イーグルスの2019シーズンが終了・クライマックスシリーズの回顧

昨日のクライマックスシリーズファーストステージ第3戦、ホークスとの決戦に敗れた我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは2019シーズンが終了となりました。
今シーズンの振り返りをしていきたいところですが、まずは記憶に新しいクライマックスシリーズを振り返っていきましょう。

第1戦・千賀を攻略して粘り勝ち

第1戦は則本昂大、千賀の両エースが先発となりました。投手戦が予想されましたが、意外にも試合は初回から動いた。
1回表、3番浅村が千賀の甘く入ったフォークを仕留め、右中間へ先制ホームランを放つ!
ロースコアが予想されただけに浅村の一打は非常に大きなものとなりました。
しかし、その裏には今宮がライトスタンドへホームランを放ち、あっという間に同点。更に続く2回裏には内川がレフトスタンドへ勝ち越しとなる2ランホームランを放って2点差と広げた。

序盤であっという間に勝ち越しを許し、このまま終わってしまうのかとすら思われましたが、すぐさま3回表にオコエ瑠偉が高めのストレートを叩いてレフトスタンドへホームラン!滞空時間の長いホームランとなり、勝負強さを発揮。
更に5回表、再び浅村レフトスタンドへソロホームランを放って同点に追い付くと、7回表には茂木栄五郎左中間へ勝ち越しとなるソロホームランを放ち、ついに勝ち越しに成功した。
9回表には浅村がチャンスの場面で貴重な適時打を放ち、5-3で競り勝った。

先発した則本は6回3失点と、序盤の失点以降は立ち直って踏ん張った。7回以降は宋家豪、森原、松井裕樹という自慢の中継ぎ陣がホークス打線を封じ、終わってみれば3回以降は点を与えなかった。

浅村が勝負強さを発揮して3安打2本塁打3打点と大暴れし、オコエ、茂木といった若手も千賀から貴重なホームランを放ったことで競り勝つことができました。

まさにチーム一丸となって千賀を倒しに行き、投手陣は全力でホークス打線を抑えたと言っていいでしょう。
シーズン中とは違ったホームラン攻勢になったことも短期決戦においては重要な材料で、ファイナルステージ進出へ望みを繋ぎました。

第2戦・美馬が試合を壊し追加点も取れず

前日の勝利でファイナルステージ大手としたイーグルスは先発に今季ホークスとの相性が良かった美馬学を立てました。
ホークスの先発はバンデンハーク。今季は出遅れておりイーグルスとは今季初対戦。

まずは1回表、一死一三塁のチャンスを作るとブラッシュの三塁ゴロの間に島内が生還。この試合も先制に成功し、良いリズムで試合に入ったと言えるでしょう。
しかし、その裏すぐさま柳田のソロホームランで同点に追い付かれ、流れは分からない状況に。
2回は両者無得点に終わり、続く3回表。先頭の浅村ライトスタンドへホームランを放ち勝ち越しに成功!浅村は昨日に続く第3号となる本塁打でチームをけん引。
しかし、そう簡単には行かないのがクライマックスシリーズか。その裏、再び柳田の適時打で同点とされると、デスパイネにインコースのストレートを上手く弾かれ2ランホームランを献上してしまった。

とはいえ、ここで終わらなかったのが今季のイーグルスの粘り強さだったかもしれません。4回表、一死満塁のチャンスを作ると再び浅村に打席が。その浅村は低めの球を上手く拾い上げ、ライト前ヒットで同点に追い付く!まさに浅村様様という活躍を見せてくれました。
しかし、続くブラッシュが三振、銀次が四球で再び満塁にするも藤田がサードライナーに倒れ、勝ち越しとはならず。

そしてその裏、先頭の福田に完璧に捉えられた。ライトスタンド中段まで運ぶ完璧なホームランであっという間に勝ち越しされると、5回裏には高梨→青山の継投を試みるもデスパイネに適時打を打たれ2点差に。

ここまで取られては取り返して、一進一退の攻防を見せていたものの、ホークスの中継ぎ陣に後半は抑え込まれ、4-6で敗れました。

この日も浅村は本塁打を含む3打点と活躍したが、続くブラッシュ、銀次、藤田辺りがパッとせず繋がらなかったのが痛かったと言えるでしょう。
また、先発した美馬は4回5失点、3被弾で降板。相性の良さを買われて先発したが完全に裏目に。もともと美馬は良い時は物凄く良いが悪い時は悪く、安定感に欠ける投手という印象が強い。いくらシーズン中の相性が良いとはいえ、3回までに4失点した時点で4回は辛島や石橋といった先発もできる投手へ継投したほうが、あるいは流れが変わっていたのではないかと悔やんでなりません。

何のためにこうした長いイニングも投げられる投手を待機させていたのか。短期決戦は後手に出たら終わりであり、その辺りの経験は平石監督にとって難しい判断だったのかもしれませんね。

