田中将大や浅村がいても最下位・チーム再建に石井一久監督の辞任は必須

昨シーズンは開幕ダッシュに成功するも、最大貯金18から借金転落でBクラス・4位で終えたイーグルス。
今シーズンは開幕戦こそ勝利したものの、得点力不足と中継ぎ陣が課題となり、ゴールデンウイークが終わった5月7日終了時点でまさかの最下位

昨シーズンの同時期はパ・リーグ最速20勝に到達したチームが1年で最下位転落の危機的な状況。
もちろんまだ30試合ほど。
残り100試合で状況は変わりますが、現状の課題と今後のイーグルスに必要な要素をまとめていきたいと思います。

現状の成績

まずは成績(数字)から整理していきましょう。
※いずれも2023年5月7日終了時点
※カッコ内はパ・リーグ内順位

29試合12勝17敗0分勝率.414(6位)

開幕戦こそ敵地エスコンフィールドのこけら落としを勝利で飾ったものの、5月に初めて3連勝と、それまで連勝がなく借金5の最下位
最下位争いとなった5月5,6,7日の北海道日本ハムファイターズ3連戦にも負け越したことで文句なしの単独最下位となっています。

打撃成績

打率.213(6)/85得点(6)/24本塁打(2)/22盗塁(1)

実に興味深いデータといえます。
近年課題だった盗塁数は現時点でパ・リーグ1位
選手別にみると小深田大翔選手が8盗塁(リーグ2位)でけん引しており、辰己涼介5盗塁、山崎剛3盗塁と続いています。

また、なぜか本塁打数がリーグ2位
それでいて打率・得点がいずれもリーグ最下位
明らかに打線のつながりに欠けており、ホームランでしか得点が取れない極端な打線となっています。

投手・守備成績

防御率3.20(5)/99失点(4)/14失策(3タイ)

チーム防御率、失点いずれもBクラスの成績。
昨シーズン少なかった失策数も他球団並みとなっています。

とはいえ、現状首位を快走するオリックスがチーム防御率6位、失点数5位となっており、決して守備力は高いといえません。
それでも勝率6割で首位。打率・得点打点数・安打数・二塁打数など主要な打撃成績がいずれもリーグトップ。
後述しますが、結局「野球は点取りゲーム」だということを証明しています。

相変わらずの得点力不足

何度書いても一向に変わらないのが逆にすごい。
ほぼ毎年のようにイーグルスコラムで得点力不足が課題だと書いていますが、今シーズンも現時点ではお馴染みとなっています。

前述の通り、チーム打率・得点数で最下位。打点数も5位と低迷しています。
それでいてホームラン数がなぜかリーグ2位。
今シーズンの試合を見ていれば分かりますが、ホームランばかりでタイムリー(適時打)が出ません
無死満塁でも無得点は当たり前。チャンスはピンチ。
Twitterで何度も皮肉を書いてしまいましたが、そう呟きたくもなります。

低迷する浅村・島内

いつまでも彼らに依存するのはチームとして課題ですが、現状の戦力を踏まえると頼らざるを得ません。
今シーズンから主将に就任した浅村栄斗選手は打率.186/10打点と低迷。
島内宏明選手も打率.187/10打点と揃って打率1割台。
そんな彼ら以外にここまでフル出場しているのが山崎剛選手のみですから、チームとして点が取れないのも当然です。

頼みのフランコもイマイチ

失敗続きの外国人選手。
2年目のギッテンスはオープン戦こそ好調でしたが開幕前に故障する体たらく。そろそろ復帰するそうですが、余程の活躍をしない限り退団が濃厚といえるでしょう。

一方、球団としてはアンドリュー・ジョーンズに次ぐメジャーホームラン数を誇る頼みの助っ人マイケル・フランコ選手も打率.185/10打点と低迷。
浅村、島内、フランコの打率と打点がびっくりするほど同じ低水準。

フランコに関しては三塁の守備で強肩を発揮するなど、DHしかできない外国人選手に比べれば活躍の場があるだけに、打撃の状態が上向いてくれるのを願うしかありません。

奮闘する小深田・山崎剛

低迷する野手陣のなかで奮闘しているのが小深田大翔選手と山崎剛選手
お互いにショートのレギュラー争いをしていましたが、現時点では山崎剛がショートに定着。
一方で小深田もセカンドや外野など複数ポジションをこなしながら、盗塁数はチームトップでリーグ2位。打率.265はリーグ11位に入っています。

ショートのレギュラーを獲得した山崎剛は出塁率.373でリーグ6位
つながらない打線の中でレギュラーを獲得した彼らは奮闘するも、残念ながらそれに続く他の野手がパッとしません。

昨シーズンと対照的な投手陣

昨シーズンは「豪華先発投手陣」がまさかの課題となり、試合を作れないシーンが目立ちました。
中継ぎ陣は安定していただけに、そこにつなぐまでの先発が踏ん張れず課題でした。

