残り40試合!チームの救世主と誤算を徹底分析・2020シーズン終盤への期待
新型コロナウイルスの影響によって開幕が遅れ、更に120試合という異例の縮小で開幕した2020シーズン。
2020年9月20日(日)の試合で我らが東北楽天ゴールデンイーグルスの残り試合は40となりました。
全120試合ですので、ちょうど約7割を消化、残り3割となります。そういった意味ではシーズンも終盤に向かっていく時期といっていいでしょう。
現在、イーグルスは39勝38敗3分・3位となっています。(9月21日時点、以下全ての成績に共通)
2020シーズンのクライマックスシリーズは1位と2位の対戦のみとなっているため、ポストシーズンを戦うにはもう1つ順位を上げなくてはいけません。
しかし、ここまでの上位2チームは福岡ソフトバンクホークスと千葉ロッテマリーンズがやや抜けています。
2位のマリーンズまで5.5ゲーム差、首位のホークスとは7ゲーム差となっており、厳しい状況が続いています。
一時は単独首位に立つなど異例の開幕ながら躍進していたものの、ここに来て踏ん張りどころと言える状況です。
そこで今回はこれまでの2020シーズンの戦いを振り返りながら、チーム状況やチームにとっての救世主、あるいは誤算となった要素を徹底分析。そして残り40試合となったシーズン終盤に向けた期待をまとめていきたいと思います。
目次
パ・リーグ3位の現在地
前述の通り今シーズンの70%を消化して貯金1つを残しパ・リーグ3位に位置しています。
例年であればクライマックスシリーズへの出場をより固めていきたい順位ですが、今シーズンは上位2チーム同士の対戦のみ。
そういった意味で優勝争い・CS争いともに厳しい状況ではあるものの、巻き返しできる可能性も十分に残っている状況です。
イーグルスファンならご存知の通り、これまでのイーグルスは上がり下がりが激しいチームでした。
球団として初めてAクラス入りした2009年2位の翌年は最下位。初のリーグ優勝・日本一に沸いた2013年の翌年は再び最下位。2017年3位の翌年はこれまた最下位。
不名誉なことにAクラス入りした翌年は必ず最下位に転落するという不安定なチームです。
しかし、ご存知の通り昨年は平石監督の元で3位(Aクラス入り)。
そして今年、今までの傾向から言えば最下位・・・となるところですが、しっかりとAクラス争いをしています。
少し気が早いですが、もし2シーズン連続でAクラス入りとなれば球団初の快挙です。
そういった意味で少しずつ「常勝軍団」への道を歩み続けているとは言えますが、一時期は単独首位に立つほどの勢いがあっただけに直近は失速感が漂っているのも否めません。
チーム成績
現在パ・リーグ3位のイーグルス。
他チームとの比較をする意味でもチーム成績を見てみましょう。
まず勝率は.506で何とか5割をキープしています。
今シーズンは序盤で貯金を積み重ねていきましたが、8月に入ってから失速気味で貯金を失っていきました。
一時は借金生活の時期もありましたが、その後踏ん張って長きにわたる借金生活という状況には陥っていません。
チーム得点は383でリーグトップ。
大量得点で大勝する試合が目立ち、打線が爆発した時の破壊力はパ・リーグトップと言えます。
一方でチーム失点360とこちらはリーグワーストになってしまいました。
良い時は打線の援護と投手陣の踏ん張りで勝ち続けてきましたが、打線が不調になり、更に投手陣も打ち込まれるシーンが増えてきた印象があります。
特に先発投手陣と守護神の誤算が失速の要因になっている可能性が考えられます。後ほど詳しく書きます。
その他、チーム打率.259はリーグ1位、83本塁打はリーグ2位、46盗塁はリーグ5位、チーム防御率4.32はリーグ5位となっています。
チーム別対戦成績
続いてチーム別の対戦成績を見ていきましょう。
チームとして貯金1なので各チームに対して「ほぼ五分五分」と言える状況ですが、首位のホークスには8勝10敗0分で2つ負け越し、更に断トツの最下位に沈むバファローズに対して6勝8敗1分で2つ負け越しているのがポイントになっています。
一方で2位のマリーンズには9勝6敗0分で3つ勝ち越し。
ファイターズとライオンズにはそれぞれ1つずつ勝ち越しているため、今シーズンはホークスとバファローズに対する相性が悪いと言えます。
