防御率はどのように算出するの?歴代記録などをまとめてみた
投手の成績を示す指標として、様々な指標があります。
最も分かりやすいところでは勝敗数がありますが、他にも様々な指標で評価されます。
例えば、近年では先発した投手がどの程度先発としての役割を果たしたかをはかるQS(Quality Start)率や、1イニングあたり何人のランナーを背負うかというWHIPなどの指標があります。
これらはそれぞれ計算式があり、投手はこういった指標によりピッチャーとしての総合力を評価されます。
公の記録として残るのはもちろん、シーズンオフの査定対象にもなるでしょう。
こうした投手の指標がある中で、上記で紹介した指標以外で最も有名な指標が防御率と言えます。
野球にあまり詳しくない方は防御率がどういうものかよくわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、野球ファンの方でも防御率がどのように算出されているのかを知らないという方も多いと思います。
そこで、今回は投手の生命線とも言える防御率についてまとめてみました。
防御率とは?
防御率とは、投手が1試合で取られた点数を平均した数値です。
例えば、ある投手の防御率が2.36だった場合、この投手は1試合当たり2.36点失点する、ということがわかります。
ただし、注意すべきは、この失点は自責点であるということです。
自責点とは、投手の責任により点を失った場合の失点を指します。
具体的には、
- ヒット(ホームランを含む)
- 四死球
- 犠飛
- 犠打
- 盗塁
- 暴投
- ボーク
- フィルダースチョイス
により出塁、進塁した走者がホームに生還し、得点となったときに記録される失点が自責点です。
それ以外の野手のエラーなどで点を失った場合は「失点」となります。
要するに投手が自らの投球によって相手打者に打たれたり、出塁や進塁を許して失点したケースと言えます。
防御率の算出方法
では、防御率はどのように計算するのでしょうか。
防御率の算出方法は以下の通りです。
防御率=(自責点x9x3)÷(投球回x3)
上記の計算式に当てはめて算出した答えは少数第3位を四捨五入して、少数第2位までで表します。
一般的にこの値が小さいほど、良い投手、しっかりと抑えている投手と言えます。
では、実際に例を使って計算してみましょう。
6回を投げきって自責点が2だった場合は、
防御率=(2x9x3)÷(6×3)
という計算式になります。
これを計算すると、
防御率=54÷18=3
となります。
つまり、この場合は1試合当たり3点取られる、という計算になります。
また、投球回がぴったりではないときは以下のように計算します。
例えば7回1アウト、自責点3で降板した場合、投球回は7回と1/3なので計算式は、
防御率=(3x9x3)÷(7×3+1/3×3)
となり、答えは3.681となります。
少数第3位は四捨五入するので防御率は3.68です。
防御率はこのように計算しますが、この防御率は1試合ごとの数値ではなく、1シーズンまたは生涯成績で算出されます。
防御率からわかること
防御率は数値が小さければ小さいほど優秀な投手であると言うことができます。
特に防御率0点台は、1試合当たり1点以上取られることがほぼない、ということになり、とても優れた投手と言えます。
防御率0点台の投手が先発だった場合、そのチームは勝ちを見込める可能性が大きくなります。
反対に防御率が3点台後半~4点台の投手が登板した場合、相手チームは得点を見込みやすくなるでしょう。
防御率の歴代記録
それでは、実際にこれまでの日本プロ野球界において、どれくらいの防御率が記録として残っているのか調べてみましょう。
シーズン記録
シーズン記録の歴代の防御率トップ3はなんと全員が防御率1点未満です。
1位 藤本英雄(巨人・1943年)防御率:0.73
2位 景浦将(タイガース・1936年秋)防御率:0.79
3位 沢村栄治(巨人・1937年春)防御率:0.81
彼らはシーズン通して2点以上取られる試合がほとんどなかったことになります。
ただ、いずれも随分と昔の記録となりますので、現代野球とは少し違った傾向かもしれません。
通算記録
通算記録の歴代トップ3は通算記録で2点未満です。
1位 藤本英雄(1942-1955)防御率:1.90
2位 野口二郎(1939-1952)防御率:1.96
3位 稲尾和久(1956-1969)防御率:1.98
こちらも少し前の年代となっています。
裏を返せば、それだけ現代野球はバッティングが向上しており、投手にとってはシーズンや生涯を通じて1~2点で抑えるというのが至難の業になってきていると言えます。
最優秀防御率
では、現役トップ選手の防御率はどのくらいなのでしょうか。
最優秀防御率は日本プロ野球のタイトルのひとつであり、投手三冠のひとつでもあります。
最優秀防御率の選考対象となる選手は規定投球回に達した選手です。
過去3年の最優秀防御率受賞者と記録は以下の通りです。
2016年
菅野智之(巨人)防御率:2.01
石川歩(ロッテ)防御率:2.16
2017年
菅野智之(巨人)防御率:1.59
菊池雄星(西武)防御率:1.97
2018年
菅野智之(巨人)防御率:2.14
岸孝之(楽天)防御率:2.72
こうしてみると近年の最優秀防御率を受賞している投手の防御率は1点台後半から2点台前半という傾向にあります。
とりわけ、巨人の菅野智之選手は3年連続で最優秀防御率を受賞しており、毎年安定した成績を残していることが分かります。
また、2017年の菊池雄星投手は、DH制が導入されている強打のパ・リーグにおいて1点台の防御率だったことは素晴らしい成績です。
そして何と言っても昨年は我らが楽天イーグルスの二枚看板である岸投手が最優秀防御率を獲得しました。
数字としては2点台後半ですが、それだけパ・リーグの各チームの打線が強力だと言えますね。
防御率は投手能力を判断する指標
このように、投手の能力を表す指標の1つが防御率です。
先発投手で防御率が1点台後半から2点台前半の選手はプロ野球界の中でも一流であると言えるでしょう。
一方、登板するイニング数(投球回数)が先発投手に比べて少ない中継ぎや抑え投手はちょっとしたことでも防御率の増減が激しくなります。
例えば、シーズン序盤で打ち込まれて自責点が増えると、軒並み防御率が5点、6点、7点台と大きくなります。
とはいえ、シーズンを通して徐々に抑えていけば2~3点台になるケースもありますので、特にシーズン序盤やデータ数が少ない短期決戦では当てにならないこともあります。
いずれにしても防御率が低く、なおかつ長年にわたって活躍している投手ほど安定感があると言えます。
今後、防御率に注目して試合を観戦すると、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。
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