頑張っている先発投手陣

今シーズン大きな戦力変化はないものの、若手では次世代エース候補の瀧中瞭太と早川隆久、いよいよ活躍が期待されるドラフト1位入団の藤平尚真がローテーション入り。
涌井秀章はトレードで退団しましたが、則本昂大、田中将大、岸孝之の中堅ベテラン勢は健在。
そこに新戦力のドラフト1位ルーキー荘司康誠投手が堂々としたピッチングを見せています。

先発投手陣の主な成績
  • 藤平尚真:3登板2勝1敗 防御率2.60
  • 田中将大:6登板2勝2敗 防御率2.97
  • 岸 孝之:4登板1勝1敗 防御率4.71
  • 瀧中瞭太:4登板1勝1敗 防御率2.53
  • 早川隆久:4登板1勝2敗 防御率1.54
  • 荘司康誠:3登板0勝1敗 防御率3.24
  • 則本昂大:4登板0勝2敗 防御率2.13

防御率をみればロッテ戦で打ち込まれた岸孝之投手が高いものの、他の先発投手陣は十分に試合を作っているといえます。

その岸も5月2日のロッテ戦で8回1失点と好投。通算150勝目をマークした節目の勝利で復調気配。
防御率1点台と素晴らしい成績の早川隆久が1勝にとどまり、則本昂大は援護なく2敗。
プロ初勝利が期待される荘司康誠もルーキーながら頑張っていますが未勝利。
明らかに打線の無援護や中継ぎ陣の不振が課題となっています。

若手の中継ぎ陣が崩壊

ここ数年、安定感のあった中継ぎ陣がここまで崩れています。
戦力的には良くも悪くも若手が中心。
ルーキーの伊藤茉央投手が開幕からフル回転しています。

中継ぎ投手陣の主な成績
  • 宮森智志:15登板3ホールド 防御率4.50(0勝2敗)
  • 西口直人:14登板7ホールド 防御率5.68(0勝4敗)
  • 鈴木翔天:14登板5ホールド 防御率5.73
  • 伊藤茉央:13登板3ホールド 防御率3.72
  • 安樂智大:11登板1ホールド 防御率3.18
  • 宋 家豪:6登板3ホールド 防御率6.00
  • 松井裕樹:9登板5セーブ 防御率0.00

中継ぎ投手としては、どの投手も明らかに防御率が高すぎます
守護神・松井裕樹投手は引き続き安定感があるだけに勿体ない限りです。

昨シーズン活躍した西口、宮森が特に打たれており、さすがにまだ経験不足を露呈しています。

これからのイーグルスに必要なこと

良くも悪くも、まだ開幕したばかり。
交流戦を控え、残り100試合もあれば最終的な順位がどうなるかは全く分かりません。

とはいえ、現時点では最下位という結果が示す通りチーム状態は最悪。
今シーズンはもちろん、今後のイーグルスに必要なことを考えていきます。

打線の奮起・得点力

打線がつながり得点力があるチームは上位に行きます。

現状のオリックスもそうですし、Twitterで何度も書いていますが2018年リーグ優勝した西武ライオンズがまさに「打って勝った1年」でした。
当時のライオンズはチーム防御率がリーグ最下位の4.24でしたが、チーム打点はダントツトップの761。
1試合あたり5.32点取っている計算なので、たとえ4点取られても5点取る、そんな戦い方でリーグ優勝を果たしたのです。

野球は点取りゲーム」とはファンとの交流イベントで松井裕樹投手の口から直接聞いた言葉です。

いくら先発投手が完全試合のような好投をしても、打線が1点も取れなければ引き分けで終わり、勝利は絶対にありません。
誰でも分かることですが、いかに意識してチーム方針に落とし込み、チーム作りや選手育成をしていくか。
それができていないから、ずっと得点力が課題になっています。

とはいえ、もうシーズンは始まっています。
とにかく現状はポイントゲッターの浅村、島内、フランコの状態が上がることを願うしかありません。
彼らが低空飛行に終われば、チームもまたBクラスに終わるでしょう。

若手に依存する中継ぎ陣

ここまでの誤算とも言える、中継ぎ陣の崩壊も深刻な課題。
石井一久監督の采配からして、昨シーズンあたりから、やたらと若手の起用が目立っています。
それ自体は否定しませんが、経験豊富な酒居・宋家豪・安樂あたりもパッとしないのは課題です。

ブセニッツが退団してしまい、新加入のバニュエロスは先発候補(それも未だ二軍調整)。

若手に経験させること自体は否定しませんが、それならそれで新庄監督ではないですが「優勝は目指さない」方針を打ち出すべき。
常勝軍団を作るという発言とは裏腹に、チグハグな采配となっています。

結局、中継ぎ投手陣も安定した成績を残せるのは松井裕樹と安樂智大投手くらいしか輩出できず、苦しい状況です。

石井一久監督の限界・今シーズンで退団が必須

いろいろと書いてきましたが、結局のところチームが低迷する原因・要因は石井一久監督にあるといえるでしょう。
今年はGMを辞めたとはいえ、ここ2年のイーグルスを全権監督として指揮。大きな権力を持っていたのは事実です。

