異例の年2020年・コロナ禍のプロ野球における特徴や例年との違い

例年より約3ヶ月遅れで始まった2020年のプロ野球。
開幕からしばらくは新型コロナウイルスの感染・拡大を防ぐため、試合は無観客で行われていました。

しかし、7月10日からは観客数の入場制限を行った上で有観客試合となりました。
それから2ヶ月以上が過ぎた今も、7月10日と同じ制限のもとで日々有観客試合が行われています。

また、今月8日には「新型コロナウイルス対策連絡会議」が開かれ、日本野球機構とJリーグが合同で、現在の観客数の上限緩和の要望書を西村康稔経済再生担当大臣宛てに提出しました。
要望書の内容は、現在の観客上限数5000人から2万人、もしくはスタジアムの収容人数の半分以下への制限緩和を求めるものです。
この要望書の提出により、早ければ今月中頃にはスタンドにまた活気が戻ってきそうです。

ただ、観客の上限数以外にも、今年のプロ野球は例年と違う点がいくつかあります。
そこで、今回は今年のプロ野球の特徴と2020年シーズンの試合をスタジアムで観戦する上でのルールなどをご紹介します。

異例だらけの2020年シーズン

ここでは、今年のプロ野球の例年との違いについて解説していきます。

今シーズンが例年と異なる点は6つです。

1. 試合数の変更

まず1つ目は、ペナントレースの試合数が例年の143試合から120試合になった点です。
これは当初の予定より約3ヶ月遅れて開幕したことが影響しています。
また、開幕の遅れにより、交流戦、オールスターも中止となりました。

2. 延長戦の短縮

2つ目は、開幕遅れによる過密日程回避のため、延長戦が12回から10回に短縮された点です。
これにより、今年は引き分け試合が多くなることが予想されます。

3. 選手人数の変更

さらに、日程の過密化を防ぐ策として選手人数も変更されました。
出場選手登録人数は29人→31人に、ベンチ入り人数は25人→26人、外国人選手枠も4人→5人にそれぞれ増員されました。

4. 補強期間期限の延期

4つ目は、補強期間の変更です。
例年はトレードなどの補強は7月31日までと決まっています。
しかし、今年は開幕の遅れなどの影響を加味して9月30日までとなりました。

5. 特別日程

また、今年のプロ野球の特色としては、日程が挙げられます。
セ・リーグでは、開幕時は東京ドーム、明治神宮野球場、横浜スタジアムの首都圏の球場で試合を行った後、西日本に本拠地を持つスタジアムで試合を行うという集中開催方式を7月24日まで採りました。
パ・リーグも7月19日までは同一カードで6連戦を戦うという日程に変更。
これにより、パ・リーグは1週間同じチームと戦うという異例の日程となりました。

こういった一連の日程変更は、移動の負担を極力減らす目的で行われました。
現在は、両リーグとも例年どおりの日程に戻っています

6. クライマックスシリーズも変更

クライマックスシリーズ(CS)も従来の開催方式とは異なります。
6球場中、東京ドームとナゴヤドームを除く4球場が屋外球場のセ・リーグでは、雨天中止による後半戦の過密日程を避けるため、今シーズンのCS開催を断念
CSの開催断念は2007年にCSが導入されて以来初めての出来事です。
CSがなくなったため、セ・リーグのチームはペナントレースで1位にならない限り日本シリーズに出場できなくなってしまい、その1席を巡って、現在首位の読売ジャイアンツを2位以下のチームが必死に追っています。

セ・リーグとは対照的に屋外球場が2球場しかないパ・リーグは、雨天による試合中止が少ないため、CSは開催されます。
しかし日程は短縮され、4試合制に変更となりました。

このように例年と違って短い試合、シーズンとなった2020年。
9月に入り、残り試合数も半分を切り、負けられない戦いが続いています。

選手、監督、コーチ等の予防措置

では、選手、コーチなどグラウンドに立っている人々は普段どのようなことに気をつけているのでしょうか?
ここからは、グラウンドに立つ人々が行っている新型コロナウイルス予防措置についてご紹介します。

テレビでもあまり強調されて紹介されることのない彼らの予防措置。
テレビ観戦していると、マスクを着用しているチームとそうでないチームがあり、どのようなルールになっているのか気になっている人も多いのではないでしょうか?

NPBの規則上では選手、監督、コーチは試合中のマスク着用は強く推奨されていますが、義務ではありません
そのため、監督がマスクをしているチームとそうでないチームがあるのです。

マスクの他にも彼らが行っている予防措置はあります。
試合中、球場内、球場外の3つに分けてご紹介します。

試合中

試合中、選手たちは以下の4点に十分留意した上で試合を行っています。
・試合中における唾を吐く行為の禁止
・ロジンバッグのチーム別での使用
・ボールを触った手で目、鼻、口を触ることの禁止
・タオルなど共用物品の使用を可能な限り控える

球場内

・ロッカー室、シャワー室の時間差利用(濃厚接触を避けるため)
・球場内で食事をする際は選手同士の距離を置き、対面での食事も避ける
・喫煙は可能だが、喫煙スペース内でも人との距離を取り、会話を避ける
このように、試合外の時間も飛沫感染予防などに努めています。

球場外

さらに、球場外でもこまめに検温するなどして各自健康管理を行っています。
・自宅、ホテル等宿泊施設で起床直後に検温する
・球場へ行く前に検温する
・移動中はマスク着用と手指衛生の徹底
・公共交通機関の利用は極力避け、やむを得ず利用する場合は混雑時間を避ける

チームスタッフの予防措置

また、トレーナー、通訳、マネージャー等のチームスタッフも球場外ではユニフォーム着用者と同じ予防措置を取っていますが、試合中の措置は異なります。

試合中、チームスタッフはマスクを常時着用となっています。
トレーナーについては、選手に接触する前後に必ず手指消毒をし、手を清潔に保つなどの感染予防に努めなければなりません。

有観客試合の球団側の措置は?

