【2024総括】交流戦優勝も3年連続Bクラス・今江監督解任で残ったのは失望感と不信感

10月9日の埼玉西武ライオンズ戦をもって2024シーズンが終了。
我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは67勝72敗4分・4位に終わりました。

開幕前に今江敏晃一軍打撃コーチが監督に就任し、2年契約の1年目としてスタート。
一方で目立った補強はされず、昨シーズンとほぼ同じ戦力での船出となりました。

シーズン序盤は最大9の借金を抱え、低迷した時期もありましたが、交流戦に入ると息を吹き返し、球団史上初の交流戦優勝を果たしたのは大きな話題となりました。
リーグ戦再開後は勝率5割を行ったり来たりしながら、終盤までAクラス争い・CS争いをするも、最後は力尽きた印象。

とにかく先発投手陣の不足は開幕当初から課題となっていた中で、打線の主軸が相次いで不振に陥るなど、なかなか投打が嚙み合わなかった。
その結果が3年連続4位・Bクラスという結果にも表れているように感じます。
しかし、20代の選手たちが活躍し、「チームの顔」はガラッと変わった印象も受けます。

具体的な成績や選手もピックアップしながら、2024シーズンを総括していきます。

シーズン成績

まずはチームとしての各種シーズン成績をみていきましょう。

パ・リーグ順位

67勝72敗4分 勝率.482 4位(3位と5ゲーム差)

今シーズンはリーグ3連覇中のオリックス・バファローズが失速。
かわって大型補強による絶対優勝を掲げたソフトバンクホークスが91勝をマークして独走優勝となりました。
とはいえ、2位の北海道日本ハムファイターズも75勝と善戦。

イーグルスは3位争いで千葉ロッテマリーンズと競ることになりましたが、直接対決での敗戦などが響いて万事休す。
シーズン終盤での連敗もあり、借金5・4位Bクラスとなりました。

打撃成績

打率.242(4)/492得点(4)/72本塁打(4)/90盗塁(2)

打率、得点、本塁打数がいずれも順位と同じリーグ4位。
近年は高い水準をマークしている盗塁数だけは今季も維持しました。
機動力を活かし、バントなども絡めて得点を取りに行くスタイルは石井一久前監督時代から大きくは変わらなかったようにも感じます。
その中で、長打が出なかったのは主軸の不振も関係があるでしょう。

もう少し打てていれば、という想いはありつつも、今シーズンは3割打者が1名しかいなかったように打低の傾向だったようなので、仕方ない部分もあります。
浅村・島内・フランコが機能せず、替わって小郷・辰己・村林・小深田らが何とか打線を引っ張ってくれました。
彼らも不振になる時期があり、そういった状況の中では鈴木大地や阿部寿樹といった存在も頼りになり、チーム全体でカバーできたように感じます。

投手・守備成績

防御率3.73(6)/579失点(6)/64失策(2)

とにかく先発投手陣が不足し、崩壊しました。
中でも失点数はリーグ断トツの最下位(5位マリーンズが495)。
唯一の500失点以上を喫しており、特に前半はホークス戦での大敗など悲惨な状況でした。
一方、早川隆久投手がエース級の活躍を見せると、藤井聖投手も続き、転向した内星龍投手も頑張りました。
リードしていれば中継ぎ投手陣は安定感が高く、クローザー転向した則本昂大投手もセーブ王に輝くなど、来季につながる兆しも随所にありました。

投打の誤算

いずれにしても、シーズンを通して誤算があったからこそ、4位に終わったと考えられます。
その要因を考えてみました。

主軸の浅村・島内・フランコが今季も不振

昨シーズンも足を引っ張った主軸の3人が今季も相次いで開幕から不振。
キャンプから何をしていたのかと厳しい指摘をしたくなる仕上がりで、打線の足を引っ張ってしまいました。

フランコは開幕カード終了後に即二軍行きを決断する今江監督の采配もありました。
昨シーズン苦しんだ島内宏明選手も再び離脱し、浅村栄斗選手もスタメンから外れたり、6番を打つ試合もありました。
誰もが主軸として計算・起用するであろう選手たちの不振は大きな誤算だったといえます。