第3戦・最後は攻撃力と経験の差が出たか

泣いても笑っても最後の1戦。勝てばファイナルステージへ、負ければ今季が終了する一戦。
イーグルスの先発は最後の切り札、岸孝之投手。対するホークスも二桁勝利を上げている高橋礼を起用。
これまでの2戦とは打って変わって序盤から投手戦となり、試合は膠着。
試合が動いたのは4回表、ここまで絶好調の浅村ライトスタンドへホームラン!!なんと3試合で4本目の本塁打と大暴れしており、先制に成功。
しかし、試合が動くと相手にも点が入るのがこのシリーズの傾向だったかもしれません。その裏に岸が二死から連打でピンチを招き、内川に適時打を浴びて同点に追い付かれました。

とはいえ、その後は再び膠着状態となり、岸は6回1失点で降板。継投に入った7回裏、宋家豪が内川にまさかのソロホームランを浴びてしまう。結局これが決勝点となり、その後は両チームの中継ぎ陣が抑えたものの、イーグルスは追加点が取れなかった。
1-2で敗れ、クライマックスシリーズ敗退となり、2019シーズンも終了となりました。

この試合は全体的に投手戦であったことは事実で、最後に打たれたのは宋家豪でしたが、彼を攻めることは出来ないでしょう。
それも打たれた相手が2失点とも内川聖一。まさにシリーズ男、短期決戦での強さは全く変わっておらず、経験の差が出たように感じました。

一方、イーグルスは浅村が一人気を吐いたものの、他の野手での繋がりを欠き適時打が少なかったのが痛かったでしょう。

課題その1:打線の繋がり

野手陣を見れば、まず第一に浅村が大活躍したことは間違いない。彼がいなければ、もっと悲惨な結果になっていたかもしれません。
また、浅村に繋ぐ島内、茂木も持ち味を発揮したようには見えましたが、せっかく浅村が4本の本塁打を放ったにも関わらず全てソロホームランだったのは勿体なかった。

とはいえ、浅村以降の打者が深刻で繋がりに欠けたのが大きな要因ではないでしょうか。
特にこのシリーズを通じてブラッシュが打てず、続く銀次もチャンスメークした場面もあったものの、ここぞという時に打てなかった。
ウィーラー、藤田、その後の下位打線も全体的には繋がりを欠き、いざという時の代打もフェルナンド、渡邉佳明、下水流らではパンチが足りない。
やはり、そこで嶋や今江といったベテランの力が欲しかったのは事実でしょう。裏を返せばホークスは内川、デスパイネといった経験豊富な好打者がきっちりと決めたことで効果的な点が取れた。

本来はイーグルスも戦力が揃ってはいたものの、結局はオコエや辰己、渡邉佳明といった若手に頼らざるを得なかった点は勝ち切れなかった要因と考えられるのではないでしょうか。

課題その2:美馬の誤算

このシリーズ全体を通して投手陣はよく踏ん張ったといえるでしょう。
則本は序盤で失点したものの、その後は粘って打線の援護を待ち、岸も1失点でしっかりと抑えることが出来た。
中継ぎ陣も宋家豪が最後に打たれたとはいえ、1失点に留めたのは及第点と言いたい。

やはり第2戦で美馬が試合を壊したところから、結果論ではあるが歯車が狂ったのかもしれません。
もちろん、第3戦で岸が好投し、それを援護できなった野手陣の責任は重いでしょう。

だからこそ、第2戦の序盤、3回までに4失点した美馬を4回表の時点で4-4の同点に追い付いたところで美馬を降板させ、流れをホークスに持っていかせない試合展開が必要だったのではないかと考えています。あそこの4回裏、5回裏で突き放されたことで、結果的には息の根を止められたような印象がありました。

ポストシーズンの経験を積んで

そもそも今季活躍した主な戦力は、野手陣で言えば浅村、ブラッシュの新加入選手と辰己、渡邉佳明、太田光といったルーキーでした。
浅村は昨年のチャンピオンチームから移籍しただけあって流石の活躍を見せましたが、その他の選手は今一つ結果を出せなかったのは事実でしょう。
本来はここで経験のある嶋や今江が一軍にいて欲しかったし、藤田、銀次、ウィーラー、島内、もっと言えば岡島豪郎や渡辺直人といった選手の存在も必要だったのかもしれません。
「今を勝つ」ことを考えれば短期決戦において経験豊富な選手は必要不可欠であり、そこに意外性を求めてオコエや辰己といった若手を起用するならバランスも取れているといえるでしょう。

とはいえ、それを言っても仕方がありません。
むしろ、若手がポストシーズンの経験を積めたことで必ず来シーズンに活きてくることを期待するしかありません。

とにかく、クライマックスシリーズファーストステージまで戦い抜いた選手や首脳陣、関係者の皆様、そして必死に声援を送ったファンの皆様、2019シーズンお疲れ様でした。

思えば昨シーズンは断トツの最下位に終わり、5月の時点で自力優勝が消滅するという屈辱感な1年でした。
それを思えば、大型補強をしたとはいえ1年でAクラスを掴み取り、ホークスと最後まで熱戦を繰り広げたのは胸を張っていいのではないでしょうか。

明日以降の記事で今シーズンを振り返っていきますが、まずはクライマックスシリーズが引き締まったレベルの高い試合だったことを誇りに思います。

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