上位争いのポイントはオリックス
前述の通り今シーズンのパ・リーグはホークスとマリーンズが優勝争いを繰り広げています。
昨日の試合でホークスがイーグルスに敗れ、マリーンズはファイターズに逆転勝ちしたため、その差は1.5に縮まっています。
ホークスは46勝31敗3分で貯金15、マリーンズも45勝33敗2分で貯金12と他の4チームを圧倒しています。
しかし先ほども書いたようにマリーンズは3位のイーグルスとは相性が悪く負け越しています。
ホークスもイーグルスに勝ち越しいるとはいえ、わずかに2つ。
にもかかわらず、3位のイーグルスと上位2チームの差が広がっている原因は明らかにバファローズにあります。
今シーズン、バファローズの対戦成績はホークスに対して3勝14敗1分、マリーンズに対して2勝15敗1分と酷い内容。この2チームだけで負け越し24となっています。
一方でイーグルスには8勝6敗1分、更にライオンズにも9勝8敗1分と勝ち越しているのです。ファイターズとは5勝5敗1分なので、どう考えてもホークスとマリーンズに対して負け過ぎています。
これが今シーズン、ホークスとマリーンズの上位2チームが抜け、3位イーグルスとの差が広がっている原因と言えるでしょう。
誰がどう見ても上位2チーム躍進の要因はバファローズにあり、です。
チームの救世主
チームの成績や球団別の成績を見ていきました。
総じて貯金1の3位という「五分五分」な位置にいることを考えればチームとして上手くいっている部分と誤算や課題になっている部分があると言えます。
そこで今シーズン、ここまでチームにとって救世主になっている選手と誤算になっている選手をピックアップしてみました。
まずはチームの救世主からです。
涌井 秀章投手
まずは言うまでもなく、今シーズンからイーグルスに加入した涌井秀章投手でしょう。
開幕から8連勝を飾り、6,7月度の月間MVPも獲得。
その後やや打ち込まれた試合もあり防御率3.07まで上がってしまいましたが、それでもリーグ2位。
ここまでの8勝はハーラー単独トップを維持しています。
直近で勝ち星を挙げられていない歯がゆさはありますが、パフォーマンス自体に衰えは見られません。
何としてでも二桁勝利をマークしてプロ野球史上初の3球団にわたる最多勝獲得をして欲しいと願うばかりです。
とはいえ、ご存知の通り涌井秀章投手は金銭トレードで獲得した選手。
もし涌井投手を獲得していなかったら・・・と考えるとゾッとします。
今シーズンのイーグルスにとってかけがえのない救世主と言えるでしょう。
鈴木 大地選手
こちらも今シーズン、FAによって加入した鈴木大地選手。
もともとマリーンズでの活躍は知られていましたが、昨シーズンは控えが多く出場機会を求めての移籍とも言われています。
イーグルス移籍後は主に三塁手としてスタメンに定着。
ここまで打率.329でリーグ4位(チーム内トップ)に付けており、打点43はロメロ選手と並ぶリーグ11位。
既に100安打を超える106安打を放ち、8月には41安打をマークして月間球団記録を更新しました。
打撃面だけではなく守備で積極的に投手や周りの野手へ声を掛けるシーンも今やなくてはならない光景となりました。
FA移籍の選手は即戦力として活躍が期待されるプレッシャーもありますが、しっかりとチームの救世主として活躍してくれています。
浅村 栄斗選手
昨シーズンFA移籍で加入した浅村栄斗選手。
引き続き今シーズンも主砲としてどっしりと打線に座っています。
開幕当初は三冠王すら見えてくるのではというほど打ちまくりましたが、直近は打率がやや下降気味。
それでも24本塁打はリーグ2位タイとし烈な本塁打王争いを繰り広げており、77打点も同じくリーグ2位。
今シーズンは大阪桐蔭高校の先輩でもある日ハムの中田翔選手が好調。本塁打、打点でリーグトップを維持しているだけに負けられないでしょう。
浅村選手の活躍はチームにとっても勝利に貢献する重要な役割だということは言うまでもありません。
特に試合を決定づける決勝打を放つシーンが多く、本拠地楽天生命パークでは幾度となくヒーローに選ばれています。積み上げた楽天ポイントは100万ポイントを超えており、それはそれで驚異的な記録です。
ステフェン・ロメロ選手
