楽天イーグルス2019シーズンの振り返り

改めまして、プロ野球ペナントレースの2019シーズン(以下、今シーズン)が終了しました。
我らが東北楽天ゴールデンイーグルスは3位となり、クライマックスシリーズに進出。2位のソフトバンクホークスと対戦するとも1勝2敗で敗れ、今シーズンが終了となりました。

今シーズンをデータも交えながら振り返っていきたいと思います。

滑り込みでAクラス入り

ご存知の通り、今シーズンは3位となりAクラス入りを果たしました。
2005年の球団設立以来4度目、2017年以来2年ぶりのAクラス入りとなりました。

2019年 パ・リーグ順位表

順位チーム
1埼玉西武ライオンズ80621-優勝
2福岡ソフトバンクホークス766252.02.0
3東北楽天ゴールデンイーグルス716845.57.5
4千葉ロッテマリーンズ697042.09.5
5北海道日本ハムファイターズ657353.513.0
6オリックス・バッファローズ617573.016.0

まずは昨シーズン味わった悔しい悔しい断トツ最下位から抜け出し、3位となったことは誇りに思います。
平石洋介監督をはじめ、スタッフの皆様、そして選手の皆様、お疲れ様でした。

とにかく昨シーズンは5月の時点で自力優勝が消滅するなど、関係者はもちろんですがファンにとっても早々に退場を宣告されたような辛いシーズンでした。特に本拠地・楽天生命パークでの勝率が.306と低迷し、目も当てられない結果に終わりました。

今シーズンは浅村栄斗選手やブラッシュ選手の加入など新戦力が加わったこともありますが、それでもわずか1年で最下位からAクラスへ浮上したことは素晴らしい限りです。

とはいえ、今シーズンは中盤まで安定して3位以上をキープしていました。そこから連敗などもあり、一時は4位へ転落。終盤はロッテとの3位争いが激化し、最終的には滑り込みでの3位となったことも事実です。

様々なデータを見ながら今シーズンを振り返っていきましょう。

貧打に苦しんだチームの救世主

まずは各チームとの比較も含めて主要なデータを見てみましょう。

2019年のチーム成績表

順位チーム得点失点本塁打打率防御率
1埼玉西武ライオンズ756695174.2654.35
2福岡ソフトバンクホークス582564183.2513.63
3東北楽天ゴールデンイーグルス614578141.2513.74
4千葉ロッテマリーンズ642611158.2493.90
5北海道日本ハムファイターズ56058693.2513.76
6オリックス・バファローズ544637102.2424.05

ちなみにこちらが昨シーズンのデータです。

順位チーム得点失点本塁打打率防御率
1埼玉西武ライオンズ792653196.2734.24
2福岡ソフトバンクホークス685579202.2663.90
3北海道日本ハムファイターズ589586140.2513.77
4オリックス・バファローズ538565108.2443.69
5千葉ロッテマリーンズ53462878.2474.04
6東北楽天ゴールデンイーグルス520583132.2413.78

昨シーズン不振だった大きな要因の1つとして貧打、つまり攻撃力の低さがありました。
ペナントレースを2連覇した西武ライオンズが700点を超える圧倒的な攻撃力、打線の破壊力を発揮したように、『打って勝つ』というのがここ最近のトレンド、重要な要素になっています。

そういった意味で、前述の通り今シーズンはオフにFAで浅村栄斗選手が加入。更に新外国人選手としてブラッシュ選手が加入しました。
浅村選手に関してはキャリアハイとなる33本塁打、マーク。打点は昨シーズンを下回ったものの92打点をマークし、持ち前の長打力、勝負強い決定力を発揮しました。ちなみにFA移籍した選手が移籍初年度に33本塁打を放ったのは歴代最多記録です。

また、ブラッシュ選手もシーズン序盤は苦戦したものの、徐々に日本人投手への適性を見せ、終わってみれば浅村と同じく33本塁打をマーク。特に選球眼が良く、ボール球を簡単に振らない粘り強さは目を見張るものがありました。

既存の戦力では茂木栄五郎選手が141試合、島内宏明選手が133試合に出場。シーズンをほぼフル稼働できたことが大きな要因だったといえるでしょう。銀次選手も141試合に出場して打率.304をマークするなど、チームを支えました。

こうした新戦力と既存戦力による戦力アップもあってか、得点は昨シーズンより94点増加してリーグ3位となりました。

明らかに得点増加がチームの順位を押し上げる結果にもつながったと言えます。

得失点で見るチーム別の傾向

少し話は逸れますが、こうして各チームの得点と失点を見てみると各チームの傾向が分かります。

優勝した西武ライオンズは何と言っても攻撃力。昨シーズンに続いてリーグで唯一700得点以上を叩き出し、チーム打率.265もリーグトップ。
昨シーズン打点王を獲得した浅村選手が抜けたにも関わらずこの結果ですから恐るべし。とはいえ、昨シーズンに続いてチーム防御率はリーグワーストを記録。課題も明確ですが、それでもリーグ優勝、2連覇を果たした要因は「攻撃力」ということを如実に証明しました。

一方、リーグ優勝目前でライオンズに競り負けたソフトバンクホークスの得点は意外にもリーグ4位。イーグルス、マリーンズを下回っています。
しかし、失点が564とリーグ最少となっており、チーム防御率もリーグトップ。このことからホークスは接戦に強く、『少ない得点でも少ない失点で勝ち切っている』ことが分かります。
まさに総合力、選手層が厚いからこその成績と言えるでしょう。

