どこまで続くか注目!2020年の投手無敗記録

コロナ禍の中、観客動員数を制限して行われている今年のプロ野球。
そんな異例の年でも、目をみはる活躍を見せている投手がいます。

パ・リーグでは我らが涌井 秀章投手(楽天イーグルス)、セ・リーグでは菅野 智之投手(読売ジャイアンツ)です。

この2人は8月24日時点で、今シーズン負けなしの8連勝を挙げています。涌井投手は残念ながら26日の千葉ロッテマリーンズ戦で敗戦投手となってしまいましたが、菅野投手は25日のヤクルトスワローズ戦でも勝利投手となり、無敗記録は継続中です。

そこで、今回は過去10年の連勝記録を深堀りしたいと思います。

圧巻!無敗でシーズンを終えた男・田中 将大投手

過去10年(2010 – 2019年)の連勝記録ベスト3はこのようになっています。

1位 田中 将大投手:24連勝 2013年・24勝0敗(楽天イーグルス)
2位 バンデンハーク投手:9連勝 2015年・9勝0敗(ソフトバンクホークス)
3位 能見 篤史投手:8連勝 2010年・8勝0敗(阪神タイガース)
3位 西 勇輝投手:8連勝 2014年・12勝10敗(オリックス・バファローズ)
3位 千賀 滉大投手:8連勝 2016年・12勝3敗(ソフトバンクホークス)
3位 菊池 雄星投手:8連勝 2018年・14勝4敗(西武ライオンズ)
※球団は記録達成時の在籍球団、勝敗はその年の成績

ベスト3をみると、涌井投手はすでに3位記録に並んだことがわかりますね。
菅野投手に関しては、すでに9連勝とバンデンハーク投手が2015年に達成した連勝記録と並んでいます。

また、「シーズン無敗記録」に関して見てみると、直近10年で無敗でシーズンを終えた投手は2010年の能見 篤史投手、2013年の田中 将大投手、2015年のバンデンハーク投手の3投手だけとなります。

ただ、この3投手のうち田中 将大投手を除く能見、バンデンハーク両投手は開幕からずっと先発ローテーションを守っていたわけではありません。
能見投手は右足の骨折のためシーズン中に約4ヶ月の離脱、バンデンハーク投手は外国人枠の関係があったために初登板が6月と遅くなってしまっていました。

つまり「開幕から無敗の投手」は田中 将大投手だけということになります。

田中 将大投手の連勝記録は2012年の8月から続いており、その連勝記録は圧巻の「28」とプロ野球記録にもなっています。
ちなみに、2リーグ制以降の連勝記録の2位は松田清投手(1951-1952年、元ジャイアンツ)と稲尾和久投手(1957年、元西鉄)の20連勝で、今から半世紀以上も前の記録です。

ここから20連勝という壁がいかに高くて厚い壁であるかがわかりますし、いかに田中将大投手が「神がかっていたか」が分かります。
もちろん、勝ち投手になるには投手自身のパフォーマンスだけでなく野手陣の援護も必要ですので、チーム全体としての勝ちが必須です。
2013年はご存じの通り楽天イーグルスが初めてリーグ優勝、日本一となった記念すべきシーズン。田中将大投手の貢献度が大きかったことは言うまでも無いでしょう。

過去のデータからみる今後の涌井・菅野の2投手

では、過去のデータから今シーズンの涌井投手、菅野投手の今後を予測してみましょう。

今回は連勝が8でストップした投手のデータを元に、今後の涌井投手、菅野投手の成績のヒントを探ります。
ここ10年の連勝記録ベスト3に名を連ね、尚かつ負けを喫した投手は3位の3投手。
まずは3投手の8連勝した年のシーズン成績を見てみましょう。

西 勇輝投手(2014)

2014年シーズンの西投手は、開幕から3試合連続で自責点0という最高のスタートを切りました。
また、連勝中自責点0の試合が半分の4つと西投手の成績は圧巻でした。

8連勝後は5月28日の中日ドラゴンズとの交流戦で8回を投げて1失点と好投しましたが、敗戦投手となっています。
その翌週の登板でも2失点(自責点は1)と好投しましたが、味方の援護なく2試合連続敗戦投手となってしまいました。
西投手は連勝記録がストップしてから8月1日までは4勝5敗ですが、8月23日のイーグルス戦以降は5連敗を喫していまい、終わってみれば12勝10敗となりました。