シーズンオフにオリックスを退団してイーグルスが獲得したロメロ選手。
予想以上の活躍でチームの救世主となっています。
オリックス時代の3シーズンで通算69本塁打、平均60打点以上をマークしてきた長距離砲としての活躍を知るファンも多いところですが、一方でケガや不振に悩まされ戦線離脱のニュースを目にすることもあったロメロ選手。
イーグルスに移籍した今シーズンは開幕前にウィーラー選手との実質的なレギュラー争いをものにすると、ここまで71試合に出場して19本塁打、43打点の活躍。
ここ最近こそ元気がない印象があったものの、先週のホークス戦でホームランを放つなど貴重な得点力となっています。
チームの誤算
投打にわたってチームの救世主を考えてみましたが、同時に誤算があるからこそ「もう一つ勝ち切れていない」原因でもあります。
中でも私は先発ローテーションと守護神の誤算が最も大きな要因だと考えています。
僭越ではありますがそれぞれ該当する選手も挙げながら考えていきます。
森原 康平投手
今シーズンはこれまで守護神を務めていた松井裕樹投手の先発転向が発表されていました。
そこで新たな守護神となったのが森原康平投手。
長身から繰り出す力強いストレートとフォークが持ち味で守護神向きの投手ではあります。
しかし、昨シーズン中継ぎで登板した際に何度か「精神的に参っている」ような試合が見受けられました。
中でも大宮でのライオンズ戦で打ち込まれたときは明らかに精神的にやられているような印象で、正直なところ守護神が務まるのか心配はありました。
開幕当初は打線の援護もあって割と精神的には負担の少ない登板も多く結果を残しましたが、徐々に打たれるシーンも。
決定的となったのは7月4~5週。
7月22日のバファローズ戦では7-5と2点リードの9回に登板するも、まさかの6失点を喫して逆転負け、救援失敗。
更に7月25日の同じくバファローズ戦では3-3と同点の9回に登板するも3失点を喫して敗戦、救援失敗。
トドメは7月28日のマリーンズ戦、12-9と3点リードの8回に登板するも3失点を喫して同点に。負けこそ付かなかったものの、この日ここまで2本のホームランを放っている井上選手に3本目となるホームランを喫する愚行ぶり。
その後は二軍調整を経て一軍復帰も期待された中、現在はケガで戦線離脱。
思えばこの7月4週のバファローズ6連戦で喫した逆転負けがバファローズとの対戦成績にも影響しており、何となく苦手意識を感じ始めてしまったきっかけになったかもしれません。
復帰はして欲しい反面、精神的に負担の大きい守護神は難しい印象で、7回または8回での活躍に期待しています。
岸 孝之投手
昨シーズンは腰を痛めるなどコンディション不良から戦線離脱しており、今シーズンに賭けた岸投手。
則本昂大投手と並んで2枚看板、両エースの期待が高い一流投手ですが、結果的に開幕延期がありながらも出遅れる誤算がありました。
7月に復帰して初先発、5回1失点で勝ち投手になる幸先の良いスタートではありましたが、その後は4失点、5失点と役割を果たせず。再び二軍調整を余儀なくされ、今月13日のファイターズ戦で復帰するも6失点と炎上。
防御率9点台という信じがたい成績となってしまいました。
ちょうど昨日、9月20日の登板でホークス相手に6回1失点と好投して2勝目をマーク。
少し安心できる要素にはなりましたが、ここまでの誤算を考えれば残りの登板は是が非でも試合を作って欲しいと願うばかりです。
則本 昂大投手
こちらも昨シーズン、身体的なコンディション不良から登板が半減した則本昂大投手。
開幕投手を務め、開幕戦を皮切りに3連勝をマーク。4試合で防御率0.98まで記録するも、7月17日のライオンズ戦では5失点で敗戦。
その後も続けて6失点、5失点と試合を作れず防御率は3点台に上昇。
今のところ離脱はなくローテーションは守っており、ここ最近は再び失点少なく試合は作れているものの、ここまで5勝3敗は本来の則本投手の実力を考えれば満足いくものではないでしょう。
誤算という表現は言い過ぎかもしれませんが、涌井投手が8勝をマークしていることを考えれば則本投手にもそれに近い成績を期待してしまうのが「エース」に期待するところではないでしょうか。
松井 裕樹投手
