昨季と同じ4位ターンも貯金あり!Aクラス入りもあり得る今江敏晃監督の采配

2024シーズンはオールスターも終わり、ペナントレースは今日(7月26日)から再開します。

よくオールスターで区切って前半戦・後半戦と言いますが、実際には既に143試合中86試合と、6割を消化しています。
残り57試合と考えると終盤に近付いている印象です。

それはさておき、我らが東北楽天ゴールデンイーグルスはパ・リーグ4位。
昨シーズンの現時点と同じ順位となっています。

しかし、今シーズン大きな違いが2つあります。
1つは今さら言うまでもありませんが、監督が替わっていること。
そしてもう1つは「貯金がある」こと。

86試合43勝41敗2分(.512)と貯金2つを残しての前半戦ターンを達成しました。
監督が替わったことについては最後に触れます。

昨シーズンから特段の補強はなく、シーズン開幕前には多くのプロ野球解説者が「最下位予想」したイーグルス。
開幕当初は「予想通り」ともいえる厳しい戦いが続いていました。

一方で、20代の選手たちを中心とした次世代の主力選手たちが次々に活躍。
30代の選手たちも適材適所で持ち味を発揮しており、球団史上初の交流戦優勝を果たしたのは記憶に新しいところです。
交流戦後やや厳しい状況はあったものの、何とか盛り返しての貯金ターン。

ここまでは「本当によくやっている」と私は強く感じます。

その戦いぶりを振り返りながら、最下位予想を覆すAクラス入りの可能性まで考えていきます。

現状の成績

まずはここまでのチーム成績から整理していきましょう。
※いずれも2024年7月21日終了時点
※カッコ内はパ・リーグ内順位

86試合43勝41敗2分
勝率.512(4位)

交流戦前には最大9あった借金も一気に減らし、ついに貯金ありでの前半戦ターンを決めました。
4位という順位的にはBクラスですが、3位ファイターズと1ゲーム差。
その上の2位千葉ロッテマリーンズまで2ゲーム差と背中はすぐそこ。
首位のソフトバンクホークスまで12ゲーム差と開いているため、ここは独走優勝が濃厚ですが、2位までなら十分にあり得る状況です。
もちろん、ホークス次第では大逆転優勝まで、まだ可能性はゼロじゃないのは夢があります。

打撃成績

打率.248(3)/306得点(4)
43本塁打(4)/60盗塁(3)

チーム打率がリーグ3位に位置しています。
3割打者はいませんが、今シーズンはリーグ全体で見ても3割打者が近藤健介選手しかいない、異常事態です。
そういった意味ではチーム全体としてコンスタントに打てていることが分かります。
近年1位をキープしてきた盗塁数が今シーズンはホークスとファイターズも60台と強化しており、高いレベルで競っています。

投手・守備成績

防御率3.62(6)/340失点(6)
43失策(2タイ)

開幕当初に大きな課題で、崩壊していた先発投手陣の影響でいまだに防御率・失点数はワースト1となっています。
とはいえ、酷い時で4点台あった防御率は何とか少しずつ収まってきています。
他にマリーンズとライオンズもチーム防御率が3点台になってきたので、以前よりは少し改善されたと言えます。

素晴らしいバランスの野手陣

当初の主軸として期待された浅村栄斗・島内宏明・フランコの3名。

島内は現在も二軍調整が続いていますが、浅村とフランコはかなり調子が上がってきたように感じます。
とはいえ、開幕当初は彼らが期待を裏切っていたのは事実。

にもかかわらず交流戦優勝や貯金がある状態で前半戦を終えた、最大の要因は「層の厚さ・チーム力」だと考えています。
20代でいえば辰己涼介小郷裕哉・太田光・小深田大翔・村林一輝といった内外野の主力選手たちが攻守にわたって活躍しています。
そこに鈴木大地・阿部寿樹・岡島豪郎といった30代の選手たちも大事な場面で活躍。
ようやくフランコ・浅村の状態も上がってきて決勝打を放つなど、野手陣は素晴らしいバランスにあると感じます。

辰己涼介

311-92(.296) 3本塁打
35打点11盗塁

小郷裕哉

350-97(.277) 6本塁打
36打点20盗塁

中でも外野の二人は素晴らしい打撃成績。
辰己は間もなく打率が3割に迫る勢い。
現時点で1名しか3割打者がいない中で、現在リーグ3位の打率をマークしています。

そして小郷は97安打と近藤健介を抜いてリーグ最多安打をマーク。
ホームランに盗塁と、まさにどれをとっても素晴らしい成績を残しています。
小郷に関しては前半戦12球団で唯一のフルイニング出場を達成。
球団史上初の「143試合フルイニング出場」の記録もかかっており、不動のレギュラーとなっています。

