トレードってどんな制度?トレードの期間・仕組みルールなど

10月23日、今シーズンもすべての試合が終了しました。
そして、シーズン終了から3日後の10月26日、中田賢一投手(ソフトバンク)がトレードで阪神に移籍することが発表されました。
「え。でもトレードってシーズン中に行われるものじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。
確かに、トレードはシーズン中に行われることもあります。しかし今回の中田投手のようにシーズンのトレードも可能です。
というわけで、今回は「トレード」の仕組みについて詳しく解説します。

トレードとは

「トレード」とは、FA(フリーエージェント)、自由契約、ポスティングシステム以外の方法での選手の他球団への移籍のことです。
戦力補強の意味合いが強いため、即戦力になる選手がよくトレードされます。また、基本的には似たような戦力を持つ選手同士を入れ替えます。

しかし、時には金銭と選手を入れ替える「金銭トレード」というトレードも行われます。
金銭トレードが行われるのはトレードで獲得したい選手と同レベルの選手がいない場合や特に補強したいポジションがない場合です。
金額が開示されることはありませんが、基本的には獲得選手の年俸分の金額を支払います。
また、トレードする選手の能力が異なる場合には、「選手+お金」というトレードもあります。

また、普通トレードは2球団間で行われますが、稀に3球団の間でトレード(三角トレード)が発生することもあります。
さらに、代償なしで選手を他球団に譲渡する「無償トレード」というトレードもあります。

トレード期間と仕組み

トレードにおける基本的なルールは以下のとおりです。

  • 三角トレードが行われる場合、新人選手をトレードしてはいけない。
  • トレード該当選手がトレード時に1軍登録されている場合、その選手は出場選手登録を抹消されなければならない。
  • 選手を新たに支配下選手登録できるのは7月31日まで。トレードによる新加入の選手の獲得もこれと同等の期限とする。
  • トレード該当選手が既婚者の場合は100万円、独身者の場合は50万円が移籍金として選手支払われる。

したがって、トレードはシーズン後半から終了までの期間は禁止ということになります。
時折、シーズン開始前にトレードが行われることもありますが、これも上記のルールを見てわかるとおり、トレード可能です。
ただし、トレード禁止期間であってもトレード該当選手がウェイバー公示をしていればトレードできます。

ウェイバー公示

ウェイバー公示」とは、球団が所属選手との契約期間中に支配権を放棄する選手を公表することを意味します。

球団が、契約期間中(2月1日~11月30日)に選手との契約を破棄する場合は所属連盟(セントラル野球連盟、またはパシフィック野球連盟)に契約を破棄する旨を申請、並びに手続きをしなければなりません。

手続きが完了すると該当選手は公表され、その選手を望む球団により申し込みがあるとトレードとなります。
ただし、ウェイバー公示した球団も手続き完了から3日以内であれば申請を取り消すことも可能です。

複数の球団が一人の選手の獲得に名乗りをあげた場合、同一連盟所属球団が優先されます。
さらに、同一連盟所属球団の中でもウェイバー公示から1週間後の勝率の低い方が優先されます。

ウェイバー公示してから1週間以内に獲得希望球団が現れなかった場合、その選手は自由契約となります。
ウェイバー公示された選手が自由契約となってしまうと、そのシーズンは他球団と契約することはできません。

トレードにより球団が受けるメリット・デメリット

トレードによる球団側が受ける恩恵は主に弱点補強です。
どの球団にも必ず弱点といえるポイントがあります。
FAで移籍した選手の穴であったり、怪我や故障による主力選手の穴などがどうしてもシーズン中に発生します。
そんなとき、若手選手が育つのを待っている時間はありません。
その際にトレードで穴を埋めます。
トレードをする際には、将来性がある選手が引き換えとして他球団に移籍します。

また、弱点補強する選手は即戦力になるような選手ばかりなので、育成過程をとばすことができるのもメリットです。
1軍で通用するだけの経験と能力を持ち合わせた選手は、チームが若手選手育成をするための時間稼ぎもしてくれます。

ただ、同時にトレードにはデメリットもあります。
上述のように、トレードの対価として放出する選手は若手選手が多いです。
あまりにもトレードばかりして即戦力ばかり獲得すると、生え抜きのスター選手候補がどんどん少なくなってしまう、というリスクもあります。
したがって、トレードをする際にはそういったデメリットも十分考慮にいれることが必要です。

トレードにより選手が受けるメリット

トレードにより他球団に移籍した選手が受けるメリットは主に2つです。

一つ目はプレー環境を変えられる、という点です。
選手によっては、良い能力を持ち合わせているにも関わらず、自チームに自分以上のスター選手がいるため、出場機会が得られずベンチ要員となってしまっている選手もいます。
また、チーム内の雰囲気やコーチ陣との相性が合わないと、伸び悩んでしまうこともあります。

そういった選手はトレードでチームが変わることで、能力を伸ばし、大幅な出場機会アップを見込めることもあります。

2つ目は即戦力として期待されている、という点です。
トレードをする理由は弱点補強と「この選手がほしい」という球団の意思です。
したがって、基本的にはトレード後、トレードで移籍した選手の出場機会は増加します。

トレードを機に試合出場機会が増えた選手たち

ここでは、トレードにより活躍の機会を増やした選手をご紹介します。

大田泰示選手(巨人→日本ハム)

2008年のドラフト1位でジャイアンツに入団した大田泰示選手でしたが、選手層の厚いジャイアンツの中でなかなかレギュラーを取ることができずにいました。
しかし2016年、公文克彦選手ともに北海道日本ハムファイターズへのトレードが決まりました。
その後、移籍先のファイターズでは外野手としてポジションを確保しました。

榎田大樹選手(阪神→西武)

阪神タイガース時代、先発として結果が出せず伸び悩んでいた榎田選手。
2018年、当時先発陣が弱かった埼玉西武ライオンズにトレードで移籍しました。
移籍後ライオンズで先発の一角として登板し、11勝をあげ、多和田選手、菊池選手に次ぐ3番目に多い勝ち星をマークしました。

鍵谷陽平選手(日本ハム→巨人)

北海道日本ハムファイターズ時代、主に中継ぎとして登板していた鍵谷選手でしたが、2015年から不振や故障などで思うような成績を残せない年が多くありました。
しかし2019年、藤岡貴裕選手とともに読売ジャイアンツに移籍することが決定。
ジャイアンツに移籍後、中継ぎとして27試合に登板しジャイアンツのリーグ優勝にも貢献しました。

トレードによる移籍というチャンスを活かすか殺すかはその選手次第ですが、上述の選手たちのように、活躍の場を広げる選手は多いです。
こうしてみると、トレードは選手のその後の選手人生を変えるきっかけになっていると言えるでしょう。

トレードは出場機会を広げるチャンス

トレードは球団の意思によすすめられるものですが、トレードになった選手は新天地で活躍している選手が多いのが特徴です。
中には、移籍後も思うような成績を残せない選手がいるのも事実です。
しかし、トレードは選手にとっても球団にとってもメリットの多いシステムであるといえるでしょう。

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