石井一久氏の”GM”としての手腕が素晴らしかったのは認めます。大いに評価しています。
浅村栄斗選手や田中将大投手など石井一久GMだからこそ獲得できた選手は一定数います。

一方、“監督”としては明らかに経験不足ではないでしょうか。
選手としてはメジャーリーグでも活躍した名投手でしたが、指導者・現場指揮者としては物足りないのは成績・采配からも分かります。

石井一久”監督”の基本方針は「守って勝つ野球」。
本人も過去に何度かコメントしているので恐らく間違っていないでしょう。
確かに投手や守備を中心とした守り抜く野球で好成績を残した監督・チームも存在します。
するにはしますが、時代の流れやパ・リーグの傾向を鑑みると、やはり点を取れるチームが強いのではないでしょうか。

今シーズンはGM職を辞めて監督に専念しています。
それでいてこの成績ですから、GMを辞めたのはイーグルス自体を離れる布石かもしれません。
良く言えば背水の陣という覚悟。悪く言えば逃げ道を作った。

かつて、2019年に3位Aクラス入りを果たした平石洋介監督(当時)を解任。
「3位はBクラス」とまで豪語して、4位に終わった後任の三木肇監督(当時)もわずか1年で解任(二軍監督に再起用)したのは記憶に新しいところ。

2021年から監督(GM兼)に就任した石井一久氏ですが、3位→4位と本人に言わせれば2年連続Bクラスの状態です。

もはやGM就任当時に豪語していた「常勝軍団」とはかけ離れてきており、再び「Bクラス常連軍団」に戻りつつあります。
それでいて田中将大や浅村栄斗など年俸の高い選手を抱えているだけに、チームバランスが悪くなるばかりです。

見習うべき日ハム新庄野球

それこそ、日本ハム新庄監督のように若手育成に振り切った方針の方がファンも期待して見ていられます。
正直、いまの日本ハムは近藤健介選手が抜けて戦力的に苦しい状況は続いています。
それでも新庄監督はじめとした首脳陣や選手の努力もあり、就任2年目にして初の最下位脱出となりました。
話の次元は低いかもしれませんが、正直あの戦力でよく頑張っている、いま最も勢いのあるチームだと感じます。

そこからすれば、イーグルスも首脳陣はじめ根本的なチーム作りから見直す必要があるでしょう。

石井一久氏には大変お世話になりましたが、監督退任・退団を前提に来シーズン以降の戦略は今から練って方針を決定すべきです。
常勝軍団は目指さなくていいので、5,6年に一度、優勝して欲しい。
後はBクラスでもいい。
私は、そのような考えです。

そのくらいの方向性で育成計画や外国人はじめ新戦力の獲得計画を練ってみてはいかがでしょうか。
結果として常勝軍団になる可能性はあるかもしれませんが、最初から目指すものではない。

3年Bクラスでもいいから徹底的に育成して4年目に優勝する

その方が夢も希望もあって、応援のしがいもありそうです。

呼び戻すべき球団OB

とはいえ、石井一久監督が辞めたところで、現実的に後任がしっかりしなくては意味がありません。
イーグルスは球団の性質上、楽天グループという巨大な親会社の存在が無視できません。
会社として資金力があるので現状の戦力(年俸)も賄えていますが、反面、若手の育成や球団OBとの軋轢も足かせとなっています。
三木谷オーナーの現場介入も課題になっていました。

石井一久氏が来たことで三木谷オーナーの現場介入は沈静化したと信じていますが、退団すれば再び問題が起きそうです。
そうならないためにも、せっかく設けたGMのポジションから球団OBで固めていくのが最善策であると考えています。

具体的には岩隈久志氏、平石洋介氏、嶋基宏氏といった指導力・影響力ある球団OBには、ぜひともイーグルスに戻ってきてほしいところです。

球団OBで固める理想的なチーム作り

東北楽天ゴールデンイーグルスも球団創設から20年が経とうとしています。
スタートこそ「寄せ集め軍団」だったのは仕方ないですが、そろそろ球団OBにも素晴らしい人材が揃ってきているのではないでしょうか。

近年、監督を囲むコーチ陣こそ球団OBの名前が挙がるようになってきましたが、今後は監督やGMにも就任いただき、まさにチーム一丸となって新たなイーグルスを作り上げて欲しいです。
それこそイーグルスにとって次の10年を作り上げる首脳陣は、前述のような球団OBの存在が必要不可欠です。

選手の活躍はもちろんですが、長年のファンからすれば現役時代を知っている方々が監督コーチとしてチームを支えてくれる姿も楽しみです。

そのためにも、まず石井一久監督にはご退団いただきましょう。
常勝軍団という夢を見させてくれたことには感謝しています。

次の10年は現実を見ていきましょう。

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