加熱するWBCの裏で虎視眈々とAクラス入りを狙う好材料
今月開幕したWBC(ワールドベースボールクラシック)で無傷の5連勝と波に乗る日本代表(侍ジャパン)。
世界最高峰の舞台メジャーリーグでMVPを獲得した大谷翔平選手を中心に、ダルビッシュ有投手、山本由伸投手、村上宗隆選手ら国内外のスーパースターが揃った、まさに「ドリームチーム」。
3月16日(木)に行われた準々決勝イタリア戦も快勝した侍ジャパンは3月21日(火)の準決勝に備えてアメリカに滞在しています。
普段は野球を観ない人でも観てしまう、日本中で熱狂的な盛り上がりを見せている今大会はいちプロ野球ファンとして本当に喜ばしいことです。
もちろん侍ジャパンにはあと2勝、是が非でも優勝して欲しいと願っています。
一方、WBCの裏ではプロ野球も開幕に向けてオープン戦が進んでいます。
我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは3月17日終了時点で5勝6敗2分けで12球団中8位。
オープン戦は残り8試合、今月30日にはいよいよ北海道日本ハムファイターズの新しい本拠地にして新球場・エスコンフィールドHOKKAIDOで開幕戦を迎えます。
ここまでのチーム状況や調整過程を踏まえ、今シーズンのイーグルスがAクラス入りを狙えそうな好材料をまとめてみました。
※オープン戦の選手成績はいずれも3月17日終了時点
目次
Aクラス入りへの好材料・野手
まずは野手陣からみてきましょう。
不動の先頭打者へ・辰己涼介
「残念そこは辰己」の異名を持つ辰己涼介外野手。
ゴールデングラブ賞を2年連続獲得しているだけに守備力は言うまでもありません。
残る課題はバッティングでしたが、オープン戦ではここまで13試合すべてに出場。
1番打者として12球団中3位の打率.341、出塁率.420をマーク。
昨シーズンまでは無理な大振りや長打狙いがあったように見受けられましたが、1番での起用が功を奏してか、出塁を狙うコンパクトなバッティングが光っているように見受けられます。
出塁すれば俊足を生かした盗塁、確実なバント、チャンスを広げるヒットエンドラン、長打による先制点など攻撃の幅が広がります。
辰己選手の出塁が増えれば増えるほど、イーグルス打線にとって課題の得点不足が解消される好材料といえるでしょう。
幅が広がる2番打者
ここまでのオーダーをみると2番打者はまだ固定していないように感じられます。
基本的には小深田大翔内野手の起用が多い一方、強打の2番打者として島内宏明、新加入の阿部寿樹選手が入る試合もありました。
小深田選手であれば堅実にバント、あるいはつなぐバッティングに期待。
島内や阿部選手であれば長打で1点も現実的。
そういった意味で新加入・阿部寿樹選手の存在が大きいといえます。
どの打順に入ってもランナーがいれば返してくれそうな、こちらも好材料といえるでしょう。
誰が2番に入っても今シーズンは打線のつながりが期待できそうです。
課題克服へ 伊藤裕季也
左打者に偏ったオーダーは昨シーズンの課題でした。
かつて石井一久監督は「左対左は関係ない」といった趣旨のコメントをしましたが、結局のところシーズン終盤では代打を出したり、右の強打者を補強ポイントにするなど持論は結果に結びつかなかったようです。
それはさておき、昨オフには内田靖人、岩見雅紀の両大砲候補を戦力外に。
代わって昨年7月に森原投手との交換トレードで獲得した伊藤裕季也選手、オフに涌井秀章投手とのトレードで獲得した阿部寿樹選手、そして新しい助っ人外国人としてマイケル・フランコ選手ら右の強打者を積極的に補強しています。
中でも若手の伊藤裕季也選手が奮闘。
ここまで満塁ホームラン2本を含む11打点で12球団中トップ。
「満塁で点が入らない」イーグルス打線にとっては救世主のような存在です。
もちろんシーズンに入ってからが本番。
シーズンを通して1軍に帯同し続けることが最大の目標になりそうですが、現時点では好材料といえるでしょう。
中堅・若手のレギュラー争い
その他では内野を中心に中堅と若手のレギュラー争いが激しさを増しており、チームとして好材料といえるでしょう。
レギュラー当確といえるのは恐らく浅村栄斗、島内宏明、阿部寿樹、辰己涼介、フランコ。
若手では小深田、山崎剛が内野のレギュラー獲得へ猛アピールしており、それに茂木栄五郎、鈴木大地の中堅どころが実力の違いを見せたいところだが果たしてどうか。
他では辰己涼介が一抜けの様相を呈している同期から渡辺佳明、小郷裕也、太田光もレギュラー争いに必死。
更には黒川史陽内野手も11試合に出場と必死のアピールで開幕1軍入りを目指しています。
そして注目は扇の要、捕手。
