現戦力で借金生活の危機・来季の監督交代は必至か

「やっぱりいつものイーグルスか」

そう落胆するファンも多いでしょう。
もちろん私もその一人。

今シーズンは開幕からスタートダッシュに成功。
2017年に並ぶ球団最速タイ記録となる27試合目での20勝到達。
これは過去15度あったパ・リーグの中で10度優勝を決めている好成績。

その後は更に球団新記録となる11連勝をマークするなど、最大18の貯金で首位を快走していました。

しかし、なぜか序盤好調でも後から失速するのが楽天イーグルスの弱点
「今年こそ大丈夫」という方もいれば「いやいや分からない」と不安だった方もいらっしゃったことでしょう。

結果として後者の考えが当たりとなってしまいました。

最大18あった貯金は7月14日終了時点で1となり、もはや借金生活、Bクラスも十分に考えられる状況となりました。

そこで今回は不振の原因を分析しつつ、チームとしての根本的な問題点と解決策を考えていきたいと思います。

現状の成績

まずは成績(数字)から整理していきましょう。
※いずれも2022年7月14日終了時点
※カッコ内はパ・リーグ内順位

80試合40勝39敗1分(3位)

最大18あった貯金は1にまで減少。
目下5連敗中で、3位だったライオンズに3連敗で抜かされ、最下位ファイターズにも2連敗と酷い状況です。

打撃成績

打率.237(2)/269得点(4)/49本塁打(4)/58盗塁(2)

打率と盗塁数は2位ですが、得点とそれに関連する本塁打数はBクラス。
盗塁数は長年の課題だっただけに改善されているといえますが、得点に絡んでないのは引き続き課題です。

投手・守備成績

防御率3.14(5)/256失点(3)/23失策(1)

頼みの投手陣も防御率が悪化しており5位と低迷。
今季の強みだった失策数はまだ1位を維持しているが23と急増。

どの成績をみても明らかにバランスが悪くなっており、もはやBクラス入りも不思議ではない状況といえます。

長年の課題・得点力不足が解決しない

もう言いたくないよ、というのが本音ですが、とにかく得点力不足が長年の課題
今シーズンは西川遥輝選手の加入によって盗塁数こそ改善されているものの、得点に結びついていないのは事実。

打線の主軸である浅村栄斗、島内宏明あるいは序盤好調だった西川遥輝選手に依存しているため、彼らが打てないと勝てない試合が続いています。

失敗続きの外国人野手

確かに強いチームには絶対的な主砲が引っ張っていく構図が理想的です。

今シーズンでいえばヤクルトスワローズの村上宗隆選手。
まさに神がかり的な活躍でセ・リーグ首位を走るチームの攻撃力をけん引しています。

とはいえ、特に今シーズンはパ・リーグ全体として投手陣の活躍が目覚ましく、防御率1点台の投手が5名、打率3割台の野手が1名と異常な状況

こうした状況を加味すると仕方ない部分もありますが、だからこそ「打線」として機能する必要があります。
そういった意味で欠かせないのが「助っ人」の存在でしょう。

思えば2013年は田中将大投手の活躍が目立ちましたが、打線にはアンドリュー・ジョーンズとマギーという強力な外国人野手がいました

近年はブラッシュ、ウィーラーの活躍を最後に失敗続き。

昨年のディクソン、カスティーヨは散々。
今年もギッテンスはケガ続きで何もしておらず、マルモレホスはやや活躍したものの現在は二軍生活。後半で余程の爆発的な活躍をしない限り厳しい状況です。

絶対的な主砲がいなくとも、強いチームにはここぞという場面で頼りになる助っ人外国人選手の存在があります。

失敗続きの外国人選手も得点力不足が解消できない原因と考えられるでしょう。

野手の育成は失敗?中堅依存打線

外国人選手がダメなら若手が伸びてくれば・・・

その期待も残念ながら現時点では望みが薄くなっています
ここ数年はドラフトやトレード等で積極的に野手を獲得しており、層の厚みを目指してきました。

しかし、結局のところレギュラークラスになったのは小深田大翔選手くらい。

大砲候補の和田恋、内田靖人、岩見雅紀らは一軍に上がってもなかなか結果が出ない。
(そもそもあまり昇格させない石井監督の采配にも疑問視)

外野手争いが白熱してると考えていましたが、こちらも結局は守備力重視でパンチ力に欠ける布陣。
(唯一、島内宏明選手が生え抜きでタイトル獲得・主軸に育ったのは朗報)

結局、最近のスタメンオーダーをみると浅村、銀次、岡島豪郎、鈴木大地といった中堅依存打線となっています。

投手王国は築けている一方、野手の育成には失敗してると言わざるを得ない。
その結果、運よく加入した西川遥輝選手の大活躍に依存しなければ勝てないという課題が浮き彫りになりました。

