三木監督が目指す野球の理想と現実・約30試合消化の現状総括

我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは7月26日(日)のバファローズ戦を終えて2020シーズンは32試合を消化しました。
チーム成績は17勝14敗1分勝率.548でパ・リーグ2位となっています。

今シーズンはご存知の通りペナントレースが全120試合に縮小されているため、すでに全体の約1/4を消化しました。
ここまでの対戦成績と直近カードの内容を振り返りながら現状の分析と今後の展望を考えていきたいと思います。

各チームとの対戦成績

まずは今シーズン、ここまでの対戦成績をみてみましょう。

福岡ソフトバンクホークス:2勝4敗
埼玉西武ライオンズ:3勝2敗
千葉ロッテマリーンズ:5勝1敗
オリックスバファローズ:3勝5敗1分
北海道日本ハムファイターズ:4勝2敗

※並び順は現時点での順位

ご覧の通り、勝ち越しはライオンズ・マリーンズ・ファイターズ負け越しているのがホークスとバファローズ

先週の時点で単独首位をキープしていましたが、これまで球団としては相性の良かったバファローズに大きく負け越し2位に転落

とはいえチームとしてはまだ貯金がある状況ではあるので、まさにここからが踏ん張りどころという展開になっています。

宿敵ホークス・ライオンズ戦

7月も終わろうとしていますが、今月は2週目にホークスとの6連戦、3週目にライオンズとの6連戦(雨で1試合中止)が組まれました。
昨年のAクラスチームであり、ホークスは誰もが知る常勝軍団。ライオンズもパ・リーグ2連覇中の宿敵でイーグルスにとってはこの2チームに勝っていくことがAクラス、ひいては優勝への道になることが共通認識となりつつあります

対ホークス6連戦の総括

ホークスとの6連戦は2勝4敗と負け越しました

初戦、ホークスは千賀投手が先発しましたが、復帰明けで当初はファームでの登板が予定されていました。
日本屈指の好投手であることは間違いありませんが、流石に復帰明けとあってか状態は本来のものではありませんでした。
イーグルス打線は初回で先制に成功。しかし、その裏すぐに追いつかれると最後は勝ち越しを許して敗戦。
結果として千賀投手の復帰初戦に白星を添えてしまう形となりました。

続く2戦目3戦目は先発の涌井秀章投手、塩見投手の踏ん張りで連勝するも、その後の3戦はホークス打線の勝負強さに敗れる結果となりました。

ホークスは当時まだフルメンバーとは言えない状況だったので、あわよくば勝ち越し、最低でも五分と考えていたファンも多かったと思いますが、結果としてはホークスの層の厚さを痛感したように思います。

対ライオンズ6連戦の総括

本拠地に戻ってライオンズとの6連戦。
この週から楽天生命パーク宮城が今シーズン初の有観客試合となりました。

初戦は雨で流れ、2戦目は涌井秀章投手の素晴らしいピッチングと打線の奮起で快勝。
続くゲームも打ち勝って連勝するも、則本昂大投手、塩見投手が先発した2試合で連敗。
勝ち越しをかけた日曜日のゲームでは内田靖人選手の満塁ホームランなどで打ち勝ち、何とか3勝2敗で勝ち越しに成功しました。

秋山翔吾選手が抜けたとはいえ今シーズンもライオンズ打線の脅威は衰えていません。
いかに打ち勝つことができるかが今シーズンもポイントになりそうだと改めて感じました。

そういった意味では若手で期待されている和製大砲・内田靖人選手の活躍はファンにもチームにも勇気を与えました。
内田靖人選手は開幕前の記事でも期待の選手にピックアップしましたが、昨オフには浅村栄斗選手に弟子入りするなど今年に賭ける想いは相当なものと感じます。

開幕スタメンの期待もありましたがレギュラーの銀次選手の起用が目立っていたところ、ようやく訪れた出場機会で結果を出してくれたのは大きな意味があると考えています。

課題が目立ったバファローズ戦

もともと球団として相性の良かった、というより唯一球団の歴史的に勝ち越しているのがバファローズ
こうした印象もあってか得意なチームと認識している方も多いと思いますし、私自身もそう感じているところはありました。

今シーズンも開幕カード3連戦は2勝1敗と勝ち越しただけに、この6連戦でどこまで貯金を伸ばせるか、という期待を抱いた方も多いでしょう。

しかし、蓋を開けてみれば1勝4敗1分と大きく負け越しました

対バファローズ6連戦の総括

まずショックが大きかったのは最初の2連戦。

カード初戦は先発の石橋投手が5回無失点とゲームメイクに成功するも、自慢の中継ぎ陣が崩れて10失点と炎上
強いて言えばこの日の中継ぎは「勝ちパターン」ではない投手陣だったものの、今シーズンの中継ぎ陣は勝ちパターンかどうかに関係なく全体的に安定感があっただけにショックも大きかったところ。

更にショックとなったのが2戦目。
打線は5回まで毎回得点して一時7-2とリードしていましたが、8回にシャギワが3失点、9回には守護神森原がまさかの6失点で逆転負け

