者にとっても大きなモチベーションになるでしょう。

今シーズン、パ・リーグはホークスとライオンズが激しい優勝争いを繰り広げており、現時点でマジックナンバーは点灯していません。
セ・リーグもジャイアンツが一時点灯したものの、ベイスターズの追い上げによって再び消滅しています。

今年は例年にないくらい、セパ共に激しい優勝争い、Aクラス争いとなっています。

そうなってくると、たとえ自力優勝が消滅した下位のチームであっても油断は出来ません。
むしろ、この時期になるとなぜか下位のチームに苦戦する上位のチームを見ることも珍しくないでしょう。
やはり優勝へのマジック点灯はモチベーションが上がると共にプレッシャーにもなり得ると考えられます。

そういった意味でチーム内に優勝を経験している選手や首脳陣が多かったり、チームとして優勝経験が豊富だと終盤での強さがより発揮されることもありますが、優勝が遠のいているチームの躍進も心が動くものです。

いずれにしても今年は最後の最後までセ・パ共に注目です!

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