2年ぶり第6代目主将に浅村栄斗!石井一久氏は監督専念・大型補強せず土台固め
まさかのBクラスに沈んだ2022シーズンの東北楽天ゴールデンイーグルス。
シーズン前の予想では得点力不足が課題であり、豪華な先発投手陣と安定感の中継ぎ陣がどれだけ粘れるか、と考えていました。
しかし、終わってみれば打線の各種チーム成績はパ・リーグ上位に入った一方、先発投手陣の防御率がまさかの最下位、救援防御率も4位と意外にも投手陣が振るいませんでした。
援護率がリーグ2位を踏まると明らかに投手陣が安定感を欠きました。
また、その責任は投手陣だけでなく、主にメイン捕手として出場した炭谷銀仁朗捕手の捕手成績もイマイチ。
加えてオフには光山コーチの退団も決定(しかも千葉ロッテに移籍)。
バッテリー陣の課題と不安は大きいといえます。
とはいえ、オフシーズンでの補強で来季に向けた準備と強化も着々と進んでいます。
そこで今回は2022オフのチーム動向、戦力補強などを整理して来季への展望を考えていきます。
目次
主な2022オフシーズンのトピックス
まずは今オフの出来事を整理していきましょう。
FA市場には参加せず
毎年オフシーズンの注目となるのがFA(フリーエージェント)市場。
今オフの主な注目選手はライオンズの森友哉捕手とファイターズの近藤健介外野手の2名。
更にベイスターズ嶺井博希、バファローズ伏見寅威両捕手もFA宣言するなど捕手が注目されました。
とはいえ、結果的にイーグルスが獲得に動くことはなく、近藤健介選手に至ってはイーグルス以外のパ・リーグ5球団が争奪戦に乗り出す中で唯一の静観。
結果としてホークスへの移籍が決定(更に嶺井捕手も獲得)。
ホークスはまさに「なりふり構わず」で戦力強化を図っていますが、イーグルスとしては一歩引いてみていたように感じました。
FA権保有の田中将大、浅村、辛島の残留決定
11月1日に辛島航投手、11月2日に浅村栄斗選手、11月9日に田中将大投手が、それぞれ保有するFA権を行使せず残留決定が発表されました。
そう考えると石井一久GM兼監督をはじめフロントはFA市場への参入はせず、彼らとの交渉に注力していたと考えてもいいでしょう。
もちろん、それだけの価値がある選手たちですので、残留決定は一安心。
浅村栄斗選手がイーグルス打線に必要不可欠なのは言うまでもないでしょう。
また辛島投手は人的補償なしのCランクだったため、宣言すれば獲得したい球団はあったはず。
一方、田中将大投手はシーズンを通してローテーションは守ったものの、終盤の期待を裏切る投球と、その裏にある高額年俸で悪いイメージが先行。
メジャー復帰の可否も話題になりましたが現実的に厳しかったようで、大幅減額での交渉成立で「一件落着した」といえるでしょう。
来シーズンも過度な期待はせず、「年を重ねたマー君の投球術」を見守りたいところです。
交換トレードで阿部選手を獲得
11月15日、イーグルスの涌井秀章投手と中日ドラゴンズの阿部寿樹(あべ としき)内野手の交換トレードが発表されました。
突然のことで驚きましたが、どうやらドラゴンズ側が涌井投手の獲得を打診したそうで、リストには阿部選手が入っていたようです。
阿部選手は岩手県出身の33歳。
2022シーズンは133試合に出場して打率.270 57打点と主軸の活躍。
イーグルス打線にとって左打者への偏り、右の強打者不足が課題となっているだけに魅力的な戦力補強になったといえるでしょう。
涌井投手の離脱は残念ですが、その穴を埋める若手投手のローテ入りに期待するしかありません。
育成契約でジャイアンツからウレーニャ獲得
11月16日、ジャイアンツを戦力外になっていたエスタミー・ウレーニャ内野手と育成契約を結んだと発表。
1軍では通算15試合の出場にとどまるも、2022シーズンは2軍で12本塁打、57打点をマークして打点王を獲得。
ドミニカ出身の23歳。
今オフは右の大砲候補だった内田靖人、岩見雅紀を戦力外にしているだけあって「次世代の右打者育成」にシフトしたと考えられます。
投手と野手での違いはありますが、今シーズン育成から活躍した宮森投手のようなサプライズデビューにも期待したいところです。
外国人選手の補強
12月1日にマイケル・フランコ内野手、12月8日にマニー・バニュエロス投手の獲得を発表。
フランコ選手はドミニカ出身の30歳。メジャー在籍9年間で通算130本塁打を放っている右打者のため、こちらも「右の大砲」として活躍が期待されます。
バニュエロス投手はメキシコ出身の31歳。最速154キロのストレートとカーブを織り交ぜる技巧派左腕。久しぶりに外国人選手として先発ローテーション入りが期待されています。
外国人選手の動向としては近年ブルペンを支えたブセニッツ投手と昨シーズン加入のマルモレホス選手の退団が決定。