確かに武藤選手など若手の活躍も出始めてはいますが、流石に頼り過ぎるのは酷。

そういった意味で下記にピックアップした選手が年齢・キャリアを考えると明らかに物足りないといえます。
(監督の采配も含め)

  • 茂木 栄五郎
  • 辰己 涼介
  • 田中 和基
  • 小郷 裕哉
  • 渡邊 佳明
  • 和田 恋
  • 内田 靖人
  • 岩見 雅紀
  • オコエ 瑠偉

我慢強くも限界がある投手陣

ご存知の通り、先発ローテーションは超豪華。
中継ぎ陣もブセニッツ投手の離脱はあるものの守護神・松井裕樹投手が絶好調。
安樂、西口、鈴木投手ら若手も頑張っています。

とはいえ、流石に我慢の限界といえるでしょう。

前述の通り今シーズンはパ投手陣が活躍している傾向ですが、チーム防御率トップの田中将大投手ですら2.95と悪化傾向。
その田中将大投手は2年目で期待された一方、打ち込まれるシーンも目立っており4勝7敗と借金生活
(12球団の現役選手で最も年棒が高いとされていることも忘れてはいけません)

則本昂大、岸孝之投手がいずれも6勝4敗で貯金を作っているものの、3勝1敗の涌井秀章投手が離脱中。

2年目の早川隆久投手は最近崩れ始めており、5勝6敗で二軍降格が決定。
昨シーズン活躍した瀧中瞭太投手は1勝5敗と不振。

豪華豪華と言われた先発投手陣も、結局は近年のイーグルスを支え続ける則本・岸に頼らざるを得ないのは情けない限り。

年齢的にも則本昂大投手31歳、田中将大投手33歳、涌井秀章投手36歳、岸孝之投手37歳。

近年は選手寿命が延びている傾向にはありますが、彼らが崩れていくと、あっという間にイーグルスの先発投手陣は崩壊の危機を迎えます。

20代の「次なるエース」が実はいません。

今年の戦力を逃せば当面厳しい

すでに過去の記事で触れていますが、今シーズンは投打ともに優勝して何ら不思議じゃない戦力が揃っていると考えています。

にもかかわらず、優勝はおろか下手すればBクラスも考えられる状況。
シーズンの半分以上80試合を消化して現在の状況は信じられません。

唯一の救いはパ・リーグ全体が混戦模様という点だけ。
貯金1でも上位とそれほど離れていないのは不幸中の幸いです。

今シーズンの戦力で優勝を逃せば、また当面は厳しい状況が続くのではないかと危惧しています。
何としてでも上位に這い上がって欲しいですが、チームを鼓舞する強烈なリーダーシップが足りません。

いまのイーグルスに必要なのは戦力でなく、リーダーシップです。

「育てながら勝つ」はどこへ?

石井一久監督は「若手に経験させて育てながらも勝っていく」という発言で方向性を提示していました。

とはいえ、現実は投手陣なら則本・岸・田中将大ら古株に頼り、打線も西川・浅村・島内が中心。
しいて上手くいっているのは中継ぎ陣の安樂・西口・鈴木翔といえますが、それ以外は先発も野手も中途半端。

チームが打撃不振に陥ると代打の切り札で好調だった銀次をスタメン起用せざるを得なくなるなど、育てながら勝つ方針は知らず知らずのうちに撤回されているようにも見受けられます。
(そもそも勝てなくなってきたので育てるどころではない、というところか?)

監督交代は必至・勝てる監督を呼び育成にも注力すべき

現状を打破するため、3つの打開策を考えてみました。

・石井一久氏はGMに専念すべき
・優勝経験ある監督を招へいすべき
・日ハムを見習い若手起用を増やすべき

石井一久氏はGMに専念すべき

石井一久氏がGMとして多くの結果を出したことは認めます。

  • 浅村栄斗選手や鈴木大地選手らをFAで獲得
  • メジャーで活躍していた田中将大投手を獲得

こうした主力選手が加入したことで若手選手にも良い影響はあったでしょう。

とはいえ、監督としては指導経験がなく、采配の引き出しが少ないのは否めません。
メディアでの発言や実際の采配を鑑みると基本的なスタンスは「スモールベースボール」。
地味なバントや盗塁など小さくとも何とか1点を取り、投手力で勝ち切る。