今シーズン開幕前から先発転向が決まっていた松井裕樹投手。
これまで抑えとして活躍した姿や高校時代に甲子園を沸かせたことを考えれば期待値は高かったものの、ここまで2勝3敗・防御率4.05と負け越しており、誤算と言えるのではないでしょうか。
もちろん配置転向が容易ではないのは理解できます。
とはいえ、首脳陣としては先発ローテーションを厚くして勝ち星を積み重ねて欲しいからこその先発転向と考えられます。
そういった意味で2勝に留まっているのは満足いくものではないでしょう。
幸い登板を重ねるごとにイニング数や内容が良くなっている傾向にはあるので、残り試合で1つでも多く勝って欲しいところです。
ブラッシュ選手
ここまで投手ばかりでしたが、野手での誤算はブラッシュ選手と言えます。
昨シーズンは33本塁打95打点をマークして浅村栄斗選手と共に打線をけん引。
今シーズンは開幕前にロメロ選手が加入したことでウィーラー選手も含めた外国人争いが激しくなりましたが、結果的にロメロ選手と共に開幕一軍入り。
しかし昨シーズンのようなバッティングが見られず、打率は1~2割台と低迷。結果的に37試合出場、2本塁打にとどまり現在は二軍生活が続いています。
幸い外野手は層が厚く、更にロメロ選手が予想以上に活躍。若手では内田靖人選手や岩見雅紀選手など「和製大砲」も徐々に頭角を現しているだけにチーム全体の攻撃力に衰えは見られませんが、ブラッシュ選手の勝負強さが影を潜めているのは誤算と言えます。
場合によっては退団という可能性も考えられなくはないですが、何とか復帰して終盤の大事な時期のチームに勢いをつけて欲しいところです。
銀次選手
長年にわたりチームをけん引してきた銀次選手。
銀次の場合は誤算というより世代交代という印象が強いですが、今シーズンは不振が続いています。
開幕こそ一塁スタメンとなりましたが、正直なところオープン戦や練習試合の内容的には同じ一塁を競っていた内田靖人選手の方が上だったように感じます。
それでも長年の経験と実績を評価されての開幕スタメンスタートでしたが、打撃不振が長らく続きました。
銀次は豊富な経験と巧みな技術が自慢で、シーズン序盤は調子が上がらずとも中盤から終盤にかけて状態を上げ、「気付いたら打率3割台」という選手。
それが今シーズンはいつまで経っても打率は上がらず。
一塁手で言えば内田靖人選手のほかにショート、サードの兼ね合いで鈴木大地選手が務めることもあり直近では出場機会も激減。
打率.217と低迷しているだけに使いづらい存在になってしまっています。
昨シーズンはキャプテンを務めるも怠慢プレーや投手への声掛けをしないといったキャプテンシーの欠如も目立っただけに今シーズンは「バットで見せる」姿を期待していましたが、ここまで出場が減ったのは誤算と言えるのではないでしょうか。
活きのいい若手も控えているだけに今後の去就についても注目されます。
自力V消滅もCSへ望みを
残念ながらこの記事を書いている2020年9月21日時点でイーグルスの自力優勝の可能性は消滅しています。
とはいえ、今後の勝敗はもちろん、上位2チームの状況次第で優勝あるいはクライマックスシリーズ進出の可能性は残っています。
明日、9月22日の結果次第では再び自力優勝が復活する可能性もあります。
もう少しバファローズに勝てるようになり、もともと相性の良いマリーンズに対しても勝ち越しをキープできれば2位浮上の可能性は考えられます。
残り40試合にしてマリーンズ、バファローズとの対戦はいずれも9試合ずつ。
他チームの試合内容はどうすることもできませんので、少なくともこの18試合にそれぞれ勝ち越し、中でもマリーンズとの直接対決は絶対に勝ち越したいところです。
そういった意味で、まずは明日からのマリーンズ3連戦が重要なのは言うまでもありません。
今日は午前中に福山博之投手の支配下登録や広島カープからJDジョンソン投手を金銭トレードで獲得したという話題も入ってきました。
前述した森原康平投手の誤算をはじめ、疲労が溜まってくるシーズン終盤に心強い中継ぎ陣の補強と言えます。
何とか最後まで踏ん張り、大逆転優勝へ望みを繋いでいきたいところです。
踏ん張れ楽天イーグルス!!
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