楽天イーグルス2020シーズン総括Vol.1~チーム編~

東北楽天ゴールデンイーグルスは11月7日の西武ライオンズ戦をもって2020シーズンの全日程が終了となりました。

最終的な順位はパ・リーグ4位
球団史上初の2年連続Aクラス入りを果たすことはできず、2018年以来のBクラスに終わりました

今シーズンは異例尽くしの難しいシーズンになったのは言うまでもありません。
それでも開幕して序盤は三木新監督の「三木野球」が功を奏して一時は首位を走り、その後も優勝争い・CS争いを繰り広げた楽天イーグルス。
Aクラス入りは間違いないだろうと多くのファンが期待していましたが、終盤に失速してAクラス入りはなりませんでした。

結果だけ見れば誰も満足のいくものではありません。

しかし今シーズンの楽天イーグルスには期待できる要素もいくつかありました。
そこで今回から3回に分け、楽天イーグルスの2020シーズン総括として記事をまとめていきたいと思います。

まず第1弾の今回はチーム全体の総括をしていきます。

三木監督の野球

2019シーズン二軍監督を務め、球団創設以来初となるイースタンリーグ優勝へと導いた三木肇監督。
2020シーズンから一軍監督へと昇格した三木監督は野村克也元監督の教えをよく知る「三木野球」として期待されました。

2019シーズンの平石前監督同様、選手としては決して一流プレイヤーではなかったものの豊富な指導経験と2019シーズンファームを優勝へと導いた手腕は高い評価をされていました。

そのような三木監督が掲げる三木野球を一言で言うと「スモールベースボール」と言えるのではないでしょうか。

長打力よりも機動力。
先発完投よりも細かい継投。

もちろん様々なタイプの選手がいるので一概には言えませんが、随所に三木監督が目指す三木野球の狙いを見た気はします。

積極的な走塁

まず最初に目立ったのが積極的な走塁
具体的に言えば「次の塁を積極的に狙う意識付け」だったのではないでしょうか。

結果として外国人選手も含めた積極走塁が目立ち、そこから得点に繋がるシーンが前半は多かったように感じます。
チームの課題だった盗塁数も飛躍的に伸び、一時はリーグ上位を記録していました。

しかし、後述しますが徐々に主力選手の離脱が目立つようになると積極的な盗塁策も減少。
最終的なチーム盗塁数は67で、これはリーグワースト1位
ワースト2位のファイターズですら80盗塁をマークしているだけに、いかに中盤~終盤にかけて盗塁が減ったかを物語っています。

細かく繋ぐ野球

浅村栄斗選手やロメロ選手といった長打力が持ち味の選手もいる一方、その他の選手はどちらかと言えば細かく繋ぐタイプの野手が多い楽天イーグルスの打撃陣。

勝っていた時はヒットなどで出塁したランナーを確実に返す得点力がありました。
また試合展開によっては果敢にスクイズをするなど1点を取るための細かい野球ができており、好調時の要因だったといえます。

一方、ミスが出始まると歯車が狂い始め、大事な場面で一本が出ないといった悪循環に陥る時期もありました。
結局は「浅村頼み」となり、浅村選手が打てば勝つ、打てないと負けるといった偏りが出てしまったのは課題と言えるのではないでしょうか。

中継ぎ陣の積極起用

勝利への執念という意味では特に序盤の積極的な投手交代・継投策が目立ちました。

2020シーズンは守護神を松井裕樹投手から森原康平投手に替え、松井裕樹投手は先発へ配置転換。
更にシャギワ投手や牧田和久投手、酒居投手らも獲得して中継ぎ陣を厚くしたことで、接戦であればためらわずに投手を交代。

一時は「勝ちパターン」の投手がいないのではないかというほど中継ぎ陣の安定感と層の厚さがありました。

しかし、疲労の蓄積からから徐々に救援失敗や中継ぎの失点が相次ぎ終わってみれば失点数はリーグワースト3位
チーム防御率はリーグワースト2位に終わりました。

序盤~中盤好調も終盤にかけて失速

チーム全体として総括すると序盤~中盤にかけては首位争いを演じ、得点・失点ともにリーグトップ水準をキープするなど圧倒していました。
流石に中盤以降で3位まで順位を落とすもAクラスはキープ。終盤はロッテも失速して最後の最後まで分からないCS争いとなりました。

しかし中盤、特に守護神・森原康平投手が崩れ始めたあたりから雲行きが怪しくなり、気が付けば主力選手が離脱し始め、連敗が増えて失速してしまいました。

リーグトップの得点力

野手に関しては第3弾で詳しく総括しますが、2020シーズンも浅村栄斗選手を中心に得点力の高さが持ち味となりました。

最終的にチーム打率.258、557得点、1029安打、長打率.401はいずれもリーグトップ
ホームランこそリーグ2位の112本塁打となりましたが、リーグトップがソフトバンクであることを考えれば合格点。

