田中将大投手の復帰戦・第2戦を徹底分析!8年前との違い・進化

2021年1月28日(木)、イーグルスはマー君こと田中将大投手との入団基本合意を発表しました。イーグルスファンの我々にとって、こんなに嬉しいことはありませんよね!

一方で3月26日には右ヒラメ筋損傷がイーグルスより発表され、予定されていた開幕2戦目での復帰登板が回避されることになりました。

イーグルスファンが心配する中、田中投手は順調に回復し、4/17のファイターズ戦で復帰。さらに4/24のライオンズ戦では見事に復帰後初勝利を飾り、NPB通算100勝を達成しました。

ボールとマウンドの違うメジャーから復帰したため、適応に時間がかかるのではないかと心配される声もありました。ですが復帰後2試合の登板を見る限り、とても順調なのではないでしょうか。

この記事では、復帰戦と第2戦の内容を振り返ります。そして8年前と現在の田中投手の違い、進化を見ていきます!

復帰戦 4月17日(土)日本ハムファイターズ戦

8シーズンぶりの復帰戦となった、4月17日の日本ハムファイターズ戦では、5回3失点で敗戦投手になってしまいました。その内容を振り返ります。

試合ハイライト

  • 1回、中田翔選手に2ランを被弾
  • 2回、石井選手にソロを被弾
  • 被安打4、四死球1はさすが

1回、中田翔選手に2ランを被弾

1回裏、2アウトランナーなしから3番の近藤選手にフォアボールを与え、4番の中田選手に2ランホームランを打たれてしまいました。

中田選手との8年ぶりの対戦に注目が集まる中、1ボール2ストライクから太田捕手はストレートを内角に要求。しかし田中投手の投球は外角高めに。この球を左中間に2ランホームランを打たれてしまいます。

逆玉となってしまったため投げミスではありますが、追い込まれた状況で154キロのストレートを捉えた中田選手もすごいですよね。並のバッターなら空振りしてもおかしくないボールだったと思います。

田中投手はYouTubeでこのシーンを「狙ったところと全然違う所になげていたので話にならない。自分で情けない。まだ上手く自分の身体をコントロールできていない」と振り返りました。

2回、石井選手にソロを被弾

2回表には黒川選手にタイムリーが生まれ、1点を返したイーグルス。しかし2回裏、先頭の石井選手に1ボールからの2球目をライトスタンドへ運ばれしまいます。

太田捕手は外角低めに構えたものの、投じたストレートが真ん中高めに。球速は144kmだったので、おそらくあまり力を入れずにカウントを取りに行ったボールだったと思います。

1回裏に打たれた2ランと2回に打たれたソロホームランは、太田捕手が要求したところから大きくずれたところにストレートが行ってしまいました。

コースがずれてしまうのは、本人が「まだ上手く自分の身体をコントロールできていない」とおっしゃっていたところにあるのではないでしょうか。

田中投手はYouTubeでこのシーンを「味方が1点を返してくれてさあここから行くぞっていう時に、先頭打者に先頭打者にホームランを打たれてしまったので、味方の士気を下げるような失点の仕方をしてしまった」と振り返りました。

被安打4、四死球1はさすが

最初の2イニングで3失点してしまったものの、3~5回の3イニングは出塁をヒット1本に抑えました。5回75球で降板しましたが、怪我あけでなければ、7回100球ほどまで投げたのではないでしょうか。

試合が進むに連れて修正し、被安打4・四死球1にまとめた能力はさすがですね。身体のコントロールを取り戻して投げミスを防げるようになれば、ホームランを打たれることも減るでしょう。

今後の復調が期待される復帰登板でした。

第2戦 4月24日(土)西武ライオンズ戦

復帰第2戦は、8シーズンぶりに本拠地での登板となりました。「おかえり」と書かれたタオルでイーグルスファンに出迎えられた田中将大投手。

6回68球1失点と素晴らしい投球を披露し、復帰後初勝利を本拠地で飾りました。そして、この試合でNPB通算100勝を達成しています!

試合ハイライト

  • 1回・2回を3人で抑える
  • 3回、呉 念庭(うー・ねんてぃん)選手にタイムリーを浴びる
  • 3回の森選手から6回まで10人連続アウトに打ち取る
  • 田中将大投手、本人の声(要約)

1回・2回を3人で抑える

1回表、先頭打者の若林選手にいい当たりを打たれるも、センターの辰己選手がファインプレー。その後の2人も打ち取り、1回を三者凡退に抑えます。

1回裏には、ディクソン選手と岡島選手の2者連続タイムリーでイーグルスが2点を先制。結果的にはこの2点目が決勝点になりました。

2回表には先頭の中村選手にレフト前ヒットを打たれるも、栗山選手をファーストゴロダブルプレーに仕留め、愛斗選手を三振に打ち取り、3人でライオンズの攻撃を退けます。

3回、呉 念庭(うー・ねんてぃん)選手にタイムリーを浴びる

3回表は先頭のスパンジェンバーグ選手にデッドボールを与えたあと、盗塁を許してノーアウト2塁。続く呉選手にライト前ヒットを浴び、1点を返されます。

田中将大投手はYouTubeでこのシーンを「盗塁は自分に問題があった。僕がランナーを止めるようなことをしなければならなかった。盗まれた感じだった」と振り返りました。