この主軸は完全に崩壊したといっていいでしょう。
フランコは去就未定ですが退団の可能性もあります。

浅村は来季、スタメン確約のような空気は白紙にしてもらいたいところです。
島内の復活も期待したいですが、20代の選手たちも台頭しており、かなり厳しい状況です。

先発投手の崩壊

戦力的な整理をすると、まず何といっても絶対的守護神だった松井裕樹投手がMLB挑戦によって退団。
更には安樂の不祥事発覚もあり、クローザーと中継ぎが手薄になりました。

今江監督最初の決断はクローザー。
則本昂大投手を抜擢してクローザー転向を決断しました。

そうなると更に穴が開くのは先発投手陣。
計算できるのがベテランの岸孝之投手のみとなり、早川隆久・荘司康誠・藤井聖・先発転向の内星龍や新加入のポンセらが頼みの綱となります。

結局、ポンセはホークス戦での大炎上などでローテーションを外れ、荘司も体調不良やケガの影響で離脱。
早川がエースになるべく奮闘し、藤井や内らも頑張りましたが、シーズンを通して「枚数不足」となりました。

岸孝之投手が39歳にして規定投球回に到達するなどの活躍もありましたが、開幕前の課題はそのまま結果にも表れてしまったといえます。

投打のヒーロー

一方で、交流戦優勝の立役者や終盤まで粘ったAクラス争いなど、投打の活躍・飛躍した選手もみていきましょう。

小郷 裕哉

143試合 打率.257(565打数145安打) 7本塁打 49打点 32盗塁

まず何といっても、小郷裕哉選手
球団史上初のシーズンフルイニング出場という、まさにフル回転の活躍でした。
打順は上位から下位まで経験し、スランプの時期もありましたが、終盤では不動のリードオフマンになったといえます。

交流戦優勝の立役者であることは間違いなく、シーズン途中まで最多安打争いに食い込むなど、レギュラーの座をガッチリ掴んだといえます。
とはいえ、これで安心、満足はしないでしょう。
外野手はルーキーの中島大輔選手も一軍デビューしており、20~30代まで幅広い選手たちがレギュラーの座を狙っています。
こうした競争の中で、来季もレギュラーとして君臨して欲しいです。

辰己 涼介

143試合 打率.294(537打数158安打) 7本塁打 58打点 20盗塁

こちらもシーズンフル出場を達成した辰己涼介選手。
序盤はそこまで目立っていなかったものの、徐々にチャンスで打ち始めると、最終的には158安打を放って最多安打のタイトルを獲得しました。
「残念そこは辰己」で知られる通り、守備の安定感は引き続き抜群で、攻守にわたって欠かせない存在となっています。

主軸の不振を受けて3番に起用されると、得点圏での勝負強いバッティングでチームを支えました。
新たな3番打者として定着したこともチームにとって大きな収穫です。

早川 隆久

25登板 11勝6敗 防御率2.54 170.1投球回 160奪三振

開幕投手に抜擢され、飛躍が期待された早川隆久投手。
しかし、シーズン序盤では太田光捕手に対する問題発言もあってチーム崩壊の危機すら感じましたが、見事に修正しました。
以降も太田とのバッテリーでローテーションを守り抜き、自身初の二桁11勝をマーク。
終盤は少し打たれて悪化したものの、防御率はシーズンを通して、ほぼ2点前後をキープしていました。

今季で名実ともにエースになったといっていいでしょう。
先発投手陣では荘司や古謝など若手も控えているため、来季も世代交代の先頭を走って欲しいです。

藤井 聖

22登板 11勝5敗 防御率2.93 126投球回 74奪三振

開幕当初はローテーションから外れていたものの、ポンセや荘司らの替わりでローテーション入り。
すると、あれよあれよと勝ち星を積み重ね、球団左腕初の7連勝で前半戦を折り返し、オールスターにも選出されました。

後半は少し対策されたようですが、早川と同じく11勝をマークしたのは素晴らしい活躍。
来季は開幕からローテーション入り間違いないでしょうから、今季以上の活躍に期待したいです。