この2試合では総じて中継ぎ陣の崩壊が敗戦を招く結果となりました。

3戦目は投手陣の踏ん張りがあり、前日炎上した森原投手も無失点で終えるなど一安心はしましたが、今度は打線が打ち勝てず引き分け。

そしてカード4戦目は先発則本昂大投手が捕まり6失点、5戦目は森原投手が3失点と再び救援失敗。

カード最終戦は先発藤平投手が初回で危険球退場という波乱の幕開けでまさかのカード未勝利も頭をよぎったところ。
更に相手の先発投手が山本由伸投手と厳しい状況でしたが、この日ばかりは野手陣が奮起。粘り強く点を奪って何とか逆転勝ち。1勝は確保しました。

三木監督の野球が崩れたカード

バファローズとの6連戦は選手や首脳陣にとっても、そしてファンにとってもストレスの多いカードとなりました。
総括では投手陣にばかり触れましたが、実態としては野手陣、守備の乱れが大きかったと言わざるを得えません。

今シーズンの三木監督が目指す野球、いわゆる三木野球の最大の強みはプレーの正確さにあると感じます。

言い換えれば細かい野球。
バントをきっちり決める、次の塁を果敢に狙う、投げて守って粘り勝つ、そんな印象がここまでの躍進を支えていたと思います。
加えて打線の調子が良かったので一時はチーム打率3割台、チーム防御率2点台という驚異的な数字を残しました。
もちろん試合数が少なかったので率の振れ幅が大きい時期ではありますが、この6連戦は投打が嚙み合わず、なおかつ守備から崩れるシーンが目立ったのは残念なことでした。

許してはいけなかったランニングホームラン

私は普段、いくら負けが続いていてもあまり批判的な意見、ネガティブな発言は控えるようにしています。
しかし、どうしてもショックが大きく批判せざるを得なかったのはカード5戦目の逆転負けです。

結果だけ見ると森原投手が3失点で敗戦投手となり「また救援失敗か」となります。
ただしその実情、先頭打者の宗選手が記録したランニングホームランは明らかに守備の乱れ、もっと言えばセンター辰己涼介選手の怠慢守備だったのではないかと見ています。

映像を見て頂ければ分かりますが、ホームラン性の打球をブラッシュ選手が追いかけフェンスに激突。結果としてスタンドインせずクッションボールが転がっていきましたが、なんとそのカバーリングに追い付いたのがセカンドの藤田一也選手でした。

いくら距離の違いがあるとはいえ、ライトへの大きなフライに対してセンターが取るべきアクションはカバーリングのはずです。映像では切れてしまっていたため分かりませんが、カバーリングのスタートが遅いように見えました。

つまりホームランだと勝手に確信して追わなかったのではないかと推測しています。

辰己選手と言えば俊足が持ち味で守備が上手く、何度もファインプレーで救ってくれたのは多くのファンが知るところです。
この一件で「守備が下手」なんてことは到底言えません。

だからこそ、こうした不可解なプレーが起きたことは余計にショックが大きいのです。

その後に失点したのは森原投手が踏ん張れなかったと言えますが、重要な先頭打者を守備のミスから失点したことでリズムが崩れたのは残念なことでした。

三木監督が目指す野球を再び

先ほども書いた通り、三木監督が目指す三木野球の強みは緻密さ・繊細さです。
結果としてシーズン序盤は12球団唯一の無失策を記録しており、正確な守備からリズムを作って打線が奮起するのが勝ちパターンとも言えました。

一方で守備から崩れ、自慢の中継ぎ陣も崩れ、ついには則本昂大投手も打ち込まれたバファローズ6連戦は三木野球とは程遠いものでした。

とはいえ、まだリーグ2位。
負けが続くと批判しがちになりますが、改めて三木野球が目指す野球を立て直し、再びゼロからやり直すくらいの気持ちで臨めば再浮上は十分にできるチームだと確信しています。

今シーズンは浅村栄斗選手や鈴木大地選手、そしてロメロ選手といった移籍組の活躍が目立ちます。
一方で内田靖人選手の台頭や先発陣では弓削投手の頑張りもあります。

補強やトレードが活発なことで何かと揶揄されがちですが、冷静に分析すれば総合力で戦っているのは言うまでもありません。

ただし、負けが続くとチームが落ち込んでしまい、元気が無くなってしまうのは長年の楽天イーグルスの弱点なのかもしれません。
バファローズとの5戦目、終盤に中継で映ったベンチの雰囲気は酷いものでした。

何とか1勝はしましたが、今後もこうした厳しい状況が訪れるのは間違いありません。

そういった踏ん張り時に誰が声を出すか
プレーや結果も大事ですが、今シーズンの楽天イーグルスには精神的な部分の踏ん張りにも期待しています。

キャプテン茂木栄五郎選手なのか、キャプテンシーの強い鈴木大地選手か、あるいは昨シーズンキャプテンを務めた銀次選手か、ベテラン藤田一也選手か、普段は寡黙な浅村栄斗選手か。

三木野球を再び目指すと共に、こうした球団としての歴史的な弱点を克服する良いチャンスではないかと期待しています。

今日からのマリーンズ6連戦も注目のカードになるのは間違いないでしょう。

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