では、ここからは観客を受け入れる球団側の予防措置についてです。

各球団はそれぞれのSNSやホームページ、チケット販売ページなどでマスク着用や手指消毒などの一般的な予防措置を案内。
また、スタジアム内でも大型ビジョンや場内放送を通じたマスク着用などの案内を行うことで、予防措置の強化に努めています。

また、今年は入場時にマスクを着用した上で、サーモグラフィーによる検温が実施されています。
万一、検温に協力しなかった場合は入場を拒否される場合があるので、入場時の検温には協力しましょう。
その他にも、NPBは3蜜を回避するため早めのスタジアム到着も呼びかけています。
試合終了後も入場時と同様、チケットの種類に基づいた退場ルールを作成するなど、観客の時間差退場を工夫しています。

試合観戦当日に体調不良だった場合は?

チケットを購入しても、試合観戦当日に体調不良だった場合は入場制限の対象者となり、入場できない場合があります

観戦日1週間前から当日までの間に、体温が37.5℃以上ある場合や、味覚・嗅覚異常、咳、息苦しさなどの症状がある場合は、入場制限対象です。
さらに、PCR検査陽性歴がある人や、濃厚接触者の人、家族に濃厚接触者がいる人、マスクを着用せずに来場した場合なども入場制限の対象となることがあります。
詳しくは、NPBのサイトで確認しましょう。

入場制限となった場合のチケット代金の返金などについては、球団により措置が異なるので、詳細は各球団に問い合わせるなど観客各自の行動が必要です。

飲食物の購入について

コロナ禍の有観客試合ということで、スタジアム内での飲食物を購入できるのかなどについて疑問に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、今年もスタジアム内での飲食物の購入は可能です。

販売スタッフは、常時マスクを着用し、日々の体調管理を徹底した上で接客をしています。

飲食物購入の列に関しては、一定の間隔を設け、列における「蜜」を回避。
また、紙ナプキンや箸、カトラリー、ケチャップなどのディスペンパックのセルフサービスは禁止となりました。
さらに、販売店のカウンターにはビニールカーテンやパーテーションで仕切りを設置するなどして、できる限りの感染拡大防止策を講じています。
販売メニューも、複数人でシェアできるようなメニューの提供を停止しています。

売店での飲食物購入以外にも、売り子によるビール販売は例年どおり行われており、購入可能です。

2020年シーズンの特別応援様式

今年のプロ野球観戦は応援スタイルも異なります。
飛沫感染防止の観点から、ジェット風船を使った応援や、指笛、トランペット等の鳴り物応援が禁止となりました。
また、ファインプレー等が起こった際の観客同士のハイタッチや、肩を組んでの応援も接触観戦のリスクがあるため、禁止となっています。
ただ、応援団による太鼓を使った応援や、ジェット風船がプリントされたタオルを使った応援は可能です。
加えて、各スタジアムではチャンステーマや、ホームチームが得点した時は、録音されたメロディを流すなどして、観客が少しでも高揚感などを味わえるように工夫しています。
得点が入った時などはそういったメロディにあわせて適度な拍手で盛り上がりましょう。

楽天イーグルスの新型コロナウイルスに対する措置

では、我がイーグルスは新型コロナウイルスに対してどのような措置を取っているのでしょうか?

イーグルスでは、来場時に検温を実施しており、検温結果が37.5℃以上の方は入場できないことがあります。
また、倦怠感や味覚・嗅覚に異常を感じる方は入場できません。

チケットも、座席を限定して販売しています。
これは、ソーシャルディスタンスに配慮した上でのチケット販売です。
くれぐれも、席が空いているからとチケットに記載された席以外で観戦するなどといった行為は控えましょう。

また、試合中にスタンドに入ったホームランボールやファウルボールは、自身の席でキャッチしたものは持ち帰ることができますが、自身の席を離れて取ったボールは持ち帰ることができません
もし、席を離れてボールと取った場合は球場スタッフにボールを渡しましょう。

さらに、感染拡大防止のため、観戦後も最低2週間はチケットを保管するようにしましょう。

スタジアム内での措置

スタジアム内では、球場スタッフやショップスタッフがマスク、フェイスシールド、手袋などを装着した上での接客を行っています。
また、会計時の金銭や商品のやり取りは、トレーやカウンターを使い、直接の受け渡しは行っていません

お手洗いに関しては、各個室に便座クリーナーが設置してあります。
クリーナーで便座を拭いてから、利用するようにしましょう。
お手洗いには、ジェットタオルが設置されていますが、使用が禁止されています。
したがって、各自ハンカチやタオルを持参するようにしましょう。

その他、楽天生命パーク宮城で試合を観戦する場合の注意事項などの詳細はこちらから確認できます。
チケット購入時や観戦前日などに一度目を通しておくと、観戦当日に気持ちのよい試合観戦ができるでしょう。

コロナ禍の試合観戦はマイナス要素ばかりではない

今年は新型コロナウイルスの影響により、スタジアム観戦にも特別ルールが多く、従来のような応援ができず、もどかしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、コロナによる影響はマイナス要素ばかりではありません。
鳴り物応援や、大きな声を出しての声援が禁止になったことにより、普段は聞こえない選手の声やピッチャーが投げたボールがキャッチャーミットに収まるときの音などが聞こえるたりと、新たな発見もあります。

プロ野球ファンとしては1日も早く、スタジアム内で勝利を分かち合いたいという思いが強いと思いますが、今は各スタジアム、球団の措置やルールに従い、気持ちの良い応援を続け、自分が応援するチームにパワーを送りましょう!

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