藤平 尚真

47登板 0勝1敗 20ホールド 防御率1.75 46.1投球回 58奪三振

2016年ドラフト1位、名門横浜高校出身とあって高い期待を持って入団するも、先発としてはもう一つ華が開かず。
そこで今江監督の打診もあり、中継ぎに転向すると大正解。
力強い速球と変化球はショートイニングで真価を発揮し、勝ちパターン・勝利の方程式に入りました。

今シーズンは則本昂大投手から逆算して宋家豪、酒居知史、鈴木翔天と安定感の高い中継ぎ陣が揃っており、そこに加わったのは頼もしい限りでした。
宋家豪や酒居も年齢を重ねており、則本もクローザーを続けるか不透明ではあります。

来季は思い切って守護神へと昇格してもいい、そんな活躍でした。

則本 昂大

54登板 3勝4敗 4ホールド 32セーブ 防御率3.46 52投球回 44奪三振

松井裕樹投手の後任として今江監督が大抜擢した則本昂大投手。
プロ入り12年目で初のリリーフ転向には驚きましたが、見事な活躍でブルペンを支えました。
松井裕樹と同じ劇場型でピンチを招くシーンも多々あり、救援失敗した試合もありましたが、特に序盤は安定感がありました。

結果として就任1年目からセーブ王のタイトルを獲得したのも素晴らしい限りです。
なにより、慣れない環境で1年目からシーズンを通して稼働し続けたことに敬意を表します。
来季も継続か、不足する先発投手陣に加わるか分かりませんが、まだまだ必要不可欠な存在です。

来季の期待選手

来シーズン期待したい選手をピックアップしてみました。

安田 悠馬

開幕前に今江監督から「二軍で守備をみっちり鍛える」と方針があった通り、ファームで捕手として出場を重ねてきました。
持ち味の素晴らしいバッティングも調子を上げ、ファームでの後半では一塁手につくなど一軍での機会も虎視眈々と。

シーズン終盤で一軍昇格すると、得点力不足に陥っていたチーム状況も相まって指名打者としての出場が増え、新たな主軸となってくれました。

来季は開幕から一軍に定着し、捕手としてはもちろん、一塁やDHも活用しながら打線の中軸を担って欲しいですね。

伊藤 裕季也

森原康平投手とのトレードで加入した伊藤裕季也選手。
出場機会については、もどかしい状況もありましたが、少ないチャンスも一定のアピールができたと感じます。
来季は開幕から一軍に定着し、攻守にわたる活躍に期待します。
内野も外野も選手がいる中で、競争を勝ち抜いてレギュラーを掴んだ時のチーム状況は良いものになっていることでしょう。

古謝 樹

ルーキーながらシーズン途中から先発ローテーション入りすると、終盤まで完走しました。
即戦力投手として期待されたドラフト1位ルーキーですが、荘司の離脱など苦しいチーム状況の中で奮闘してくれたといえます。
5勝8敗と負け越し、試合後半でのスタミナ不足など課題も出てきましたが、大きな収穫の一年だったと思います。

来季は開幕から一軍、ローテーション入りし、世代交代した先発投手陣の一角を担って欲しいですね。

今江敏晃監督の解任

実質、補強なしで臨んだ2024シーズン。
若手の台頭や中堅ベテランの融合など噛み合った時もあれば、チグハグな起用・采配で苦しい時期もありました。
いずれにしても2年契約の1年目。
「監督も経験・育成の一年」と思えば、全体的に「よくやってくれた」と感じました。

しかし、思いもよらぬ事態が発生します。
シーズン終盤になり、突如として「続投白紙」の報道が出てきました。
流石にそれはないだろうと思っていましたが、シーズン最終戦の翌朝、早々に各メディア一斉に「解任へ」と報道。

唖然、愕然

後任は二軍監督を務めており、2020年には一軍監督も経験した三木肇氏の再登板となりました。

真相は闇の中へ

2年契約の1年目、ましてや大した補強もせずに前年と同じ4位Bクラスならば「解任するほどの理由はない」と考えていました。

各社の報道も様々。
選手やコーチが不満を抱いていたといった内容もあれば、三木谷オーナーが田中将大投手の起用に関して意見が合わずクビにしたという報道も。

結局、森井球団社長の会見・コメントでも大した内容は言及されず、この記事を書いている2024年10月25日時点で退団かコーチ就任かも不透明なままです。
三木肇一軍監督、渡辺直人二軍監督を筆頭にコーチ陣の退団や就任も徐々に発表されています。