そして得点、失点ともにバランスが良かったのがイーグルスと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、ちょうど真ん中の3位というのも納得できます(笑)
得点は昨シーズンより伸び、失点と防御率を維持したことでAクラスに上がりました。

マリーンズは得点がイーグルスより多いものの、失点も多く、最後は投手陣に課題が残った印象です。

ファイターズとバファローズは得点より失点が上回っているため下位に落ちたのは致し方ないと言えるでしょう。

アクシデントを乗り越えた投手陣

昨シーズン、投手陣は二枚看板の岸孝之、則本昂大投手を中心に中継ぎ陣の層も厚く、チーム防御率はリーグ3位の3.78でした。
今シーズンもチーム防御率は3.74とほぼ変わらず、リーグ2位の好成績でした。

しかし、ご存知の通り今シーズンは開幕前にエース則本昂大投手の手術があり、離脱が決まっていました。
更に追い打ちをかけるように、開幕投手に選ばれた岸投手が序盤で違和感を訴え緊急降板。最初は軽度と思われたものの回復が遅れ、結局シーズンの多くは二枚看板を失う構図となりました。

戦力的にはもちろん精神的にも苦しい状況となりましたが、新戦力の浅村やブラッシュ、若手の躍動もあって野手陣が奮起。
それに応えるかのように美馬、辛島投手といったベテラン勢の活躍もありましたが、チャンスとばかりに浮上したのが石橋良太投手。
開幕当初は中継ぎを任されていましたが、苦しい先発事情によって先発を任されると、持ち前の勝負強さ、右打者の内角をえぐるシュートが鋭く好投を見せました。
結局、主な先発陣では最も多い28試合に登板(中継ぎも含む)し、8勝7敗ときっちり貯金を作る結果を出しました。

辛島航投手が9勝6敗、美馬学投手が8勝5敗でチームを支え、結果的には岸、則本を欠いてもチーム全体で順位を押し上げたと言えるでしょう。

中継ぎ陣は森原康平、青山浩二、ハーマン、宋家豪、高梨雄平、そして新加入のブセニッツ投手ら層が厚く、守護神の松井裕樹投手を含めてフル稼働。
森原、ブセニッツが30ホールド以上、宋家豪、ハーマンが20ホールド以上をマークすると、何と言っても松井裕樹投手が38セーブをマーク。自身が持つ球団記録を塗り替え、堂々のパ・リーグセーブ王に輝きました。

投手陣は昨シーズン良かっただけに今シーズンはまず打線と見られていましたが、二枚看板の離脱で暗雲立ち込めたのも事実。

まさにチーム全体でカバーし、チーム力を見せた結果だったといえるでしょう。

新戦力の躍動

先ほども書いたように石橋良太投手は育成から上がってきた若手投手で、今シーズンの活躍は目覚ましいものがありました。

一方、野手陣で言えば何と言ってもルーキーの活躍。
ドラフト1位の辰己涼介選手をはじめ、太田光捕手、小郷裕哉選手、渡邉佳明選手といった大卒ルーキーの出場機会が多かったのは印象的でした。

中でも辰己は田中和基選手の離脱もあって中盤以降はレギュラーに定着。124試合に出場。勝負強いバッティングもさることながら、持ち前のスピードとセンスが光った超ファインプレーのインパクトが強かったのは皆さんも同意見でしょう。

太田も主に岸とのバッテリーで出場機会があり経験になったことは間違いなし。
渡邉佳明は得点圏打率の高さが強みとなり、シーズン終盤の大事な場面でのバッティングは昨シーズンの課題だった得点力不足を補った一因です。

こうしたルーキーたちの活躍が大きかった中で、下水流や和田恋といった移籍組の出場もあってチーム全体のレベルも上がってように感じました。

勝てるチームになっていく

繰り返しにはなりますが、まずは課題だった得点力不足が解消したことは大きな改善と言えます。
特に浅村はチームで唯一のシーズンフル出場となりました。バッティングはさることながら、このようにしっかりと全試合に出場できるだけの身体づくりをしていることが強みと言えます。

また、銀次、茂木、島内らもシーズンを通して出場できれば一定の結果を出せるだけの能力を持っています。
そこに今シーズンから活躍した辰己をはじめ、逆に今シーズン思うような結果を出せなかった田中和基、オコエ瑠偉といった若手が加われば戦力としては間違いないでしょう。

投手陣も青山、岸あたりは年齢的な課題はあるものの安定感は抜群。更に則本を筆頭に辛島、塩見、石橋、そして活躍が期待される藤平、安樂、釜田、近藤らが入ってこれるかどうか。

そして今シーズンのオフでもある程度の補強はなされる可能性もあるだけに、戦力は徐々に厚くなってきている印象があります。

石井一久GMが掲げる『ハプニング的な優勝ではなく、毎年優勝争いができるチームにしたい』という方針が徐々に形になりつつあることを実感しています。

あとはいかに「勝つ」ことにこだわれるか、「勝ち癖」を付けられるかにかかってくることでしょう。

改めて、選手をはじめ監督コーチ、スタッフ関係者の皆様、2019シーズンお疲れ様でした。

来シーズンも上位争いが出来るチーム作り、そして試合でのパフォーマンスを期待しています。

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