オリンピック野球競技のスケジュールとルール・日本代表のポイントと他国の戦力分析
7月28日に開幕する東京オリンピックの野球競技。8月7日までの11日間(8月6日のみ試合なし)、6チームがメダルをかけて連日試合を行います。
今大会の特徴の1つとして、どの国の代表選手も現役メジャーリーガーは参加していません。そのため、メジャーリーグに次ぐレベルと言われる日本プロ野球(NPB)のトップ選手が選抜された日本こそ金メダル候補筆頭と言えます。
とはいえ、野球は投手の調子に勝敗が大きく左右されるスポーツです。10試合行えば9勝1敗になるくらいの差がある相手でも、一発勝負ではその1敗が出てしまう場合があります。
そんな中、日本が金メダルを獲得するためのポイントはどこにあるのでしょうか。また、ライバルたちの戦力はどうなっているのでしょうか。
分析していきたいと思います。
目次
勝負を分けるポイントは?
日本のプロ野球で行われているリーグ戦とは違い、国際大会ならではの勝負を分けるポイントがあります。特に今回の東京オリンピックは他の国際大会とも違い、レギュレーションが独特です。
- 独特なトーナメント
- 球数制限がない
- 無観客のためホームのメリットが少ない
独特なトーナメント
東京オリンピックの野球は、レギュレーションが独特です。
まず6チームが2グループに分かれて、オープニングラウンドを行います。
グループA:日本・メキシコ・ドミニカ
グループB:韓国・アメリカ・イスラエル
各グループ総当りで1~3位を決定します。
そして、順位に関わらず「全チーム」が次のノックアウトステージに進みます。
ノックアウトステージではグループA・Bの1位同士、2位同士、3位同士が対戦。
一般的なトーナメントでは、グループリーグで順位が上のチームと下のチームを当てるのですが、東京オリンピックでは同じ順位同士が対戦します。この点だけ見ると、グループリーグで上位になるメリットが少なく感じますよね。
ですが、負けて敗者復活の山に行く時、グループリーグで上位のチームの方が有利になります。まず3位同士の対戦では、負けたら敗者復活にはいけず、その場で敗退が決まります。
一方、1位同士の対戦では負けても敗者復活の山のベスト4。そこで負けても3位決定戦に回ります。
つまり、グループリーグで1位になれば4位以上が確定するのです。
そして決勝戦は、ノックアウトステージを無敗で勝ち上がったチームと、敗者復活の山を無敗で勝ち上がったチームで行われます。
グループリーグで3位にさえならなければ、ノックアウトステージで1度負けても金メダルのチャンスがあるのです。
そのため、重要なのはグループリーグで3位にならないこと。そしてノックアウトステージでは、1敗しても金メダルの可能性があるので、重要な試合とそうでない試合を見極めた采配が必要かもしれません。
球数制限はない
東京オリンピックでは球数制限がありません。
そのため、先発投手の調子がよければ、7~9回など長いイニングを投げられます。
日本は11名の投手を選出しており、そのうち普段は先発をしている投手が7名で、中継ぎ投手が4名です。この11名でグループリーグ2試合、ノックアウトステージ3~6試合を11日間で戦います。
そのため、先発投手が長いイニングを投げることができれば他の投手の負担を減らせるでしょう。一方、連戦中に先発投手が早めに崩れるゲームが続くと、投手事情はかなり苦しくなります。
先発投手がどれだけ長いイニングを投げられるかが1つの鍵を握りそうです。
攻撃面に目を向けると、相手の先発投手の出来がすごく良かった場合、球数制限がないため、最後まで打ち崩せず終わる可能性もあります。
日本代表はこれまでの国際試合で「手元で動く速球」に苦しんできました。日本では綺麗な回転で伸びのあるストレートを評価されますが、外国では手元で変化する打ちづらい球が評価されます。
こういった慣れない投手に好投されて、最後まで打ち崩せずに負けてしまう可能性もあるでしょう。動くボールにしっかり対応し、好投手を早めにマウンドから降ろしたいところです。
無観客のためホームのメリットが少ない
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、野球は全試合無観客が決まっています。本来であれば大声援による大きなアドバンテージを受けられますが、今回はそれがありません。
とはいえ、少しホームゲームのアドバンテージがあります。まず、日本独特といえる高温多湿の気候です。夜でも30度近くの気温で湿度の高い日本の気候は、慣れない選手の体力や集中力を奪うでしょう。