安田悠馬を軸に炭谷銀仁朗、太田光捕手が控える構図が見受けられますが、果たしてどうか。
いつまでも炭谷に頼っていられず、かといってもう一つパッとしない太田光。
ここに安田悠馬が本格的に入ってくれば更に刺激となって好材料になるでしょう。
Aクラス入りへの好材料・投手
次に投手陣をみていきます。
ローテーション入りを狙う若手
昨シーズンは「豪華先発ローテーション」と言われながら結果を残せなかった先発投手陣。
今シーズン、先発投手陣でどれだけ貯金を作れるかが大きな課題になるでしょう。
開幕投手は田中将大、本拠地開幕投手は則本昂大と実績十分の二人が準備しています。
加えて岸孝之と新外国人のバニュエロスは当面のローテーションとして当確といえるでしょう。
残りの2~3枠を早川隆久、瀧中瞭太、高田孝一、藤平尚真あたりの若手とドラフト1位の荘司らルーキーが新戦力として食い込めるかどうか。
オープン戦を見る限りバニュエロスはやや怪しいところがあるだけに、結局は計算できるのが田中将大、則本昂大、岸孝之の3投手。
しかし、いつまでも彼らに頼っていられない。
今シーズンで残りの3~4枠を是非とも埋められる投手の登場に期待します。
それだけの戦力は揃っているのは好材料といえるので、あとは本当に活躍できるかどうかにかかっています。
Aクラス入りへの好材料・チーム
最後にチーム全体をみてみましょう。
WBC選出は松井裕樹のみ
冒頭でも書いた通り熱狂的な盛り上がりをみせるWBC。
イーグルスからは守護神・松井裕樹投手が選出されています。
強化試合では中日打線に打ち込まれるシーンこそありましたが、その後は修正。
本線ではここまで1試合に登板して1回パーフェクト。
準決勝・決勝の痺れる場面での登板が楽しみです。
一方で、裏を返すとイーグルスからはそれ以外の主力選手がWBCに出場していません。
侍ジャパンを応援する気持ちは強い反面、イーグルスとしてみれば好材料。
田中将大、浅村栄斗、島内宏明ら日本代表候補となりそうな選手はじっくりと調整ができています。
もちろん本人の中で悔しさはあると思いますが、そこは是非ともシーズンにぶつけて欲しいところ。
また、WBCでは山本由伸投手、佐々木朗希投手、宮城 大弥投手、伊藤大海投手といったパ・リーグを代表する先発投手。
甲斐拓也捕手、源田壮亮選手、山川穂高選手、近藤健介選手ら上位候補チームの主力選手が出場。
こうした主力選手がWBCで消耗しているのは間違いないだけに、レギュラーシーズンに影響がないとはいえない状況。
姑息なように見えるかもしれませんが、事実は事実。
そういった隙をどれだけ突いていけるかも重要になります。
特にパ・リーグ上位のホークスとバファローズからの選出が多い傾向にあり、シーズン序盤は苦戦する可能性があります。
日本代表が多いということは、それだけ強いチームという証拠。
主力選手を補う層の厚さもあるから強いわけですが、こうした相手に対して「ほぼ万全」の状態で開幕できるイーグルスが苦戦するわけにはいきません。
オープン戦を程よく消化している
冒頭にも記載した通り、オープン戦順位は決して良いとは言えません。
しかし、皆さん忘れてはいないでしょう。
昨シーズンはオープン戦で球団史上初の優勝を果たすもレギュラーシーズンはBクラス。
当然と言えば当然ですが、いかにオープン戦の順位が直結しづらいかを証明してくれました。
そういった意味で今シーズンここまで「程よく」消化できているのではないでしょうか。
若手は積極的に起用できており、主力もじっくりと調整できている。
外国人選手もキャンプから合流しており、開幕からいい状態で臨めそうな期待感はあります。
もちろんイーグルスお得意「夏場での失速」は避けてほしいところですが、いまの選手層を鑑みれば何とかなりそうな気はします。
まずは開幕スタメンがシーズン終盤まで
毎年のように書いてますが、ここ数年イーグルスの戦力は揃っていると感じています。
開幕戦にスタメンで出場した選手と先発ローテーションがシーズンを通して出場し続けることができれば、優勝してもおかしくありません。
とはいえ、長いシーズンには様々なアクシデントや好不調の波があるもの。
近年のイーグルスがもう一つ抜け出せない要因もそこにあるでしょう。
とにかくまずは開幕スタメン、ローテーションの選手がシーズン終盤まで出場し続けること。
これを大前提として、多少の調整や休養で代わる選手が積極的に勝負すること。
この二つが揃えばAクラス入りはもちろん、強敵ホークス・バファローズにも勝てるだけの底力はあるはずです。
今シーズンの活躍を信じて、開幕を待ちます。
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