スタメンオーダーは1番小郷・3番辰己が定着しており、村林や小深田が2番、4番浅村5番フランコなど長打力・決定力ある選手が後ろに控える形で安定しています。

オーダーが固定できるのはチームとして重要なこと。
どうしても結果が出ないとオーダーを変えざるをえなくなり、悪循環に陥ってしまいます。
そういった意味で、開幕当初は多少の動きこそあれど、選手の状態や持ち味を見極め、オーダーを固定できている今江敏晃監督はじめ首脳陣の采配も高く評価できます。

20代の選手たちが頑張っている中で、30代の中堅勢も持ち味を発揮しています。
中でも鈴木大地選手は開幕当初こそベンチスタートが多かったものの、交流戦では不振の浅村に代わって4番に抜擢されるとホームランを放つなど、活躍しています。

鈴木大地

263-75(.277)
3本塁打30打点

FA移籍・即戦力として加入した鈴木大地選手。
千葉ロッテ時代には2年目からほぼ毎年シーズンフル出場を達成し、イーグルス移籍後も2年連続シーズンフル出場でしたが、昨シーズンは101試合の出場にとどまりました。
今シーズンは浅村や島内の不振を受けてチャンスが回ってきた形。
そのチャンスをしっかりと掴んだのは本人の努力の積み重ねであり、起用判断をした今江監督や首脳陣も、また評価すべきところです。

同学年の阿部寿樹選手も代打起用をはじめスタメンでも結果を残しており、信頼のおける選手層だと感じます。

踏ん張っている投手陣

一時は崩壊していた投手陣も何とか踏ん張りを見せています。
特に交流戦では先発がしっかりと試合を作る機会が増え、勝利につながったのは優勝できた大きな要因です。

ほぼエースになった早川隆久

開幕して間もない4月下旬に太田光捕手への問題発言があった早川隆久投手。
当時は私も厳しく批判しましたが、結果的には関係修復でき、ここまで素晴らしい成績をマークしています。

早川隆久

15登板7勝3敗 防御率2.21

「あの発言・あの騒動」が嘘のように太田光と素晴らしいコンビネーションを見せており、チームトップの7勝と防御率をマーク。
開幕投手に選ばれた期待値からも次世代のエース候補なのは間違いありませんが、今シーズンは必ず2ケタ10勝まで行って欲しいものです。

現時点ですでにエースに近づいていますが、まだ2ケタ勝利には届いていないので、「ほぼエース」としておきます。
今シーズンの早川なら、やってくれるでしょう。
応援しています。

球団史上初の左腕7連勝

苦しい先発ローテーションにおいて、まさに「ニューヒーロー」となったのが藤井聖投手。

藤井聖

13登板7勝1敗 防御率2.36

4月14日のマリーンズ戦で6失点して黒星からスタートするも、その後は安定したピッチングを披露。
11試合連続で自責点2以下を達成しており、左腕として球団史上初となる開幕7連勝となっています。
どちらも継続中のため、後半戦でのピッチングも期待が高まります。

その活躍もあって自身初のオールスター出場も果たしました。
オールスターでは満塁ホームランを打たれましたが、それも良い経験として繋げてくれることでしょう。

堂々の配置転換・大成功

今シーズンから守護神(クローザー)へと配置転換した則本昂大投手。
いくらこれまでの実績があるとはいえ、大きな環境の変化にもかかわらず安定しているのは本当にお見事です。

則本昂大

34登板2勝1敗21S 防御率2.45

開幕から14試合連続無失点をマークすると、31試合連続で負けなし
32試合目の登板となった7月16日のファイターズ戦で初めて救援失敗・黒星を喫しましたが、全体的には素晴らしい成績です。

なお、21セーブは現時点でリーグ1位
クローザー1年目からホークスのオスナを超えているのはアッパレです。

今江敏晃監督が最初に決断した、とコメントしていた守護神。
しっかりと結果で応えている則本の存在もまた、今シーズンの躍進を支えている重要な要素だと言えます。

後半戦の楽しみ

Aクラス入りも現実味を帯びている中で、後半戦で楽しみな選手をピックアップしてみました。
もちろん、これまで名前が挙がっている選手たちも引き続き楽しみですが、それ以外の選手もまだまだ控えています。

島内宏明

まず何と言っても島内。
昨シーズンも打撃不振で二軍調整を経験しましたが、終盤では持ち味が出てきたように感じます。
今シーズンも同じような状況になってしまい、なおかつ辰己・小郷は不動のレギュラー。
外野で言えばルーキー・中島大輔もスタメン起用されるなど、外野では相当厳しい状況です。