右のギッテンスと中継ぎの宋家豪は残留となったため、実質的な入れ替えと考えられます。
余談ですが、過去イーグルスに在籍した主な外国人選手の「メジャー通算本塁打数」および在籍年数は以下の通り。
フランコ選手のメジャー通算成績は上位に入るもので、期待が高まります。
(アンドリュー・ジョーンズ選手が別格だったことも明らかですね。)
- アンドリュー・ジョーンズ:434本(17年)
- ケーシー・マギー:67本(8年)
- カルロス・ペゲーロ:13本(5年)
- ホセ・マルモレホス:10本(2年)
- ゼラス・ウィーラー:2本(1年)
- ジャフェット・アマダー:なし
※MLBのものでマイナーは除外
石井一久氏がGMを退任して監督業に専念
12月4日、石井一久GM兼任監督がGM職を務めず、監督に専念すると発表されました。
これまでにGMとしての手腕は高く評価してきた一方、監督としての采配はチグハグ感や経験不足も否めなかったのは事実。
過去2年間の経験を踏まえ、どこまで勝負できるか、期待です。
とはいえ、もしまた結果が出なかった場合は「責任を取って辞任」のストーリーもあり得ます。
近年のイーグルスは親会社・楽天との関係性も問題視されており、石井一久氏ほどの器じゃないとコントロールできないという危惧もあります。
万が一、2023シーズンもBクラスに終われば退任は免れないでしょう。
それだけ覚悟をもって臨んでいると期待したい一方、一抹の不安もよぎっています。
現役ドラフトで正随優弥選手を獲得
12月9日、プロ野球史上初の試みとなる「現役ドラフト」が実施され、イーグルスは広島カープの正随 優弥(しょうずい まさや)外野手を獲得したと発表。
イーグルスからはオコエ瑠偉選手がジャイアンツへ移籍しました。
正随選手は高校野球の名門大阪桐蔭から亜細亜大学へ進学後、2018年ドラフト6位でカープに入団。
180センチ100キロの体格は魅力的で、やはり補強ポイントとなっている「右の大砲候補」として期待されます。
チームとして2年ぶりに浅村を主将任命
12月16日、浅村栄斗選手がチームとして第6代目となる主将(キャプテン)に就任したと発表されました。
2021年の茂木栄五郎選手を最後にキャプテン制を停止していたイーグルスにとって2年ぶりの決定。
私自身は生え抜きから則本昂大投手や島内宏明選手あたりを予想していましたが、思えば浅村栄斗選手も来季でイーグルス在籍5年目。
2022シーズンはフル出場を果たすなど、打撃内容はもちろん「試合に出続ける」という最も基本だが重要な役割を担ってきました。
先代の茂木栄五郎は責任感が強すぎ、先々代の銀次はキャプテンシーのかけらもない選手だったので、成績はもちろん野球に対する姿勢ともに優れている浅村選手のキャプテンとしての存在は、より大きいものと言えるでしょう。
本人のコメントにもあるように何か大きく変化する必要はないと思いますが、引き続き背中で引っ張って欲しいですね。
ちなみにイーグルスの歴代主将は以下の通り。
- 鉄平(2011年)
- 松井稼頭央(2012~2014年)
- 嶋基宏(2015~2018年)
- 銀次(2019年)
- 茂木栄五郎(2020~2021年)
- 浅村栄斗(2023年~)
2023シーズンの躍進はバッテリー強化次第
こうしてみるとものすごい大きな補強はなかったものの、浅村栄斗選手の残留および主将就任や阿部選手の獲得など、右打者に関して積極的な補強が感じられます。
また冒頭でも挙げた通り、先発投手陣が予想外に崩壊した穴埋めをすべく、ドラフト会議にて即戦力となりそうな投手を積極的に指名・獲得しています。
新人にいきなり期待するのは酷ですが、2022シーズン振るわなかった早川隆久、瀧中投手らの再起をはじめ、中堅の辛島投手、忘れちゃいけない塩見貴洋投手や藤平投手にも期待されます。
また、同時に考えるべきは捕手の存在。
近年では太田光捕手が期待されてきましたが「正捕手」には程遠い状況。
結果としてベテランの炭谷銀仁朗捕手が先発マスクの試合が増えた一方、打たれているのも事実。
バッテリーに関して大幅な戦力変化はないだけに、オフにしっかり対策と準備をしてもらい、特に太田光捕手が正捕手になれるかどうかが上位争い、優勝争いに重要な要素となるでしょう。
首脳陣では石井一久氏が監督に専念。
コーチ陣も大幅な変化はないので主に引き続きの顔ぶれでじっくり粘り強くやってもらうしかありません。
いずれにしてもシーズン序盤に飛ばし過ぎないことは永遠の課題です。
流石にチームとしても理解しているはずなので、何とかしてもらいたいですね。
またキャンプを経てオープン戦の内容などもみながらシーズンを占っていきたいと思います。
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