そんな方向性のはずなのに、結局は西川、浅村、島内の長打に頼らないと点が取れない状況。

また、強い不信感を感じたのは7月8日の3位ライオンズ戦。
絶対に落とせない大事なカード初戦をルーキーの松井 友飛(ともたか)投手に託す驚きの起用。
そして「失敗していい」と言いながら、結果を出せなかった本人を即二軍降格させるのは矛盾といえる。

最近は頼みの投手陣も踏ん張れなくなっており、打線の組み換えは後手後手。
やるなら西川遥輝選手が不振に陥った5月中旬くらいから即決すべきで、明らかに采配がハマっていないと言えます。

石井一久氏の冷静、淡々、サバサバとしたスタンスはGMとして適任ですが、監督としては物足りなさを感じます。
メディアに対する発言も、どこか他人事のようにも聞こえ、主力選手のコンディションは「選手に任せる」というスタンスも責任放棄と表裏一体。
現実的にGMとの兼任は負担も相当大きいはずなので、監督業は辞めたほうがいいと考えています。

優勝経験ある監督を招へいすべき

とはいえ、石井一久監督が辞めるだけでは何の意味もありません。
本質は石井一久監督を辞めさせることではなく、勝てる監督に就任してもらうことです。

2013年の監督は誰だったでしょうか?
もちろん忘れるはずがありませんよね。

星野仙一氏は「闘将」というキャラクターの強さだけでなく、実際に中日ドラゴンズと阪神タイガースで優勝経験があった実績ある監督でした。

いまのイーグルスに必要なのは「勝ち方を知っている監督」ではないでしょうか。

よく考えると近年のイーグルスは監督人事もちぐはぐで失敗続きです。

実績ある監督という意味では梨田昌孝氏を最後に平石、三木、石井一久氏と実績としては乏しい人材ばかり。
石井一久氏に至っては就任理由が恐らく「他にいないから仕方なく」という可能性が濃厚。

選手の育成だけじゃなく監督も育成あるいは強化する必要があります。

そういった意味で、個人的には以下の方々が監督就任していただけないかと熱望しています。

・工藤 公康氏
・秋山 幸二氏
・緒方 孝市氏

いずれも優勝経験があり、なおかつ選手たちを鼓舞する「いい意味での感情論」を持っている方々だと考えています。

こうした監督としての実績と経験を兼ね備えた人物に就任いただくことで、石井一久氏が語っている「育てながら勝つ」を体現して欲しいところです。

日ハムを見習い若手起用を増やすべき

今シーズン注目されているのが北海道日本ハムファイターズのBIGBOSSこと新庄剛志監督。
特に直近では「パ・リーグ台風の目」として調子を上げており、ホークスやイーグルスに連勝する活躍を見せています。

当初は批判的な見解が多かった一方、まだ最下位ではあるものの現状の戦力で本当によく戦っていると感じます。
中でもチーム本塁打数はライオンズと僅差のリーグ2位。

スモールベースボールといいつつ得点力があります。
最下位に沈んでいる原因は明らかに投手陣。
防御率と失点がリーグワーストなので最下位にいますが、投手力が上がれば脅威です。

BIGBOSSの起用は若手中心。
1試合1打席1球、目の前の結果を求め、時に厳しい采配もしています。

かたや石井一久監督は不振に陥った西川遥輝選手をいつまでも1番で起用し続けました
若手も小深田大翔、辰己涼介選手くらいで、前述の通り中堅頼み。
若手を積極的に起用しようという気配も強くは感じません。

たまに若手を昇格させても数試合で二軍行き。

一方、二軍は近年好成績で今シーズンも首位を独走しています。
明らかに一軍と二軍のバランスが悪く、1.5軍集団となっています。
せっかく二軍で育てても一軍で起用する意思がなければ、何のための育成なのか意味が分かりません。

ファイターズ程とは言わないが、もう少し若手を積極的に起用する方向性が求められます。

チームの方向性を明確にすべき

もともと弱小軍団として始まった東北楽天ゴールデンイーグルス。

2013年こそ頂点に登りつめたものの、安定しない状況が続いています。
石井一久氏がGMに就任してからは常勝軍団を目指して戦力を強化。

実際に、もし今シーズンAクラス入りすれば、実は球団史上初の2年連続Aクラス入りとなります。
そう考えると、まだまだ若い発展途中のチーム。

チームの方向性として「常勝軍団」を目指すなら結果を出さねばなりません。
しかもいまの戦力なら、なおさら。

本拠地はボールパーク化しており、娯楽施設として大変充実しています。
「結果は二の次、ファンに喜んでもらえればそれでいい」という考えなら、過剰な資金を投じて大型選手を獲得する必要もないでしょう。
それこそ若手中心、育成重視の方向性にして欲しい。

今シーズンの結果は今後のチームとしての在り方も問われる重要な年になりそうです。

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