もともと今シーズンも指名打者での起用がほとんどですが、そのDHも浅村が状態を上げており、フランコや阿部寿樹も活躍しています。
昨シーズン以上に正念場です。

だからこそ、一軍昇格時には「やってくれるだろう」という期待も高まります。
島内が本来のバッティングを取り戻したら、打線の厚みはさらに増します。
そうなれば2位どころか大逆転優勝まで、そんな期待も膨らみます。

田中将大

日米通算200勝達成まで、あと3勝に迫りながらの足踏み。
本人が一番悔しい想いをしているのは痛いほど感じます。
だからこそ、田中将大投手も島内同様、一軍昇格した時の「満を持して」の期待感は高まります。

絶対的エースとして君臨していた渡米前のような勝利を呼び込む姿をもう一度。
復帰後に3連勝して200勝を一気に達成しようものなら、その勢いで大逆転優勝まで、という期待も出てきます。

安田悠馬

シーズン開幕前から二軍で守備を強化している安田悠馬捕手。
以前の記事で「打者としてなら一軍昇格も」と期待を込めましたが、今江敏晃監督がメディアに対して起用・育成方針をコメントするなど、まだまだ二軍で鍛えているようです。

とはいえ、今江監督も「今シーズンどこかで必ず見たい」とコメントしており、後半戦どこかで昇格もあり得そう。
捕手は太田光と石原彪が素晴らしい競争をしており、中でも太田光が正捕手になったと言って過言ではない状況。

競争が激しいことはチームとして良いこと。
一度、その舞台に立つ可能性はありそうなだけに、期待が高まります。

信頼と勝負の采配

冒頭に書いたとおり、昨シーズンとの違いは就任1年目の今江敏晃監督。
12球団で最も若い40歳という点で注目されていましたが、ここ最近はしっかりと結果でも注目されつつあるように感じます。

開幕当初は厳しい状況が続いていました。
もともと課題だった先発投手陣は案の定崩れ、ホークス相手に屈辱的な大敗もしました。
打線の中心選手が相次いで不振に陥り、キャンプから何をしていたのかと言いたくなる状況。

次世代エース候補・早川隆久の問題発言など、様々な課題が浮き彫りになる中で、今江監督は「粘り強く」という言葉を何度も使っています。

調子が悪い選手は、たとえ実績があっても替える。
年齢や実績に関係なく、いまベストな状態の選手を起用する。
経験の浅い若手の選手も積極的に起用する。

そこには選手への信頼を感じます。

そして勝負に出るときは大胆に。
分かりやすい事例では代打起用に応えたフランコや阿部寿樹らの活躍があります。

監督が替わった期待値

冒頭で、わざわざ「昨シーズンと変わったことが2つある」と書きました。
そのうちの1つに「あえて」監督が替わった点を挙げたのは理由があります。

他球団の状況も踏まえると、2位までは十分にあり得る状況です。
昨シーズンも同じような状況でしたが、結局Aクラス入りならず4位で終わっています。

昨年と同じ今の時期に、私はAクラス入りの可能性として「石井一久監督(当時)が余計なことをしなければ、いけるかもしれない」と書きました。
それだけ石井一久前監督への期待と信頼は失われていた、ネガティブな感情でした。

しかし、今シーズンはポジティブな感情です。
今江監督の采配や考え方に対して、選手たちも応えようとして、実際に応えているからです。
時折、メディアの取材に対して誤解を招いてしまう表現もありますが、それも含めて、私は「今江流・今江節」だと感じています。
いくら選手として活躍して、コーチの経験があるとはいえ、監督は1年目。

もともと最下位と言われたチームが、ここまで本当によくやっています。
選手たちはもちろんですが、監督・コーチ・関係者の皆さんの尽力や忍耐力の賜物です。

育てながら勝つ

今まさに、それができていると感じます。

ほんの2~3年前と比較すれば、主力選手たちはガラッと、明らかに入れ替わりました。
スタメンは20代と30代がバランスよく、先発ローテーションは20代が中心となっています。
中継ぎ投手陣も実績豊富な宋家豪や酒居知史投手が支えていますが、鈴木翔天投手をはじめ20代の投手も登板機会が増えています。

ほんの数年前からは信じられない光景です。

いまのチーム状況を踏まえると、2位の可能性は70%くらいまであると、私は考えています。
そしてホークスの状況次第では、大逆転優勝も10%くらいはあるかもしれません。

開幕当初の私の予想では4位が現実的で、良くても3位、と考えていました。
優勝は正直99%無理だろうなと。
その考えが、現時点では良い意味で覆されています。

今シーズンは本当に楽しませてもらっています。
順位や勝ち負けはもちろん大事ですが、それ以上にチームの成長・選手たちの成長をこれほど目の当たりにできているシーズンは、ここ最近なかったように感じます。

私自身も最後まで粘り強く、応援していきたいと思います。

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