また、西投手は8連勝中は失点2以下に抑え、防御率も1.03と好記録をマークしていたのですが、連勝がストップして以来は5失点以上の試合が6試合、シーズン防御率も3.29と前半戦からは想像し難いような防御率となってしまいました。

千賀 滉大投手(2016)

千賀投手は3投手の中で8連勝するまでに最も時間を要した投手です。

3月30日の試合に勝利してから、2勝目を手にするまでに4試合勝敗がつかない試合があり、8連勝を記録するまで15試合かかりました。
8連勝後の2試合も2失点以下と好投しましたが勝敗はつかず、8月6日の日本ハムファイターズ戦で5失点(自責点4)でシーズン初黒星を喫しました。

しかしその後4試合で2失点以下と再び好投し、4連勝をマーク。
2016年シーズンは12勝3敗戦と好成績を残しました。

また、千賀投手は8連勝中の防御率は2.63と西投手と比べると1.5以上も高いですが、シーズン防御率が2.61であることを考えるとシーズンを通して安定したピッチングをしていたことがわかります。

さらに、1敗目を喫して以降でも5失点以上の試合は2試合だけであったことからも、この年の千賀投手の安定感が分かります。

菊池 雄星投手(2018)

現在メジャーリーグで活躍中の菊池投手。
メジャー移籍前年の2018年に8連勝を記録しました。

菊池投手は6月29日戦の楽天戦でシーズンワーストとなる失点6(自責点6)でその年のシーズンで初めて敗戦投手となってしまい、その後の楽天戦2試合に登板するも0勝1敗と勝ち星はつかず2連敗となりました。

しかし、8月31日のバファローズ戦以降は負けなしの5連勝を記録し、14勝4敗という成績でシーズンをフィニッシュ。

8連勝した時の菊池投手の防御率は2.57、シーズン防御率は3.08という結果でこちらもシーズンを通して安定したピッチングだったことがわかります。
菊池投手の1敗目を喫して以降の5失点以上の試合数も千賀投手と同じ2試合でした。

3投手の成績からわかること

3投手の成績からわかることは3つあります。

1つ目は連勝後の成績です。
千賀投手と菊池投手は連敗は3未満でシーズン通しての敗戦もそれぞれ3と4でした。
一方、西投手は2連敗が2回、5連敗が1回と連敗も多く経験しました。
したがって、連勝がストップした後、いかに連敗しないことがシーズン成績を決める鍵の一つとなりそうです。

さらに、負け数が5未満の千賀投手と菊池投手は共にシーズン終盤にも4連勝以上を記録しましたが、西投手は負けがついて以降の試合では2連勝1回のみでした。
シーズンを通して大型連勝後に再度連勝することができるかが、2つ目の鍵となるでしょう。

そして3つ目は1敗目を喫して以降の試合成績です。
1試合あたりの失点数が5以上の試合数が少ないほうが、安定した成績を残せることが3投手の成績からわかりました。
したがって、連勝後に連敗を喫したとしても失点が5未満であれば、シーズン通して安定したピッチングを期待できるといえそうです。

今回ピックアップした投手はいずれも各チームを代表する(した)名投手ばかりです。
とはいえ、一流選手でも人間。連勝した記録がストップしてしまうとモチベーションが下がってしまったり、突然崩れてしまうこともあります。

そういった意味では連勝を伸ばすだけでなく、止まった後もいかにそれまで通りのピッチングができるかどうかが重要になってくるのではないでしょうか。

まとめ

今年はコロナウイルスの影響で開幕が遅れ、試合数も120試合に減ったため、主力投手の不調や不振が続くとチーム成績に大きな影響を与えかねません。

そんな中でもこれまで抜群の、安定感ある投球をしている涌井、菅野の両先発投手。
現在二人とも、勝利数、防御率で共に各リーグ1位の成績を残しています。
涌井投手は惜しくも今季初黒星を喫してしまいましたが、今後も開幕してからの安定したピッチングを続ければ、パ・リーグの投手部門タイトルを複数獲得できる可能性が大きいです。

また、菅野投手が今後も無敗のピッチングを続ければ、2013年の田中将大投手以来のシーズン負けなし男になれるかもしれません。

今後も、涌井投手、菅野投手の活躍に目がはなせません!!

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