また、芝生や土やマウンドなど、グラウンドも日本人選手が慣れている環境で行えます。慣れないマウンドで制球を乱す投手や、バウンドが合わずにエラーする選手がいるかもしれません。
短期決戦においては小さなミスも命取りとなりますので、攻撃としては有利に働きます。
オープニングラウンドのライバル
まず福島県営あづま球場で7月28日~31日にかけて行われる、オープニングラウンドの対戦相手と戦力をご紹介します。
- 7/28 ドミニカ共和国
- 7/31 メキシコ
7/28 ドミニカ共和国
オープニングゲームで対戦するのがドミニカ共和国。2013年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で優勝するなど、世界屈指の戦力を誇ります。
今大会では現役メジャーリーガーが参戦しないため、ベストメンバーではありませんが、実績十分な元メジャーリーガーが参戦。メジャー通算1962安打のカブレラや、344本塁打のバティスタなどが、強力打線を構築します。
一方で投手陣は、元メジャーリーガーや、読売ジャイアンツのメルセデスやサンチェスが中心です。
戦力的には日本に劣ると考えられますが、特に初戦は難しいもの。確実に初戦に勝って、波に乗りたいですね。
7/31 メキシコ
ドミニカ共和国戦後、中2日でメキシコと対戦します。メキシコもメジャー通算317本塁打のゴンザレスや、元広島カープのペーニャなど、強力打線が売りです。日本プロ野球経験者も多いため、日本の戦い方をよく知っているでしょう。
投手陣は、メジャーのマイナーリーグやメキシコリーグに所属する選手が大半です。日本の独立リーグであるBCリーグ、茨城アストロプラネッツのバルガス投手もいますが、投手力はそこまででもなさそうです。
ドミニカ・メキシコに2連勝して、グループ1位でノックアウトステージに進みたいところですね。
ノックアウトステージのライバル
ノックアウトステージは、8月1日~7日に横浜スタジアムで行われます。ベイスターズのホームグラウンドなので、日本代表選手が戦い慣れており、大きなアドバンテージになりそうです。
- アメリカ
- 韓国
アメリカ
日本にとって最強のライバルがアメリカでしょう。元メジャーリーガーや日本プロ野球の選手と、マイナーリーグでプレーする「若手有望株」が選出されています。
特に「若手有望株」には警戒が必要です。メジャーリーグでは育成に時間をかけるため、すでにメジャーリーグで通用する実力があっても、焦って昇格させません。
特に22歳のシェーン・バズは、2017年のドラフトで1位指名された逸材。191cmの長身から160km近いストレートを投げ込みます。ポテンシャルは日本代表選手以上かもしれません。若いので短期間で成長することもあり、乗せてしまえば手がつけられなくなる可能性も。
打線にはベイスターズで活躍するオースティンがいます。昨年は65試合で20本塁打、今年も68試合で19本塁打と高い長打力を誇り、日本の投手を知っているため注意が必要です。
韓国
最後に紹介するのは韓国です。日本との対戦では、両国が熱くなりますよね。今回は、全員韓国プロ野球の選手で構成されています。
投手は、阪神タイガースの抑えだったオ・スンファンがいます。2年連続セーブ王を獲得したのちにメジャーリーガーになりましたが、現在は韓国プロ野球に復帰しました。
投手陣の年齢層は、オ・スンファンともう1人が30代ですが、他の投手はみんな20代です。若手投手があまり育っていないという評価もありますが、情報も少なく、その実態は謎に包まれています。
野手には2019年のプレミア12代表に選出された20代前半の有望選手がいますが、国際舞台での実績はあまりありません。2017年のWBCで1次ラウンド敗退から、韓国は世代交代の最中です。
日本が実力を発揮できれば勝てる可能性が高い相手だと思いますが、日本が相手となった時の韓国の底力は脅威ですね。
まとめ
オリンピックの野球競技は、北京オリンピック以降廃止されました。野球が盛んな地域は世界に少なく、オリンピックのために野球場を建設しても、使う機会がない上に維持費が高いことが問題視されています。
今回は野球が盛んな日本だからこそ、オリンピック競技に復活しましたが、次にいつオリンピックで野球が行われるかはわかりません。だからこそ、今回のオリンピックで悲願の金メダルを獲得したいですね!
なお、楽天イーグルスからは田中投手と浅村選手が出場します。みんなで2人の活躍と日本代表を応援しましょう!
日本代表対楽天イーグルスの強化試合ハイライト
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