呉選手にタイムリーを打たれたのは、おそらく低めのスプリット。見送ればボールだった球で、コースも高さも甘くありません。打った呉選手を褒めるべきでしょう。

3回の森選手から6回まで10人連続アウトに打ち取る

その後は復調し、3回2アウトの森選手から6回まで10人連続でアウトに打ち取ります。復帰戦と同様に、後半につれて調子を上げていく修正能力はさすがですね。

田中将大投手、本人の声(要約)

「序盤のピッチング自体は苦しかった。投球フォームも、投げながら自分で微調整しながら、相手打者との対戦の中で、ピッチングを組み立てている手応えを感じた。

良い当たりをされても正面でゲッツーなど、ツキもイーグルスにあったなと。守備もリリーフ投手たちもとても心強かった。自分が投げていたときが一番みなさんをヒヤヒヤさせていたのではないか(笑)

ロッカーに戻ってアイシングとかをしていたが、松井投手が最終回にアウトをとるのが早すぎて、勝利のハイタッチに間に合わないかと思った(笑)100勝のボールを松井投手からもらえて嬉しかった。

1試合目より2試合目の方が手応えを感じた。でもまだまだやらないといけないこと、足りない部分を感じているので、まだまだよくなると思っている

日本復帰した田中投手のここがすごい

8シーズンぶりに日本に復帰して2試合に先発した田中投手ですが、8年前とは違う投球を見せています。メジャーを経験してさらに進化した田中投手のピッチングを見ていきましょう。

  • 豪腕から技巧派へ
  • 精密なコントロールによる球数とWHIPの少なさ

豪腕から技巧派へ

日本時代の田中投手に「豪腕」というイメージを持っていた方が多いのではないでしょうか。当時の田中投手は力のあるストレートと、落差のあるスプリットを武器に打者を圧倒するスタイル。2012年には奪三振王のタイトルを獲得します。

ですが、現在の田中投手は豪腕というより「技巧派」といえるでしょう。

2013年以前に日本人で160kmを記録した投手は当時スワローズに所属していた由規投手だけでしたが、田中投手が渡米した2014年以降、NPBは高速化が進みます。

165kmを記録した大谷投手を筆頭に、藤浪投手、千賀投手、国吉投手、平良投手など、160km以上を記録する日本人選手が5人も現れました。

150kmは珍しくなくなり、リリーフ投手の多くがストレートの平均球速150km超。千賀投手や山本投手のように、先発投手でストレートの平均球速が150kmを超える投手も現れはじめています。

そんな中、復帰後の田中投手のピッチングはカットやツーシーム、140km中盤のストレートで丁寧にコースをつく投球です。

力を入れたときのストレートは150kmを超えますが、決してパワーで勝負するスタイルではありません。メジャーを経験したことでさらに磨かれた投球術を駆使し、打者の狙いを外して打ち取っています。

精密なコントロールによる球数とWHIPの少なさ

技巧派といえるピッチングを披露している現在の田中投手は、球数がとても少ないです。1イニング15球で優秀と言われる中、復帰戦は5回75球で1イニングあたり15球、2戦目は6回68球で1イニングあたり約11.3球でした。

そして、打たれるヒットも四死球も少ないため、WHIPも優秀です。WHIPは「1イニングあたりの何人の走者を出したか」を表す数値で、1以下であればとても優秀といえます。

田中投手の場合は、2戦合計11イニングで許した出塁は9(被安打7・四死球2)。WHIPは0.81と、とても優秀な数字を残しています。

投球を見てもカットやツーシームなど、小さく動く変化球をコーナーに集めて打たせる場面が目立ちます。また、昔は空振りを多く奪っていたスプリットも、現在は変化幅が小さくなり、チェンジアップのようにタイミングを外す球種に変わったように見えました。

一方でスライダーは縦に大きく変化し、多くの空振りを奪っています。

現在は怪我からの復帰したばかりということもあり、石井監督も長いイニングは投げさせていないのでしょう。調子が上がってくれば、1イニングあたりの球数が少ない分、長いイニングを抑えてくれるはずです。

1試合100球前後の完投も見られるかもしれません。

まとめ

復帰2戦で1勝1敗ですが、素晴らしい投球を披露してくれた田中投手。まだまだ怪我から復帰したばかりで、さらに日本のボールやマウンドに適応中であることを考えると、今後はさらなる活躍が期待できるでしょう。

田中投手のさらなる活躍と、イーグルスの躍進が楽しみですね!

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