恐らく、このまま全体発表される首脳陣に名前はなく、今江敏晃氏は「実質退団」だろうと予測しています。

球団は腐ってしまった

金は出すが口は出さない。
一般的に理想とされるスタンスだが、三木谷は「金は出すが口も出す」だった。
それなら、まだよかった。

しかし、近年は田中将大投手への巨額投資が失敗し、外国人選手も失敗、高額年俸選手も見合った活躍をしている選手は限られ、球団経営が苦しい状況となっている。
親会社の業績不振がどこまで影響しているかはわからないが、明らかに「金を出さなく」なっており、それでいて、いまだに現場介入、口出しはしているとの報道。

まさに「金は出さないが口は出す」最悪の状況

FA移籍でイーグルスに入団し、引退後も献身的に若手育成に尽力した今江敏晃氏。
本人の監督就任会見で「想像したステップをだいぶ飛び越えた」と話していた通り、「成り手がいなかった」のが実態ではないだろうか。

そんな今江氏を契約途中で解任するほどの理由がどこにあったのか?
やりがい搾取といっても過言ではなく、本来は厳しく追及したいところだが、これ以上は何も出てこないだろうと失望している。

親会社が変わるか三木谷が離れるか

今江監督解任
本当に憤りを感じたし、球団への絶望感や不信感も増大した。

しかし、思えば過去にも同じことを繰り返してきた。
田尾氏や平石洋介氏も1年で解任。
自分の言うことを聞く人間を並べたいだけなのかもしれない。

親会社が変わるか、ヴィッセル神戸のように三木谷が関与しないようにならない限り、根本的には変わらないと失望している。

優秀な指導者は寄り付かなくなり、若手の育成にも影響が出かねない。

ちょうど昨日のドラフト会議で、20年に1人の逸材と言われ、今年の注目選手・宗山塁内野手の交渉権を獲得したのは朗報である。
しかし、こんな球団事情では選手への待遇、優秀な指導者の招へいなど課題は山積み。
もちろん、いまいる選手たち、とくに活躍した選手たちへの待遇改善も必須事項である。

イーグルスは応援するが球団は嫌い

かつて野村克也氏が発言したことでも知られている通り、私もまったく同じ感情を抱いている。

X(Twitter)では「今江信者・今江擁護派」などとバカにされてきたが、そんなバカの言うことはどうでもいい。
たとえ今江敏晃氏じゃなかったとしても、このようなやり方は絶対に間違っている。

選手たちはもちろん、三木肇新監督や首脳陣、関係者、総じてチームは応援していきたい。
しかし、楽天野球団、中でも三木谷オーナーと石井一久体制では根本が腐ったままである。

確かに石井一久氏はGMとしての手腕はお見事で、SD(シニアディレクター)となった今もドラフト戦略など一定の評価はできる。
一方で、自身は3年監督を務め、3→4→4位と結果を残せなかった。
今江氏や平石氏は1年で切ったのに、自分には自分で3年のチャンスを与え、活かせなった。
監督時代の推定年俸も1億円と言われており、今江敏晃氏は4,000万円と報道されている。
2年目で同じ4位・Bクラスでありながら続投した。

とにかく残念でならない。
本当はもっと汚い言葉も言いたいくらいだが、流石にそれは控えておく。

様々な疑念や不信感が残ったまま、シーズンオフを迎え、2025シーズンを迎えようとしている。

2025シーズンのイーグルス

いずれにしても、2025シーズンが素晴らしいものとなりますよう、願っています。

野手は20代の選手たちが中心となり、若手・中堅・ベテランがバランスよく融合しているように感じます。
投手陣も結果として先発ローテーションは一気に若返り、中継ぎ陣も次世代が出てきています。

ここにもう少し即戦力の補強ができれば、Aクラス入りは十分可能だと感じます。

一度経験している三木監督にも大きな期待がかかります。
気掛かりな点もたくさんありますが、何とかやってくれるでしょう。

ぜひ、来年こそ最低でも3位
ここをきっちりと達成して欲しい。

陰ながら、応援していきます。

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