総じて打撃面では高い水準をキープしたといえます。

とはいえ、終盤は大事な場面で点が取れなかったり、大量点を取る試合と全く点が入らない両極端な試合もあったことから勿体ないシーンもたくさんありました。

打線をけん引した浅村栄斗選手は32本塁打で自身初のホームラン王に輝きました
打点もわずか4点差の2位となり、もう少しで打撃二冠王という素晴らしい成績。

更に今季加入した鈴木大地選手もキャリアハイの打率を残すと141安打を放ってリーグ3位の好成績

要所要所で活躍した選手がいたものの「いざという時」に勝てなかったのがBクラスとなった最大の要因ではないでしょうか。

リーグワースト2位の防御率

西武ライオンズがリーグ優勝を果たした時、投手陣には目をつぶっても圧倒的な攻撃力でパ・リーグを制したのは記憶に新しいところ。

しかし今シーズンに関して言えばイーグルス自慢の投手陣が徐々に崩れ、チーム防御率はワースト2位と低迷しました。
せっかく打撃成績が良かっただけに踏ん張れなかったのは悔しい限り。

中でもエース則本昂大投手が5勝7敗と負け越し
昨シーズン勝ち越した石橋良太投手は1勝6敗と大きく負け越し

涌井秀章投手が孤軍奮闘で年間ローテーションを守って11勝4敗をマーク
史上初の3球団にて最多勝を獲得したのは大変素晴らしい成績でしたが、他の先発投手陣が続くことはできませんでした。

強いて言えば終盤に岸孝之投手が復帰して奮闘。
終わってみれば無敗の7勝0敗でチームに貢献したものの、少し遅かったか。

そして守護神を任された森原康平投手はシーズン途中で離脱。
その後を託されたブセニッツ投手はしばらく安定感があったものの、徐々に打たれるシーンも増え、最終的には松井裕樹投手が守護神に戻る形になってしまいました。

主力選手の離脱

何らかの原因があるからこそ4位(Bクラス)に終わったのは間違いありません。

最も考えられる原因は主力選手の離脱ではないでしょうか。

前述の通り守護神・森原康平投手が離脱。
更に新加入で期待されたシャギワ投手も離脱。

野手陣で言えば昨シーズン浅村栄斗選手と共に打線をけん引したブラッシュ選手が結果を残せず離脱。
更にキャプテン茂木栄五郎選手も離脱するなど、終盤は開幕当初とは異なる戦力で戦わざるを得ない状況となりました。

こればかりは監督の責任とも言い切れず、各選手がしっかりとシーズンを通して出場できる身体づくりをして頂くしかないのではないでしょうか。

飛躍の鍵はシーズンフル出場選手を増やすこと

楽天イーグルスの戦力を考えれば決して4位(Bクラス)で終わるチームではありません。

最多勝と本塁打王を獲得した投打のキーパーソンがいるわけですし、則本昂大投手、松井裕樹投手、鈴木大地選手、茂木栄五郎選手などタイトルを獲得できる選手がたくさんいます。

更に若手の外野手レギュラー争いや新人王の期待もある小深田大翔選手の活躍など明るいニュースもたくさんありました。

とはいえ、結局離脱してしまっては元も子もありません。

思えば西武ライオンズが攻撃力でリーグ優勝した時、スタメンの9人中8人が規定打席に達するという驚異的な数字を残しました。
つまりスタメンとして名を連ねる「レギュラー」がシーズンを通して出場し続けた結果、数字もついてきて、チームとしても勝つことができた。

まず楽天イーグルスが目指すのもここではないでしょうか。

逆にソフトバンクホークスは何かとアクシデントが多く、今シーズンも序盤は苦戦していました。
しかし「代わりに出てくる選手が活躍する」という異常なまでの層の厚さが際立っています。
数年後のイーグルスもそこを目指していきたいですが、まずもって「レギュラー」が「レギュラー(=通常)」としての役割を果たすことが重要であると考えています。

レギュラーが離脱するから「イレギュラー」になるのです。

もちろん長いシーズンを戦う中で厳しいこともたくさんあることは容易に想像できます。

そういった課題をクリアしてシーズンを通してレギュラー選手が出場し続けることこそ、ある意味プロとしての役割なのかもしれません。

今オフは大規模な補強もしないと伝えられています。
その点については賛同します。戦力は十分に揃っています。

あとはいかにシーズンを通して出場し続けることができるか。
言い替えれば、開幕時のスタメン選手が最後まで残っていれば上位争い、優勝争いは十分に可能です。

2021シーズンはその点に注目したいと考えています。

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